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2014年12月12日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Saying no to haggling (p. 10)

値切るのはやめよう

旅行で私が楽しんでいることはたくさんある。値切ることはそのうちの一つではない。

最近カンボジアを旅行した際―この美しい国へ初めての旅行だった―、同じ旅行者の中で、トゥクトゥク(三輪タクシー)のドライバーや市場の屋台の店主にたかが50セント(50円)ほどの額で値段交渉をして楽しんでいるように見える人々にたくさん会った。

これに私はとても当惑した。なぜなら、旅行客はその多くが先進国から来た人々で、貧しくは見えなかったからだ。何人かは、温厚で親切な地元の人々に対する露骨に無礼な態度を取っていて、私はうんざりした。

私と一緒に旅行をしていた人は、ガイドブックの多くが値段交渉を勧めているのだと言った。彼は、先進国よりもカンボジアの方が物やサービスが安いため、高値をふっかけられていると感じて値段交渉する人もいるのだと説明した。また、まったく同じサービスでさえも、地元の人々は旅行客よりも安い値段で受けられるらしい。例えば、トゥクトゥクに1回乗るのに、地元の人なら1ドル(120円)以下だが、外国人旅行客は3ドル(360円)かかることがある。

私は、「それで何が悪いの?」と言い返さずにはいられなかった。

シンガポールで同じようなサービスにもっと払っていることを考えれば、私にとって、その値段は妥当で手ごろな価格だった。発展途上国にいるからというだけで、地元の人々の労働を搾取していいとは思わない。地元の人は外国人よりも安い値段を払うかもしれないが、彼らが得ているのは不当に安い賃金なのだから、それは当然だ。

2010年のカンボジア計画省統計局による社会経済調査によると、首都プノンペンでの月当たりの収入の平均は、約100ドル(11,580円)だという。国民の収入の平均はさらに低く、一日当たり1ドル前後だという。

私は喜んで、地元の人よりも多くのお金を払い、適当な場合にはチップを渡した。それは素晴らしいサービスに示すことができるせめてもの感謝だ。先進国と発展途上国の間にある収入の不平等を減らす情けないほど小さな試みをするために私にできる最低限のことでもあった。

カンボジアに住んで働いたことがあるアメリカの作家アン・エリザベス・モーアは、著書の“Cambodian Grrrl”の中で、彼女の本の中で同じような気持ちを記していた。いわく、「私の前にいる店主よりも、私がそのお金をまた稼ぐ方がずっと簡単だろう。この買い物の経験で勝った気になるために、店主に値段を下げさせるように強要することは1ドルに値しない」。私は彼女のロジックが気に入っている。

結局、このことは、相手が誰であるか、どこの出身であるか、どのくらい稼いでいるかにかかわらず、人々に礼儀を持って接することについての話なのだ。文化は異なるかもしれないが、礼節は礼節であり、人は1ドルか2ドルを節約するためだけに礼節を安価で売り渡すことはないだろうと信じたい。

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