12月の第1週、私はよくある状況に陥っていることに気づいた。日本語能力テストを受ける予定の日まであと5日しかないのに、試験勉強を実にしていないことに気がついた。いつもなら、その後の数日間、吸収性の高いスポンジのようにあらゆる情報を吸収できることを期待して、教科書をじっと見て過ごしていただろう。このような一連の行動はお勧めしない!
それでも今回は、詰め込み勉強に創意工夫した。このテスト向けの動画シリーズをユーチューブで発見して、一気に見た。試験勉強をするという信頼が自分に持てなかったので、適切な助詞の使い方について語る初めて見る人を信頼することにした。
今回の全ての状況は、私の人生のいかに多くの時間がこのストリーミングサイトの小さなビデオプレーヤーを通じて流れているかを思い起こさせた。それに私だけではない。昨年は、ホームメイドスター(自身で映像を作って配信し、スターになった人のこと)がメディアで広く注目を集めるようになり、ユーチューブで活動を始めたアーティストの中には主流の成功を収める人もいて、日本のユーチューブにとってはかなり大きな年だった。ユーチューブが日常生活のその他の部分を多くの面で置き換えていることは言うまでもない。
ユーチューブは、この10年間でずいぶん進歩した。10年ほど前、勉強の代わりに(相変わらずだ!)、猫の動画と、トランポリンの事故動画の寄せ集めを見るのにこのサイトを主に利用していたことを覚えている。しかし今となっては、ユーチューブには、カメラに向かって語り、映像を共有する世界中の人々が大勢いる。ユーチューブユーザーで最も有名な人の中には、メークの指導や、料理のレッスン、主要なニュースから個人的な話題に至るまでさまざまなトピックについて語るだけの人たちもいる。
日本にもしばらく、動画のプラットフォーム「ニコニコ」という形で、このようなものがあった。しかし、昨年1年間で、ユーチューブは若い世代と独自のスペースを切り開いた。HIKAKINやDaichiなどのようなパーソナリティ―どちらも最初はビートボキシング(口で打楽器のリズムを奏でること)で注目を集めた―が、ひたむきで少し間抜けな様子で、何千人ものフォロワーを集め、このオンライン上での勢いを活かして、さらにたくさんのオーディエンスにリーチした。
昨年最大のユーチューブの成功の話題の一つは、欧米のポップミュージックの日本語バージョンを歌い始めた歌手のMACOだろう。彼女は、ユニバーサルミュージックジャパン社と契約し、確実に売れるデビュー・アルバムをリリースした。
ただ、ユーチューブが多様化すればするほど、私は(私が知っている多くの人々も)、気がつくと、より実用的なアプリケーションを求めてユーチューブを頼りにしている。妻と私は、新しい料理の作り方を知るためにこのサイトで動画を見て、かたや、私はネクタイの結び方のさまざまな動画をブックマークに入れている。そして、世界中で音楽ストリーミングサービスが台頭しているにもかかわらず、私はいまだに、ユーチューブには、いつでもどこでもアクセスできる、このデジタル上の領域内で最大の音楽コレクションがあると思っている。
そうは言っても、デジタルに従来の手段が優ることもある。日本語のレッスンを試験前に詰め込んでも、試験で高得点を取った確信はない。次は、たぶん、オンライン動画を見た方がいいし、教科書も前もって読んでおく方がいいと思う。