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2015年3月20日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Saying goodbye (p. 9)

別れのあいさつ

仕事にさよならを言う時になると、大々的な送別会を期待するだろうか? それとも、静かに握手をして最後の「さよなら」を言ってドアを出て行くというケースになるだろうか?

イギリス人の上司マーク・セバは、11年間責任者を務めての最終出社日に仕事にやってきて、予想した以上のことがあった。よくあるような「幸運を願います」のカードやワインではなく、高級品の小売業者ネッタポルテの最高経営者は、世界中のスタッフからダンスと歌で迎えられた。

このお別れ会には、ビデオを通してお祝いに参加する遠く香港やニューヨーク市にいる従業員も関わった。彼のいたロンドンオフィスの中では、スタッフが、アーロー・ブラックの曲 The Man を歌いながらドラムをたたき、外の通りでも大勢の人たちが加わった。

アクロバットやサンバのダンサー、メキシコのマリアッチ楽団などの演奏を見た後で、微苦笑したその上司はスタッフに感謝を述べて、「仕事に戻ったら?」とだけ言った。

すべての上司や働く人々が、セバがしてもらったような送別会を期待できるわけではない。退職年齢が上がり、最後のさよならは年代ごとにだんだん遠くなっている。

しかい、もしそのせいであなたが彼を称賛せずに「その男」を呪うのなら、良い知らせがある。もうすぐ職場を離れて過ごす時間が増えるかもしれない。

日本のワーカホリックは、同僚に遅れをとらないようにするためだけに、はたまた上司を喜ばせるためだけに、時間外労働をすることでよく知られている。この国には、働き過ぎによる死亡「過労死」という自国の言葉まである。「過労死」は、1年に推定200人の犠牲者の命を奪っている。

明らかな苦肉の策として、厚生労働省は現在、労働者に1年に最低5日間の有給休暇を取ることを強制することを計画している。15日の国民の休日にこれを加えて、日本の労働者は、この10年の終わりまでに年次休暇が20日というイギリス、または平均で25日というフランスと同水準に近づくだろう。

労働時間を減らすことは、がむしゃらにではなくスマートに働けば、生産性を高めることにさえなるかもしれない。マッキンゼーの調査によると、会社のリーダーの過ごす時間の半分もが、メールや会議などの非生産的な活動で無駄に費やされているという。

職場で過ごす時間を少なくすることは、あなたの時間を最大限生かす鍵となりうるし、サンバダンサーと共に、あるいは別のやり方で、最後のさよならを楽しむまで職場にいることを確実にする鍵にもなるかもしれない。親愛なる読者のみなさん、さようなら!

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