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2015年5月22日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Even a woman can do it (p. 9)

女性でもできます

教師にとって、わくわくさせてくれることというのはささいなことだ。スラスラ書けるホワイトボードのペンから、私たちが書くものを書き写す生徒など、私たちは単純な生き物だ。最近私がわくわくしたのは、ペーパーカッターが届いたことだ。ついにやった!私の生徒たちへのフラッシュカードを正確に切ることができた。しかし、箱に書かれていたコピーを読んで、私の喜びは怒りに変わった。特にこの1行に気がついて―「たった1.1キロ。女性が運ぶのに理想的な重さ」。

たったの1.1キロ。それなら私の繊細な手首を折ることなく、いら立ちから部屋を横切って放り投げるのにも理想的な重さだった。

女性の骨のもろさは、食べ物に関する日本のテレビ番組でも考慮されていた。パン生地をこねるのがどれだけ楽かを実演しながら、女性の司会者が「まあ、女性でもできますね!」と叫んだ。日本の人気のショッピングサイトでは、男性と女性両方によって書かれた無数のレビューでも、同じくうんざりする一節が使われている。ベッドの枠を探していたときに、多くのベッドメーカーが簡単な組み立てを望むのは女性だけだと思っていることが明らかになった。男性はベッドを買うときに何を与えられるのだろうと思った―斧と近くの森への行き方か?

日本では多くの人が、女性はできないことが多いと思っているようだ。かつて、ノートパソコンを買いに電器店へ行った。売り場の係員に予算を告げると、がっかりしたことに彼はピンクのポップに囲まれた白いノートパソコンへ案内した。どのポップにも「女性に人気!」とでかでかと書かれていた。そのオペレーティング・システムには、かわいいアニメのアザラシのキャラクターがアシスタントについていて、キーを打つたびと思えるほど(頻繁に)現れて、われわれ技術的に無能な女性たちをコンピューターの使用という恐ろしい世界へ案内してくれる。私の女性らしい給料で買えるのがこのノートパソコンだけだったので、それを買った。しかし、アザラシは好きではあるが、このアシスタントソフトウェアが真っ先にアンインストールしたものだった。

女性たち自身も含め、多くの人々は、女性が世の中で最もタフで能力のある人々であることが忘れられてしまったようだ。毎月、私たちは大量の血液を失うことに対処しなければならない。私たちの身体は、もう1人の人間を中に入れておき、栄養を与え、出産するように設計されている。それに、大阪のおばちゃんよりも先に空いた席に座ろうとしてみたことはあるだろうか? そんな人たちが一体全体どうして特別に軽くて、柔らかくて、あるいは使いやすいものを必要とするだろうか? それに、そうした特徴はみんな、男性も含めた全員の暮らしをよりよくするのではないだろうか?

最近私はホワイトボード用のマーカーを注文した。届いたときに、女性に適していることを示すコピーがないことを願っている。もしあったら、少なくともペーパーカッターよりは放り投げるのに軽いだろう。

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