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2015年1月23日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Pushy parents (p. 9)

強引な親

3歳の息子を託児所に預けようとしていると、そんなに年が上でない男の子が父親に「パパ、今日は家に早く帰ってもいい?」と聞いているのが聞こえた。

とても厳しく、彼の父親は答えた。「一緒に協力したら、その目標は達成できる」

そのような幼い子どもに話すには変な話し方に思えた。むしろ会社や軍隊、宗教の狂信的教団の新人に言うことのような感じがした。

もう1つ気がついた奇妙なことは、その朝はひどく寒く、私は冬物のコートを着込んでいたのに、その「スーパーパパ」はコットンの半袖シャツを着ていたことだった。彼はその子を部屋まで行進して連れて行き、さよならも言わずに去った。私には彼が明らかに、よくいる強引な親の1人、つまり、息子を成功させるために子どものころの楽しさをすべて犠牲にする気でいるしつけの厳しい人に思えた。その成功が何を意味するにしても。

息子には音楽をさせたいと思っていることは正直に認める。しかし、キーボードを取り出すときはいつも、私の息子は旋律を奏でることよりも楽器に暴力を振るうことに興味がある。それに、彼が一緒に歌うときは、「メリーさんの羊」や「ジングルベル」の他にレパートリーを増やす気はないようだ。

それでも、多分、無理に押し付けない方がいい。マイケル・ジャクソンが抱えていた問題は、あんなに低い年齢で巡業させられたことから始まったと言う人もいる。しかし、もう1人の神童―モーツァルト―についての変わったことは、モーツアルゴがメヌエット(舞曲)の作曲を5歳で初めて父親を驚かせたことだ。彼の才能は自発的なもので強制されたものではなかった。

しかし、テニスの優勝選手のビーナスやセレナ・ウィリアムズなどのように、懸命に取り組むように強いた親に感謝をしている人もいる。

中国系アメリカ人の学者エイミー・チュア氏が回顧録『タイガー・マザー』を2011年に出版した時、彼女は「厳しい」中国の親業と、彼女がより「甘い」と見なす欧米の子育てスタイルを比較して、大きな論争を招いた。チュア氏によれば、それが中国系アメリカ人が学問で成功する理由だという。しかし、ほかの中国系アメリカ人でさえ、その本は極端な固定観念と、中国の経済的な台頭に対するアメリカ人の恐れに基づき過ぎていると考えている。その本の一節で、チュア氏は、娘がピアノの練習をよくするようにならなければ、娘のおもちゃを燃やすと脅している!

子どもにはうまく行ってほしいと皆思うものだが、この方向に進めそうもない(厳しい親にはなれないということ)。ピアノの練習は結構だが、合間にチョコレートでベトベトになったり、ズボンを破ったりする時間だってあるべきだ。

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