「犯罪は病気だ:治療に応じなさい」と、『コブラ』でシルヴェスター・スタローンは言った。しかし、世界中にまん延している電車で足を大きく開いて座る行為に、頑強な警察官はどうやって対処するだろうか?
足を広げて座ることは―たいていは男性で―足を大きく開いて必要以上に場所をとって座っている乗客の行為だとされる。東京からワシントンまで都市部の通勤客によく見られる光景だが、ついに当局も対抗策を取りつつある。
12月にニューヨークの都市交通局は、電車内で足を広げて座る行為を始めとする好ましくない行ないを対象とした新しい活動を始めた。そのメッセージはシンプルだ。「おい、広げるのはやめてくれ:それはスペースの問題だ」
ニューヨークのキャンペーンはオンライン上に足を広げて座る人の写真を投稿して恥ずかしい思いをさせた乗客たちの行動に続くものだ。マナー向上の必要性は、ニューヨークの地下鉄を利用する乗客数の増加も反映しており、10年前は1日あたり510万人だったが、現在は600万人以上に増加している。
東京の混雑した電車は伝説的になっているが、鉄道当局は足を広げて座ることを含め、マナーの悪さと長い間戦ってきた。古く1970年代にまで遡ると、デザイナーの河北秀也氏は、電車でのマナー向上を啓発するためのユーモラスなポスターをたくさん作った。この中には、チャップリンの映画『The Great Dictator(独裁者)』からヒントを得た1976年の『The Great Monopolizer(独占者)』もある。
最近では2013年に、東京の小田急線が足を広げて座る行為を対象にしたポスターを作っている。客が1人、なぜ5人のアフロヘアの男性が7人分のスペースを占領しているのだろうかと、不思議に思いながら立っている様子を描いたものだ。
日本の電車に乗っている通勤客は世界の中でも最も静かで礼儀正しい方だが、それでも明らかに、このメッセージは強化される必要がある。
オーストラリアでは、クイーンズランド鉄道が2010年に「電車でのマナー―極めて簡単なこと」と呼ばれるキャンペーンを開始した。その鉄道は、かばんを座席の下に置くことや、高齢者や妊娠中の女性用に指定された座席を空けることなど、良いマナーを取り上げたたくさんのポスターとビデオを作った。
足を広げて座る行為はなくなるのだろうか? 罰金などの罰則だけでなく、他の解決策も、良いマナーの強化に良い効果をもたらすだろう。
北京で開かれた昨年のAPEC首脳会議の前に、北京市ではマナーの良い乗客に対し、賞金と表彰をすると言い、マナーを守ることを推進するために8000人以上のガイドが配備された。
しかし、スタローンなら間違いなく、違反者にかなりの痛みを伴うもっと直接的な解決策をとっただろう。
世界の大都市がますます大きくなるにつれ、公共交通機関はさらに混雑するようになるだろう。そのため、毎日の通勤の質を良くするつもりがあるのなら、マナーの向上は必須になる。