クリスマスの前の晩のことだった。家中で生き物は何一つ動いていなかった、ネズミさえも。(『サンタクロースがやってきた』 クレメント・クラーク・ムーア)
1823年に書かれたと考えられているムーアの有名な詩は、西洋のクリスマスについての概念を形成するのに役立った。子どもたちが知っているように、「聖ニコラス」または「サンタクロース」として知られる陽気なぽっしゃりした白ひげの男性がクリスマスイブの12月24日におもちゃを届けに各家々にやってくる。
ドイツでは、クリスマスイブは家族でプレゼントを交換する時間だ。しかし、オーストラリアと他の英語圏では、12月25日がメインイベントの日だ。
子どもたちはクリスマスの日に起きると、どんなプレゼントがクリスマスツリーの下に置いてあるだろうとわくわくする。サンタを一目見るためだけに、一晩中起きていようとする子どももいる。
クリスマスの日は祝日で、たくさんの食べ物と飲み物、贈り物の交換のある家族の行事だ。クリスマスを夏に祝うオーストラリアでさえも、七面鳥、じゃがいも、濃厚なケーキなど、イギリス式のローストした食事が並ぶディナーが一般的だ。
オーストラリアとイギリスは12月26日も祝日で、ボクシングデーと呼ばれている。これは、使用人が雇い主から贈り物の入った箱を受け取るというイギリスの伝統から来ていると言われている。オーストラリアでは、ボクシングデー・テストが、イギリスなどの訪問国とする毎年恒例のクリケットの試合だ。
多くの国々で、クリスマスは休暇の始まりで新年までずっと続く。ブリスベンにある私の故郷では多くの職場がクリスマスイブの前から閉まり、1月の最初の週まで開かない。
日本では、悲しいことに、クリスマスに祝日はない。クリスマスが宗教的な祝祭の西洋とは違って、日本のクリスチャンは少数派で、クリスマスの伝統は輸入されたものだ。
クリスマスの飾りがショッピングセンターで飾られていて、クリスマスは基本的には買い物客のものだ。カップルがクリスマスイブにデートをし、家族で食事をすることとプレゼントは正月までとっておかれる。
賢いマーケティングのおかげで、KFC(オーストラリアで同社は自身をケンタッキー・フライド・チキンと呼ぶことを何年か前にやめている)は日本でクリスマスと結び付くようになった。KFCの店舗ではカーネル・サンダースの像に赤と白のサンタのコスチュームを着せ、バケツのような入れ物に入った七面鳥ではなくクリスマスチキンを売っている。
けれども、食べ物や贈り物、休みだけでなく、クリスマスは善意の季節でもある。多くの人々にとって、自分よりも恵まれていない人々に与えることは、クリスマスの本来の精神を示すものだ。結局、サンタはたくさんの助けなしにはこれらすべてのプレゼントを配ることはできない。