トム・ハンクスは“sleepless in Seattle”(直訳すると「シアトルで眠れなかった」で、トム・ハンクスが主演する映画『めぐり逢えたら』の原題)だったかもしれないが、東京に住む人々は世界一の夜型人間だ。このことは機器メーカーのジョーボーン社が行なった最近の調査の結論だ。ジョーボーン社では、同社の情報を追跡するリストバンドのユーザー数千人の睡眠パターンを追跡した。ユーザーにはオーストラリア、日本、アメリカの人々が含まれた。
調査によると、東京都民は世界一睡眠時間が少なく、平均で一晩たったの5.46時間だった。このことは東京で電車に乗って移動している人たちの行動の説明になるかもしれない。東京で電車に乗っている人たちはちょっと一眠りするために公共交通機関を利用している。
ソウルの住民は第2位の夜型人間で一晩に5.55時間だけ、次がドバイ、シンガポール、メキシコ市でそれぞれ6.32時間だった。アメリカの都市の中では、サンアントニオとテキサスが夜に最も活動していて、たった6.4時間しか眠らない。
逆に、メルボルンの人々は世界で最も深く眠る人々で、一晩の平均は7.05時間、僅差でいずれも7.02時間のロンドン、デンバー、コロラドが続き、著者の故郷であるオーストラリアのブリスベンは7時間でパリと同じだった。
この調査結果は経済協力開発機構(OECD)が実施した同種の調査とだいたい同じだ。OECDの調査でも日本人は一日に平均7時間43分眠り、OECD加盟国の平均よりも約30分下回った。
この2つの調査結果は何時間という数字では異なっているものの、この傾向は、日本など都会化した国では十分な睡眠をとっている人がほとんどいないということを明らかにしている。
アメリカの疫病対策予防センターは、大人で一晩に7時間から8時間、学齢期の子どもたちは最低でも10時間の睡眠を推奨している。睡眠不足は、うつや糖尿病、肥満など、慢性疾患や慢性的な症状に結びついていると警告している。
日本の仕事中毒的な文化や夜遅くに同僚と酒を飲む昔からの慣習を変えるのは難しいのかもしれない。しかし、ジャパンタイムズ紙によると、「エネルギーを取り戻し、集中力を回復して、気分をよくするために」職場で午後に「(活力回復のための)仮眠」を日常的にとることが解決策の1つになるかもしれないそうだ。
アメリカの研究者らは、45分から1時間の仮眠は血圧を下げることにさえ役立つことを発見した。活力回復のための仮眠という概念には、イギリスのウィンストン・チャーチル、アルベルト・アインシュタイン、アメリカのビル・クリントン元大統領など、有名な提唱者が何人かいる。
だから、上司になぜランチの後、机で眠っているのだと聞かれたら、素晴らしい言い訳がある。トム・ハンクスに聞けばいい。