「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2015年12月18日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Obama says IS will be defeated in rare Oval Office address (p. 1)

オバマ大統領、「イスラム国」壊滅を誓う

アメリカのバラク・オバマ大統領は12月6日、国内外で、「イスラム国(IS)」のグループを壊滅し、その追従者たちを追跡して捕らえると、大統領執務室からのまれな演説で誓った。

自身のリーダーシップと戦略についての疑いに直面し、オバマ大統領は、カリフォルニアで14人が亡くなった暴力事件により混乱させられた国を静めるために、アメリカが持つ権力の最大の象徴を利用した。

「こんなにもたくさんの戦争の後、多くのアメリカ人が、我々は特効薬のないガンに直面しているのではないかと問いかけている」とオバマ大統領は厳粛な演説で語り、サンバーナーディーノでの殺りく事件は、国内でますます育つ脅威とそれが「進化」している証拠だと付け加えた。

「みなさんに知っていただきたいことがある。テロの脅威は現実にあるものだが、我々はそれを克服する。ISILと、我々に危害を加えようとするどんな組織も壊滅する」とオバマ大統領は述べた。

ハリー・トルーマンが国内の危機に直面したときに決意を告げて以来使われている大統領執務室からの演説をオバマ大統領が行なうのは、今回でわずか3回目だ。執務室の高官は、この演説は、テロ攻撃として調べられている銃撃に対するオバマ大統領の真剣さを伝えるために計画されたものだと述べた。

Easy Reading

Great Buddha of Nara has only half its reported hair (p. 3)

奈良の大仏の「螺髪」、伝承の半分

日本の国宝に登録されている高さ15メートルの像である奈良の大仏には、螺髪として知られる頭部の巻き毛が、古代の文献に記されている966個ではなく、492個しかないと新しい調査が明らかにした。

この発見は、東京大学生産技術研究所の大石岳史准教授が実施したレーザースキャン法を用いたこの像の頭部の3D分析によってわかった。レーザー光線が用いられたのは、仏像の裏にまわって後ろにある螺髪を数えるのが物理的に不可能だったためだ。巨大な金の装飾物が仏像の頭部の背後にある。

大石氏によると、この仏像には483個の螺髪があり、9つがなくなっていて、合計すると492個¥1100年代の最古の巻物で言及されている966個の約半分ほどしかなかった。

Easy Reading

Otani re-signs for ¥200 million with Nippon Ham Fighters (p. 3)

日本ハム・大谷、史上最速タイで2億円

大谷翔平選手は12月4日、日本ハムファイターズと契約更改をして、年棒2億円に最速で達した選手となり、日本ハムの元エース・ダルビッシュ有選手に並んだ。

大谷選手は2億円の契約にサインをした。給与は今シーズンの2倍になる。大谷選手とダルビッシュ選手は、高校を卒業してわずか3年でこの額で契約をしたたった2人の選手だ。

この右投手(大谷選手のこと)は、勝数(15-5)、防御率(2.24)、勝率(0.750)でパシフィック・リーグのトップに立ち、初のベストナイン入りを果たした。

「うれしさと、これからもがんばらないとという気持ちとが入り混じった感情です。2億円は信じられないような数字ではありません。それを絶対に目指していたし、こんなビッグな選手になりたいという願望がありました」と大谷選手は語った。

日本ハムは、強打者の中田翔選手ともチーム最高額の2億4500万円+出来高払いで契約を更改した。

National News

DPJ, Ishin no To take step toward united front (p. 4)

民主と維新、統一会派結成で合意

日本で2番目と3番目に大きい野党の党首らは12月7日、来年夏の参議院選挙を前に、与党自民党に戦いを挑むために協力を強化することをはっきりと目指して、来年の通常国会で共同の統一会派を形成することで合意した。

民主党の岡田克也代表と維新の会の松野頼久代表は、「政党を1つにすることも視野に入れて」関係を深めることでも合意した。

National News

Man held over laser shining on U.S. aircraft (p. 4)

普天間飛行場レーザー照射で男を逮捕

地元の実業家は12月7日、米軍の航空機が7月に沖縄の米軍基地付近を飛行していたときに、レーザー光線と疑われるものを飛行機に向けた疑いで、逮捕された。

ビデオ関連の会社の経営者である平岡克朗容疑者(56)は、米海兵隊普天間飛行場の付近で、4人の海兵隊員を載せていたヘリコプターに、7月1日午後9時ごろ、自宅近くの駐車場から3回緑色の光線を向けた疑いで逮捕された。

沖縄県警は、平岡容疑者がレーザー光線を放ったことを認めていると述べている。

National News

Obama hails Ozawa for bridging East and West (p. 4)

オバマ大統領、小澤征爾さんを称賛

アメリカのバラク・オバマ大統領は12月6日、アメリカ文化への生涯を通じての貢献を称える今年のケネディ・センター名誉賞受賞者のホワイトハウスでのレセプションで、指揮者の小澤征爾さんを文化の架け橋となったとして称えた。

オバマ大統領は、日本人で初めて同賞を受賞した小澤さんのことを「征爾さんはクラッシック音楽で東西に橋を架けることに生涯を捧げた」とレセプションで述べた。

小澤さん(80)は、オバマ大統領がこの指揮者の言葉「 音楽は言葉よりも簡単に理解できる」を引用して紹介すると、拍手で迎えられた。

National News

Sandwich-like rice dish is 2015's top dish (p. 4)

「今年の一皿」に「おにぎらず」

日本の伝統的なおにぎりの斬新な解釈「おにぎらず」が2015年の「今年の一皿」に選ばれた。このサンドイッチのような料理は漫画のシリーズで紹介されて20年以上経ってからブームを巻き起こした。

この名称は、ゆるく訳すと「にぎらない」という意味で、「クッキングパパ」という長期連載の漫画シリーズで初めてこの料理を描写したうえやまとちさんが考案した。

「子どもが小さいときに、妻がこの料理を急いでぱぱっと作ったのを見て、漫画に描いた」とうえやまさんは話した。

World News

Venezuela opposition enjoys big Congress win (p. 5)

ベネズエラ総選挙、野党連合勝利

ベネズエラの野党は、議会選挙で衝撃的な勝利を果たして喜び、17年間の社会主義支配の後にニコラス・マドゥロ大統領から権力を奪回できる3分の2の圧倒的多数を確保できたかどうかを知るために最終的な集計結果を緊張しながら待った。

野党の連合民主統一会議は12月7日、マドゥロ大統領を除外するプロセスを開始するのに必要な最低限の議席数を獲得したと宣言した。

野党連合は167議席の議会中99議席を少なくとも獲得したと、選挙管理当局が発表した。

World News

Suspected London Tube knifer had IS photos (p. 5)

ロンドン地下鉄で刺傷事件、容疑者とISの関連を捜査

ロンドンの地下鉄の駅で12月5日に「これはシリアのためだ」と叫んで乗客の首を切りつけたとされる男が、「イスラム国(IS)」に関連する画像を携帯電話に持っていたと、12月7日に検察が発表した。

起訴弁護士のデイビッド・コーソーン氏は、ムハイディン・ミール容疑者(29)が「暴力的で持続的で一方的な」攻撃を56歳の男性に行ない、男性を殴り、首を切りつけたと述べている。被害者は12センチの傷に5時間の手術を要し、容態は安定している。

World News

Canada promises to legalize marijuana (p. 5)

カナダ政府、マリファナ合法化へ

カナダのリベラル派の新政府は、12月4日、10月19日の選挙後の議会の再開に伴い、議題の概要を説明する演説のなかでマリファナを合法化すると約束した。

カナダのデイビッド・ジョンストン総督による演説は、ジャスティン・トルドー新首相がマリファナの嗜好品としての使用を合法化して規制する計画を繰り返した。これは、トルドー首相が2013年に自由党の党首になってからずっと取り続けていた立場だ。

トルドー首相は、マリファナの合法化はドラッグに関連した「犯罪的な要素」を取り除くのに役立つと述べている。

World News

Pistorius convicted of murder in appeal court (p. 5)

義足ランナーのピストリウス被告、殺人罪で有罪

南アフリカ最高裁判所は12月3日、オスカー・ピストリウス被告に殺人罪で有罪の判決を言い渡し、高等裁判所での判決を覆した。高等裁判所では、この両足義足のオリンピック選手(ピストリウス被告のこと)が恋人のリーバ・スティーンカンプさんを2013年に射殺した事件で、過失致死罪という、より軽い罪を適用していた。

「被告は殺人の罪で有罪になるべきだ」とブルームフォンテーン最高裁判所のロリマー・エリック裁判官は述べた。

最低でも禁錮15年の刑を受ける可能性があるピストリウス被告は、1万ランド(94,000円)で保釈されていた。

Business & Tech

'GunTV' to sell firearms to U.S. viewers (p. 6)

米で銃器の通販専門チャンネル開局へ

(来年)1月に24時間放送の買い物チャンネルが開始され、アメリカ人はまもなく、ソファーで快適に過ごしながら最新の銃器を購入できるようになる。

これは、米国で銃による暴力が行われている中での動きで、12月2日のカリフォルニアでの銃撃事件で14人が死亡した後、新たに綿密な検査が行なわれている。このチャンネルは、「ソーシャル・レスポンシビリティ・ネットワーク」と呼ばれる組織によって開始され、同組織によると、「米国での銃器の取引に関する教育、情報、安全」に関する需要に応じているとのこと。

銃器を消費者に直接届けるのではなく、商品を各地の銃器店に配送する。

Business & Tech

Japan poised to build India's first bullet train (p. 6)

インド、日本の新幹線を採用へ

日本はインド初の新幹線を建設する計画で、日本政府はインド政府に1兆円を貸し付けてこのプロジェクトに融資していると、日本の主要な経済紙が12月8日に報道した。日経新聞は、その情報源を引用せず、新幹線はムンバイとアメーダバードの2都市をつなぐ予定だと報じた。

この報道は、それ以前に今年、インドネシアでの高速鉄道の取引で日本が勝利できず、中国の提案に座を奪われたことに続いた。インドとの契約は、2007年の台湾との契約に続き、日本が新幹線の技術を海外市場に輸出するのに成功した2番目の事例となる。

Business & Tech

Xi's tipple sends U.K. ale exports soaring (p. 6)

習主席、英ビールの輸出拡大に貢献

英国のビール醸造会社グリーンキングは12月2日、(中国の)習近平国家主席が最近の英国訪問中に1杯楽しんでいるところを写真に撮られてから、同社のインディア・ペールエール(IPA:ホップが多く苦みの強いビール)の中国への輸出が16倍に増えたと発表した。習近平国家主席が10月の訪問中にデーヴィッド・キャメロン首相と共に英国南部のバッキンガムシャー州にあるパブ「ザ・プラウ」を訪れて以来、この醸造会社は5万ケースのビールを中国に輸出した。「過去たった数週間で中国からのIPAの注文は16倍に増え、現在、中国の旧正月に間に合うように5万ケースが船で運ばれている途中だ」と、グリーンキングのルーニー・アナンド会長が述べた。

Business & Tech

London Zoo offers chance to sleep with lions (p. 6)

「ライオンと一緒に宿泊」、英動物園の新サービス

ロンドン動物園は12月3日、訪問者がエキゾチックな休日を味わえるようにライオンの展示施設内に建設している新たなサファリー・ロッジへの予約を受け付け始めた。この「動物園が見える部屋」は、「ランド・オブ・ザ・ライオンズ(Land of the Lions)」内に位置している。「ランド・オブ・ザ・ライオンズ」は来年オープンし、絶滅危惧種であるインドライオン(アジアライオン)の繁殖担当チームの活動拠点となる。一泊の値段は、2人で378〜558ポンド(7万〜10万円)で、ドリンクとコースディナー、朝食、ロッジでの宿泊、動物園の開園前のツアーが含まれる。宿泊客は、展示施設内の「(ライオンの)唸り声が聞こえる距離の」9棟ある木造の小屋に宿泊する。

Business & Tech

Majority of French support Sunday working (p. 6)

仏国民、過半数が商店の日曜営業に賛成

新たな世論調査によると、フランス国民の3分の2以上は、自分自身が働かずに済むのなら日曜日に店を営業することに賛成している。オドクサ(Odoxa)の世論調査に回答した人の68%が、日曜営業を支持すると述べた。しかし、日曜日に定期的に働きたいかどうかと質問されると、53%が「いいえ」と回答し、ほとんどの回答者が、この日(日曜日のこと)は家族と過ごす時間だと考えていると述べた。7月に、フランス議会は一連の経済改革案を採用し、日曜営業の規制を緩和した。この政策パッケージの主な施策の一つは、特定の観光地区の店が毎週日曜日に営業することを許可するというものである。

Business & Tech

Hot demand for dress worn by Princess Charlotte (p. 6)

シャーロット王女着用のワンピースに注文殺到

スペインの家族経営の子ども服店は、最近の公式の写真で英国のシャーロット王女が着ていたような服を求めて、世界中から注文が殺到している。「世界最大の広告代理店でもこんな反応は得られない。信じられない」と、M&Hの創業者マルガリータ・パトー氏は話し、同氏は雑誌で写真を見たときに、自分のデザインした服をシャーロット王女が着ているのを確認している。

しかし、この店は生産を上げる予定はなく、なぜなら、王女の服に使われたピンク色の花柄の布はあと20着の服を作る分しかないからだ。

スペイン語で「母と子」を意味するM&Hは、2009年にパトー氏によって始められた。

This week's OMG

Smuggler with turtles in pants pleads guilty (p. 8)

ズボンにカメ51匹、密輸で逮捕の男が有罪に

2014年8月に国境検閲所で逮捕された、ズボンに51匹の生きたカメを入れていたカナダの大学生は、12月1日、ミシガン州のアン・アーバーにある米連邦地方裁判所で6つの密輸の容疑に対して罪状を認めた。

オンタリオ州のウィンザーに住むカイ・シュー被告(27)は、2014年4月から2014年9月に逮捕されるまでの間に、1,600種類以上のさまざまな種のカメをアメリカ国外へ密輸したり密輸しようとしたことを認めた。6つの訴因のいずれにおいても、最長10年の懲役判決が言い渡された。

刑事告訴によると、2014年8月、シュー被告は米国・カナダ間の国境をわたってデトロイト州に入り、手荷物受取所で荷物を受け取ったあと、もと来た国境へ向かう前に品物(カメのこと)を運び屋に渡しているらしいところを米国の捜査官が目撃したという。

この刑事告訴によると、デトロイト・ウィンザー・トンネルを通過して戻ろうとしたところ、シュー被告はカナダ国境サービス機関のスタッフに呼び止められ、同機関はテープで被告の足に固定された41匹の生きたカメや、足の間に隠された10匹のカメを発見し、押収したという。

シュー被告は逮捕された日、スーツケースに1,000匹以上のカメを荷詰めし、これを雇った密売人に渡しデトロイトから上海に送らせようとしていたと、検察官らは述べた。

Essay

My friend, the enemy (p. 9)

私の友達は敵

面と向かって敵と出会うことはまれだ。しかし、敵と間近で会ってみると、固定観念が打ち破られ、偏見を捨て、言語、文化、イデオロギーの違いを越えて友情を生み出すことがよくある。

私が最初に会った敵は、1970年代にさかのぼり、ソビエト連邦出身のロシア人だった。彼の名はセルゲイ。カナダとソビエト連邦間の科学者交換留学制度で私の大学に派遣されていた。偶然、学生課が私の寮に彼を入居させることに決めた。

セルゲイが到着したとき、キャンパスでは大ニュースになっていた。ロシア人だ!共産主義者だ!私たちの寮に来る!当時は冷戦中で、私たちはいつもロシアは「敵」で、ロシア人は「悪」だとずっと教わってきた。

セルゲイは面白い人だということが分かった! 背が高く、まじめで、きつい訛りの英語を上手に話した。彼の専門分野は原子物理学だった。

彼が到着した夜、私たちはささやかな歓迎パーティーを準備していた。紹介の後、友人たちは質問をし始めた。「ロシアにテレビはあるの?」「電話はある?」「車はある?」。セルゲイはびっくりして、「冗談を言っているの?」と尋ねた。残念ながら、冗談ではなかった! クラスメートの何人かがどれほど無知であるか、どれほど世界のことを少ししか知っていないかに気づくことは、恥ずかしいことだった。

セルゲイと私は、すぐにいい友だちになった。彼はカナダの社会と資本主義について知りたがった。私はソビエト連邦と共産主義について知りたかった。教育や歴史から、経済や政治に至るまで、幅広い話題で幾晩も幾晩も語り合った。

セルゲイがカナダの暮らしに慣れていくのを見るのは興味深かった。彼はホッケーが好きで、決まってNHLの試合を毎回見て、われわれカナダの優勝者と、彼の祖国のソ連のチームとを熱心に比較した。

セルゲイはジャンプ傘に惚れ込んだ。当時、ロシアには手で開く傘しかなかった。カナダで、彼はボタンを押すだけでひとりでに開く傘に驚いた。西洋の技術だ!

セルゲイが私たちの資本主義システムについて一番ショックを受けていたのは、カナダのお土産だ。どのお土産店にもカナダの国旗が売られている。セルゲイはそのラベルを近くで見てみたとき、「中国製」と記されているのを見て驚いた。「自分の国に誇りを持っていないの?」と彼は私たちに尋ねた。「資本主義は、自分の国のエンブレムを海外で生産するほどまでに堕落しているの?」

セルゲイがカナダで過ごした年月はあまりにも早く終わった。言語や文化、イデオロギーの壁にかかわらず、私たちはお互いを信頼し、尊敬し合うことと、2つのかけ離れた社会の強みと弱点を理解することを学んだ。

ずっと後になって、ソビエト連邦が崩壊した後、私たちはモスクワで会った。セルゲイは鳥取まで私を訪ねて来てくれさえした。毎回、私たちはウォッカを片手にカナダでの学生時代を懐かしみ、「敵」を同じ人間として見ることの重要性を思い出すのだった。

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