「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2014年7月11日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Japan reinterprets Constitution to allow collective self-defense (p. 1)

集団的自衛権行使容認を閣議決定

日本政府は7月1日、集団的自衛において武力攻撃下にある同盟国を自衛隊が防衛できるように憲法を解釈し直すことを承認した。これにより、平和主義の信条が危険にさらされるという非難の中で、戦後の安全保障政策から逸脱することとなった。

安倍晋三首相は、世界の平和と安全保障に日本が「積極的な」貢献国となることを強く求めてきた。

内閣は、自衛隊への法的な制約の見直しに関して、与党が連立間での合意を確保した数時間後にこの大きな変更を承認した。

閣議決定に基づき、日本あるいは「密接な関係にある国々」への武力攻撃のために、「国の存在が脅かされ、国民の生存権と自由と幸福の追求が覆される明らかな危険がある、」場合、日本政府は武力行使できるようになる。「他に適切な手段が何も」存在しない場合であるべきであり、武力行使が最小限に留められるべきだとしている。

数千人の人々が安倍首相の官邸の外で抗議し、憲法への変更はどんなものでも、単なる内閣の再解釈ではなく、国民投票を通じてなされるべきだと言った。

Easy Reading

Giant Japanese shopping mall opens in Cambodia (p. 3)

イオン、カンボジアに巨大ショッピングモール開設

日本の大手ショッピングモールが6月30日、カンボジアの首相と日本の外務大臣が出席する中で、プノンペンで正式に開店した。

イオンモール・プノンペン店の開業式典でフン・セン首相は、これが国際的な基準を満たすカンボジア初の現代的なショッピングモールだと述べた。首相は、このショッピングモールが「カンボジアの進歩と繁栄、平和を見せるだろう。そしてこれは間違いなく、他の日本企業がカンボジアに進出する指標である」と述べた。

ショッピングモールには国際的なブランド107店舗と、人気のある地元のブランド43店舗、日本のブランド49店舗のテナントが入っている。

カンボジアを2日間にわたって訪問した日本の岸田文雄外務大臣は、開業式典で、このショッピングモールはカンボジアに本物の日本の文化とサービスを体験させるだろうと述べた。

Easy Reading

Japan squad's homecoming is warm, in spite of losses (p. 3)

サッカー日本代表帰国、1,000人のファンが出迎え

現在も続いているワールドカップのグループリーグで一勝も挙げずに敗退した日本チームは、6月28日に成田空港に到着し、およそ1000人のファンに出迎えられた。

全員スーツ姿の日本のアルベルト・ザッケローニ監督と代表選手たちが到着ロビーに無表情で現れると、群衆から歓声が鳴り響いた。一人の子どもが掲げていたプラカードには、「夢をありがとう!」と書かれていた。

「若い選手は恐らく海外へプレーしに行くだろう。彼らには4年間で中心的な選手になってほしい」と千葉県柏市の大学生布目晴淳さんは話した。

日本は2敗1引き分けのあと勝ち点1で、ワールドカップのグループCの最下位に終わった。ザッケローニ監督は後に監督を辞任すると述べた。

National News

North fires two missiles into Sea of Japan (p. 4)

北朝鮮、日本海へミサイル発射

報じられるところによると、北朝鮮は6月29日、日本海に向かって短距離弾道ミサイルを2発、発射したという。拉致問題について日本政府との一連の対話の数日前に緊張を高めた。

韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮の東岸の元山(ウォンサン)付近から射程距離500キロの2発のミサイルが発射されたと韓国の軍関係者は述べているという。

National News

Zaccheroni steps down after poor showing (p. 4)

ザッケローニ監督、退任表明

アジアチャンピオン(日本代表のこと)のがっかりするようなワールドカップのグループリーグ敗退の後で、アルベルト・ザッケローニ監督は、チームが新たな影響を必要としていると述べ、日本の監督を退任した。

ザッケローニ監督は2010年に4年契約で指名され、日本に帰国して自分の今後についてチームと考えるまで待つと述べていたが、その後、6月25日にその決意を発表した。

National News

Aum's Kikuchi jailed for attempted murder (p. 4)

オウム菊地被告に懲役5年の判決

東京地方裁判所は6月30日、元オウム真理教信者で逃亡していた菊地直子被告に、1995年の東京都庁の爆弾殺人未遂事件で、懲役5年の判決を言い渡したが、爆発物についての罪は証拠不十分で有罪とするには至らなかった。

判決では、被告が注目を集めた東京都庁の郵便物爆発事件の共犯者をしていた間に自分が何をしているかについて「ある程度知っていたに違いない」と述べられた。

National News

Nature to pull Riken stem cell papers (p. 4)

『ネイチャー』、STAP 論文撤回へ

英科学誌『ネイチャー』は、幹細胞に関する日本の2本の論文について、その研究をめぐる一連の不正疑惑を踏まえて、論文をじきに撤回する意向だと、6月30日に関係筋が発表した。

STAP細胞と呼ばれる細胞に関する研究は、『ネイチャー』が論文を撤回すると振り出しに戻る。その研究の筆頭著者は理化学研究所の小保方晴子さんだった。しかし、その2本の論文は恐らく、なぜ撤回されたかの説明を添えて、オンラインでの表示が継続される予定だと、その関係筋は述べた。

World News

Ukrainian president ends unilateral cease-fire (p. 5)

ウクライナ大統領、一時停戦終了

ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は7月1日、親ロシア派の分離主義者との紛争で一方的な停戦を停止する意向を発表した。ロシアとヨーロッパのリーダーたちとの対話は和平プロセスを進展させることができなかった。

ポロシェンコ大統領の決定は、停戦期限が切れた10日後に発表され、400人以上が死亡している紛争が再び高まる懸念を強めている。

World News

N. Korea wants S. Korea-U.S. drills stopped (p. 5)

北朝鮮、韓国に軍事敵対行為の中止を提案

北朝鮮は6月30日、韓国が主催していて北朝鮮も参加を表明している仁川アジア競技大会を前に、和解を進めるために、韓国が毎年実施しているアメリカとの軍事訓練を中止するよう韓国に求めた。

その要求は北朝鮮による一連の提案の一つで、北朝鮮がその競技大会への参加を韓国との交渉の切り札に使おうとしていることがうかがえると、アナリストらは話している。

World News

Bosnia remembers shots that started WWI (p. 5)

サラエボ事件から100年

芸術家らと外交官らは6月28日、ちょうど100年前に第1次世界大戦を勃発させた最初の2発の銃撃があった都市で、ヨーロッパにおける平和と団結の新しい世紀を宣言した。

1941年6月28日、オーストリア・ハンガリー二重帝国のフランツ・フェルディナンド皇太子がサラエボで暗殺された。セルビア人の10代の若者ガブリオ・プリンシプが撃ったその銃弾は大戦争を誘発し、その数十年後に2度目の世界戦争が引き続き起こることとなった。2回の大戦を合わせて、ヨーロッパの人々8000万人の命が犠牲となった。

World News

Big H.K. democracy rally reflects fury at China (p. 5)

香港で中国に抗議する大規模デモ

警察の計数では98,600人だが主催者側の発表では51万人の集会が、民主主義を推し進めようと7月1日に行進し、中国は香港における中国の支配に対して最大の難題に直面した。

抗議者の多くにとって、2017年に香港のトップを選ぶ選挙ができるようにすることを含め、香港に大幅な自治権を許す「一国二制度」の原則を中国政府は尊重していない。中国政府はトップの候補にはどんな候補者も了承しなければならないと述べている。

「中国は香港を支配する絶対権を中国が持っているのだと言おうとしている」と抗議者の一人ジェフ・クウォックさん(28)は述べた。

Science & Health

Curry spices lower hypertension in rats (p. 6)

カレーのスパイスで高血圧改善

インドの医学研究者らは、実験用ラットの血圧を下げたカレーの調合スパイスの実験に成功したと述べ、慢性病を治療する、天然由来で低価格の薬を開発する望みを高めた。心臓病学の専門家でこの研究のリーダーを務めるタニカチャラン氏は、研究チームではラットに、生姜、カルダモン、クミン、胡椒、白ハスの花弁を調合したものを試したと述べた。「高血圧症を誘発したラットで、顕著な良い変化が見られた。この薬はラットの血圧を下げ、酸化的ストレスを低下させるのにとても効果的だった」とタニカチャラン氏は語った。

Science & Health

Sheep genome shows link between wool, health (p. 6)

羊の全遺伝情報解明

科学者らは、羊の全遺伝情報を解読し、農場で飼育されるその動物(羊のこと)の健康を向上させ、より良質の肉や毛を得るための道を開いた。研究者らは今回の研究結果が、選抜育種によって家畜を改良するためのDNAテスト開発と、動物に影響を与える病気を軽減するための今後の研究に役立つだろうと期待している。

「羊毛生産の重要性を考え、我々は羊毛を作り出すのに関わっている可能性が高いゲノムはどれかに焦点を当てた」とプロジェクトリーダーで、オーストラリア国立の科学研究機関であるオーストラリア連邦科学産業研究機構のブライアン・ダルリンプル氏は述べた。

Science & Health

Neanderthal feces shows cavemen ate veggies (p. 6)

ネアンデルタール人は野菜を食べていた

6月29日に『プロスワン』誌に掲載された研究によると、スペインで発掘された、知られている中で最古のネアンデルタール人の排泄物から、穴居人(ネアンデルタール人のこと)は肉だけでなく野菜も食べていたことが分かったという。研究者らは、その排泄物の中にコプロスタノールを示した生物指標化合物を発見した。コプロスタノールは、消化器官がコレステロールを消化する際に生成される脂質で、特に動物を食べると生成されるものだ。植物が消化の過程で分解される際に作られる物質の5ベータスチグマスタノールも発見した。このことは、ネアンデルタール人が主には肉食だったが、塊茎類やベリー類、ナッツ類など、かなりの量の植物も食事に含まれていたことを示している。

Science & Health

Gene flaws may protect against heart disease (p. 6)

遺伝子の変異で心臓病のリスク減

人口の1%にも満たない人に見られる稀な遺伝子変異により、心臓病のリスクが40%減少する可能性があると、研究者らが6月18日に発表した。『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された研究結果には、アポリポ蛋白C3と呼ばれる遺伝子の特定の欠陥が、血液中のトリグリセリドとして知られる脂質の一種をどのように減少させるかが示されている。「我々の研究結果に基き、アポリポ蛋白C3の特異的な抑制によってトリグリセリドを減少させることは、病気のリスクを下げることに有益な効果をもたらすと予測した」と、論文の上席共著者で、ワシントン大学公衆衛生大学院の疫学研究教授アレックス・レイナー氏は述べた。

Science & Health

Tiny shrew has jumbo relatives: DNA study (p. 6)

西アフリカで新種のトガリネズミ発見

西アフリカで発見された新種の哺乳類は、鼻の長いネズミに似ているが、遺伝的にはゾウに近縁だと、6月26日に科学者は述べた。このゾウの新種のトガリネズミはナミビアの太古の火山岩層に棲息し、赤い毛皮をまとっているために岩の多い周囲の色に溶け込んでいると、この発見に関わった生物学者チームの一人、ジョン・ダンバッカー氏は話した。 体重が最大28グラムのこの生物の遺伝学的調査によると、そのDNAは、はるかに大型の哺乳類に近かったことが分かった。「外見と行動はトガリネズミに似ているアフリカで進化したこの種が、むしろゾウに近縁であることが判明した」とダンバッカー氏は話した。

Science & Health

Scientists warn of tourism threat to Antarctica (p. 6)

南極への観光客増加に専門家が警鐘

科学者らは6月18日、南極を訪れる観光客の増加と、研究施設が使うために建設される道路や滑走路の増加が、壊れやすい南極の環境を脅かしていると警告した。観光客数は1990年の年間5000人未満から年間約4万人に爆発的に増えており、ほとんどが断片的な氷に覆われていない地域に行く。

南極大陸の野生動物と植物の大半があるのはこの地域であるにもかかわらず、地球上で最も保護されていない地域の1つだと、オーストラリア政府が出資する環境調査プログラムとオーストラリア南極局が主導した同研究は述べている。

This week's OMG!

Chinese man books cinemas to ease 7-year itch (p. 10)

映画チケット買い占めの男性、理由は「元カノを見返すため」

恋人に振られた中国人男性が4万ドル(400万円)を使って、6月27日のアイマックス映画館4館での最新映画『トランスフォーマー』の上映回を全て予約した。元恋人が7年前に、貧しいからという理由で自分を振ったのは間違いだったと彼女に証明するためだと男性は語った。

「フー・シャオユン、僕たちが2007年に大学4年生だった頃、僕はとても貧しくて、映画のチケット2枚すら買うことができなかった」と中国版ツイッター新浪微博への投稿で男性は語った。

「君は北京へ向かう時に、僕はずっとそんな風だろうと言ったよね」。

「その宣告のおかげで、僕はこの7年間、必死で働いた。そして今日、月収の半分を使って北京のアイマックスシネマの全席を予約した」。

「僕がただ言いたいのは、あの時の君の選択はたぶん間違っていたのかもしれない、ということだ」。

男性はインターネットユーザーに、「彼女がこのメッセージを見るまで」このメッセージを拡散してくれるように頼み、報告者にはフリーチケットをお礼にあげると約束した。

彼のメッセージは6月27日までに11万回以上引用されている。

男性はこれとは別に、彼の元恋人が電話で連絡をしてきたと述べた。二人ともその確執のことは忘れたが、彼が言うには、復縁する望みはないという。

Essay

The travel bug (p. 10)

旅行の虫

海外旅行は視野を広げ、固定観念を打ち砕き、広い世界に目を開かせることがある。マーク・トウェインが述べたように「旅は先入観と偏狭さの息の根を止める」。

両親は旅人だった。外国を探検するのが大好きだった。毎年夏になると、私たち子どもたちにベビーシッターを雇って、海外へ飛んでいた。いつも行ってきた場所から、わくわくするような写真とおみやげ、みやげ話を持って帰ってきた。兄と私は両親と一緒に行きたかったが、幼過ぎた。

それから少し成長したある日、両親が話をしようと私たちを呼んだ。私は12歳だった。兄は14歳だった。「さて、そろそろ」と両親は言った。兄と私は自分の時計を見た。両親は「いやいや、そういう類の時間ではないよ。そろそろ君たちも私たちの旅行に一緒に来てもいい頃だ。今では二人とも充分大きくなった。ヨーロッパに連れて行きたいと思っている。5週間だ。家族の冒険になるよ」と説明した。やった!

一つだけ問題があった。学期の途中だったので、学校から許可が必要だった。兄と私は疑問に思った。校長先生が私たちに5週間も授業をさぼらせてくれる見込みはなかった。

しかし、両親が攻勢に出た。旅行の計画を説明し、その利点を詳しく語った。校長先生はためらった。そして、「5週間ですか。それは長いですね。でも教育上とてもよい経験になりそうですので、私の回答はイエスです」と言った。

私たちは耳を疑った!「しかし、」と校長先生は続けた。「一つだけ条件があります。教科書を旅行に持って行き、旅行中に5週間の宿題をやらなければなりません」。これはまいった!

その後すぐに、私たちはヨーロッパへ飛んだ。初めての海外旅行だった。次の5週間に夢が実現する。各国を探検すると、本で勉強しただけだった国々―イギリス、オランダ、ドイツ、スペイン―が生きたものとして現れた。

毎日が冒険だった。ロンドンでは2階建てのバスに乗り、パリではシャンゼリゼ通りを歩き、マドリードでは闘牛を見に行き、ベネチアではゴンドラに乗った。英国博物館を探検し、ドイツの中世の城をめぐり、ルーブル美術館ではモナリザをほれぼれと眺め、ローマでは大聖堂を訪れた。しかし、毎晩勉強が大変だった。ホテルで勉強し、教科書を読んで、算数と理科の宿題をした。

その旅は私の人生を変えた。その旅は、歴史、地理、政治、宗教、芸術、文化、言語への生涯にわたる関心を刺激した。初めて、世界がいかに大きく、探検するのがいかにわくわくするかに気が付いた。旅行熱に取りつかれ、それがなくなることはなかった。

日本語にこんなことわざがある。「かわいい子には旅をさせよ」(かわいい子どもたちを旅に送り出すべきだ)。私はそんなにかわいくなかったが、若者は海外を旅して、私がしたように世界を見るべきだということには絶対に賛成だ!

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