「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら

記事全訳

2015年10月16日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

On giving up (p. 9)

諦めることについて

「決して諦めないで!」 こんな助言をどのくらい頻繁にされたりしたりするだろうか? きっと思い出せるより頻繁だろう。とてつもないハンデを乗り越えて―途中で諦めていたら不可能だった―夢を実現した人たちの元気づけられる話もよく耳にする。

それで、難しい状況に直面したとき、私たちはよく、自分や友人たちに諦めずに頑張り抜くように励ます。しかし、諦めないことは常によいことだろうか? そうじゃないことが求められる状況はないだろうか? 最近香港にハイキングの旅へ行ったときにこれらの問いについてふと考えた。

多くの人が香港といえば都会暮らしと食べ物とショッピングの街を連想する。しかし、その起伏のある領土の4分の3は、実際には田園地帯だ。マクリホース・トレイルのような素晴らしいハイキングの道もある。

この100キロある道の名は、最も長く香港総督を務め、熱心なハイカーだったマレー・マクリホース卿に由来している。この道は、10のステージに分かれていて、東から始まって、西へずっと走り、中央部の山を横切っている。山の多くは香港最高峰クラスの山々だ。ハイキング道の終着点付近には印象的な谷の溜池がある。

友人と私は、それぞれ10.6キロと13.5キロあるこのハイキング道の最初のステージに挑戦することにした。私たちの計画では1日で両方カバーするはずだった。午前9時頃、第1ステージを出発した。最初は概して平坦でスケジュールどおり進んだ。途中で写真を何枚か撮る時間も見つけた。

予想外だったのは、第2ステージがどれだけ困難かだった。

いくつか急な上り坂があり、友人の1人は高山病になり始めた。たびたび休憩をとらなけらばならず、スケジュールが遅れ始めた。天候が暑くなったのに水分を十分に持っていなかったのもよくなかった。調べが十分でなかったために、私たちは途中で給水地点があると誤って推測していた。

午後3時頃、第2ステージの半分も歩いていないことに気づいた。高山病にかかった友人は歩き続けたがっていた。彼女は常に挑戦者で、諦めたくなかった。しかし、彼女以外の私たちは心配だった。もうすぐ日が暮れるので、暗くなってから森の中に残りたくなかった。

(進むか戻るか)両方の考えを検討した後、私たちは最終的に戻ることにした。

最も勇気づけられるような話ではないが、後から考えてみると、その日に戻ってよかった。自分たちが危険にさらされたり、ほかのハイカーに結局迷惑をかけることになったりするのは望んでいなかった。

でもハイキングを諦めてはいない。しかし、次は絶対にもっとよく準備をしておくだろう。

Top News
Easy Reading
National News
World News
Business & Tech
This week's OMG
Essay
  • 諦めることについて

サイト内検索

2018年6月29日号    試読・購読   デジタル版
目からウロコの英文ライティング

読者の声投稿フォーム
バックナンバー