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2015年2月27日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Learning to fall (p. 9)

転び方を学ぶ

今年の初めにスノーボードに初めて挑戦した。スキーよりも修得するのが難しいと聞いていたので、少し緊張していた。スキーも上手ではなかったので特にそうだった。

スノーボードに挑戦することにしたのはなぜだったかわからない。特に雪が好きなわけでも、衣類を何層にも重ねて着るのが好きなわけでもない。だから、スノーボードに固定されたとき、足がすくむほど急な山をじっと見下ろして、友人に私が言えたのは「車に戻る方法はほかにないのよね?」だけだった。

人生では、上昇することを学ぶ;山を上ること、頂上に到達すること。スノーボードを習うことは、おそらくその逆、つまり降りること、を達成するために努力する数少ない機会の1つだ。素晴らしい友人のおかげで、私は山を下る途中で滑り、回転し、衝突しながら、安定した瞬間の得方を学ぶことができた。

どんなに転がったことか。優雅な転び方はなく、それは転ぶのを楽しむという人間の性質に反する。転ぶことを恐れるのは驚くことではない。「fall(転ぶ、落ちる)」という語は音も見た目も「fail(失敗する)」に似ている。しかし、スノーボードで、実は、うまく、しかも楽しく、転び、失敗することは可能だと知った。私は、肘の上に転んでケガにつながることがないように、腕を後方に思いっきり投げ出すように言われた。慣れるまで少しかかったが、何度か転んでから、できるだけ大げさに雪にぶつかり始め、しっかり防護されたヒトデのように柔らかい粉雪の上に着陸するようになった。

失敗する、逃げ出す、そしてひっくり返る。大失敗する、しくじる、そしてへまをする。私たちはこれらをどれも避けようとして人生のほとんどを過ごしている。しかし、スノーボードの旅の後、上手に転ぶ必要がある場面を一度は誰もが経験する必要があると私は思った。言語を学んでいる人、新しいスポーツに挑戦している人の誰もに、安心して試行錯誤し、しくじり、やりながら笑える環境でなさるように勧めたい。

たぶん、人生とは山々を制覇することではないのだろう。そうではなくて、たぶん、もしも足場を失ったり、滑ったり、疲れ果てたときに、安全に転ぶ最善の方法を見つけることなのだろう。私の場合、尻もちをつくことの受け入れ方を教えてくれるだけではなくて、辛抱強く、励まし、笑いながら、山を一緒に上ったり降りたりしてくれる友人たちを見つけられて幸運だった。まだ、雪も、何層にも衣類を重ねて着ることも特に好きにはなれないが、次にあの斜面を見つめる時は自分で降りていけると分かっている。

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