皆お金が必要だ! でも、人それぞれ、お金の使い方は違う。人がどんなふうにお金を使うかで、私たちはその人の優先順位や文化が持つ価値観について多くを知ることができる。
学生のころ、私はアジアを非常に厳しい予算で旅行した。イラン、パキスタン、インドなどの国を訪れるのは刺激的だった。どの国でも、私は、人が何にお金を使うのか、そして、彼らが何を大切に思っているのかを知ることに興味があった。
タイで、『王様と農夫』と呼ばれるお金についての民話を偶然知った。その民話は、伝統的なタイの価値観を示している。話の筋は次の通りだ。
昔々あるところに、王様がいました。ある日、王様は自分の国の人々はどのようにお金を使っているのだろうかと不思議に思い始めました。王様はそれを知るために、国の人々に話を聞きに出掛けました。
王様が初めて出会った人物は農夫でした。「教えてくれないか」と王様は言いました。「あなたは稼いだお金で何をするのだい? 貯めたお金をどのように使うのかい?」。
「私はほとんどのお金を、家族のために食べ物や服を買うのに使います」と農夫は答えました。「残りは4つに分けます。一部は土に埋め、もう一部は債権者への支払いに使い、あと一部は川へ投げ入れ、最後の一部は敵に与えます」。
王様はこの奇妙な答えに驚きました。川にお金を投げ入れる? 敵にお金を与える? どういう意味なんだ? 農夫はこう説明しました:「土に埋めるお金は、慈善活動へ与えるお金です。これは、将来への投資です。私の良い行ないが死後に天国に行けるようにしてくれるからです」。
「債権者へ払うお金は、母と父に使うお金です。何もかも両親のおかげであり、両親を支えるのは私の務めです。川へ投げ入れるお金は、ギャンブルや飲酒に使うお金です。敵に与えるお金は、私の妻に与えるお金です」。
つまり、この農夫は自分のお金を、慈善活動、両親、娯楽、妻、の4つに使っている。
この農夫が慈善活動に投資するお金は、未来への保険だ。両親のために使うお金は、両親への恩返しの仕方だ。娯楽に使うお金は、川に投げてしまったかのように、すぐになくなってしまう。そして、妻に与えるお金は、彼が楽しむのに使うのを妻が許さないお金だ。
彼のお金の半分は、家族を支えるのに使われている。もう半分は、人生の一時的な楽しみと、天国の永久的な楽しみの間で分けられている。
こんな古いジョークがある。「お金はしゃべる。…でもたいてい、『さよなら!』と言う」。人のお金の使い方は、彼らが何を大事に考えているかについて、多くを教えてくれる。では、あなたはどうだろうか? あなたのお金をどのように使いますか?