数年前、友人に会うためにニューヨーク市に1週間滞在した。かなりの間、アメリカに戻っていなかったが、ほとんどすべて変わっていないように見えた。ただ、音楽の聴き方を除いては。考えられるあらゆる曲にパソコンやスマートフォンからアクセスできるらしい音楽ストリーミングサービスの「スポティファイ」をだれもが使っていた。
この夏、日本にもようやく音楽ストリーミングサービスが全力を挙げてやってきた。過去数年の間、日本のミュージックレーベル数社が類似するサービスを立ち上げようとしたが、楽曲のセレクションは少なく、スポティファイの劣った模造品のような感じだった。それでも、ここ数ヵ月でアップルミュージック、ラインミュージック、アワ(エイベックスが所有)などのサービス開始があった。これらは、さまざまな面でスポティファイでのユーザーエクスペリエンスを改善している。
それに、日本で音楽ストリーミングを楽しむ選択肢はこれだけではない。非常に人気の映画やテレビのストリーミングサイト「ネットフリックス」が今月初めに日本でもデビューし、フールーと共同で海外と国内の両方の作品をインターネット接続のある人には誰でも提供する。
ストリーミングサービスが日本にやってくることはないだろうと、私は本気で思っていた。2009年に日本に来たとき、音楽の購入においてCDがなお優勢な形式であることに驚いた。アメリカでは、CDは1999年にピークに達した。多くの西欧メディアは、日本がCDにまだ夢中であることに気が付いていて、「AKB48」や「モーニング娘。」といったアイドルグループがニューシングルのCDに特別握手会へのチケットを入れていることを報じていた。
私はアルバムCDに3,000円を喜んで支払う人が十分にいるのなら、日本のレーベル(それにエンターテイメントスタジオ)は、自分たちの利益がかなり少なくなるストリーミングサービスを受け入れることはないだろうと考えた。それでも、音楽の売上は、私が日本に来てから毎年減少し、物質として音楽を購入することから離れる音楽ファンが増えていった。ユーチューブでお気に入りの音楽が聞けるのなら、どうしてCDにそんなに多くのお金を支払うというのだろうか?
日本に新しく来たストリーミングサービスの集団は、かかるお金がかなり少ないー月に1,000円ほどで何千もの楽曲にアクセスできる(アップルとラインのサービスでは、最初の3ヵ月が無料)。それにアクセスできるにもかかわらず、多くのアーティストはまだこれらのプラットフォームで見つけることはできない — 特に70年代や80年代の日本の人気アーティストは見つからない。しかしそれでも、利用できる音楽ライブラリーは巨大だ — 1ヵ月で私はすでに、このサービスがなければ聴き逃していたであろう素晴らしい曲を聴くことができて、気に入った曲を友人とシェアすることができた。
これは素晴らしい開発で、ついにアメリカにいる友人と同じデジタルのサービスを持ててわくわくしている。毎日コンピューターを起動させると、一度に入手できるこれらの音楽すべてに圧倒されるとしても。