「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら

記事全訳

2015年10月23日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Cool in Japan (p. 9)

日本のクール

毎週月曜日、テレビ東京にチャンネルを合わせて『Youは何しに日本へ?』という番組を見る。前置きは単純だ―カメラ・クルーが成田国際空港で外国からの訪問客を待ち構え、なぜ日本に来たのかを尋ねる。訪問客が答え、実に面白いストーリーのある旅行者の場合は、その旅行に番組がついていく。

これは確かに面白くて、月曜日の夜の多くを、日本人のカメラマンが、さまざまなラーメンをたくさん食べるチリ人や、日本の広告のオーディションに出るフランス人のモデルの卵を追うのを見て過ごしてきた。しかしこれもまた、この1年の日本のテレビのトレンドの多くを占めていた。日本人以外の訪問客が日本がどれだけ素晴らしいかをインタビューされるという最も人気のあるジャンルだ―日本人の視聴者のために。

TBSの『所さんのニッポンの出番!』と、テレビ朝日の『スゴ〜イデスネ!!視察団』も、日本列島の外にいる人たちが日本についてよく思っていることに迫っている。これらの番組のエピソードを十分に見ると、この国の文化のありとあらゆる面がすごいと確信するだろう。

日本は、世界に自国の文化を広げたいと思っていて、政府さえもこの目的を達成することを目指した「クールジャパン」と呼ばれるプログラムを持っている。それでも、まるでこの国は、海外の人に認めてもらうというよりも、日本人に世界は日本のことをクールだと思っていると分からせたいだけなのではないかと思うときがある。

『Youは何しに日本へ?』のようなテレビ番組は好例で、ユニバーサルスタジオジャパンが今年初めにオープンした「クールジャパン」ゾーンもそうだ。そのテーマパーク(USJのこと)にあるこのコーナーは、『進撃の巨人』や『新世紀エヴァンゲリオン』など世界で人気の日本のシリーズに特化したアトラクションを呼び物にしている。しかし、それは大阪に建てられている―確かに、訪問中の旅行客も行くかもしれないが、大部分の顧客は日本人だ。そのコーナーはとても成功したので、1月にまた戻ってくる。

私は日本がトレンディーになろうとする必要がなかった頃のことを覚えている。私が子どもだった90年代のアメリカでは、その国(日本のこと)は、クールと同義とされることが多かった。ドラゴンボールZやセーラームーンなどのアニメは人気番組で、任天堂やセガのテレビゲームは学校で必須のアイテムだった。しかし今では、日本のポップカルチャーの輸出は、かつてほど熱くなく、クールさの冠を現在有している韓国との厳しい競争に直面している。

このことはおそらく、『Youは何しに日本へ?』のような番組がそんなに人気になっている理由の一つかもしれない―そうした番組は、日本の世界的な地位がかつてほど輝いてはいないとしても、視聴者に多くの人が未だに日本をすごいと思っていることを思い出させるチャンスを提供する。それでも、これらの番組が非常に面白いだけに、世界中に共有したいような素晴らしい新しいものを見つけて育てていくのに時間を費やした方がよいのではないかと思わずにはいられない。

Top News
Easy Reading
National News
World News
Science & Health
This week's OMG
Essay
  • 日本のクール

サイト内検索

2018年6月29日号    試読・購読   デジタル版
目からウロコの英文ライティング

読者の声投稿フォーム
バックナンバー