電話でのチャットグループの1つは、私にとって本当にストレスになる。このグループは「勝つために減らす」と呼ばれている。
肥満率を減らすという全国キャンペーンに触発されて、同僚の何人かが減量の競争を始めた。この競争のチャットグループで、私たちはお互いにやる気を出すために、栄養や運動に関する記事を共有している。食事や運動の写真も投稿している。
「勝つために減らす」はどのように機能しているだろうか? この競争に参加するには、各人は15シンガポールドル(1,200円)を支払う。2週間に1度、オフィスの体重計に乗って体重を測る。1キロ増えるごとに、罰金15ドルを払う。集まったお金は、共同の賞金として溜まっていく。
3カ月の終わりに、最後の計量がある。勝者は一番の「ルーザー」つまり、最初の計量から最も減量率の高かった人だ。賞金全体の50%をもらえる。2位が30%、3位が残りの20%をもらう。
ある同僚は自身をさらにやる気にさせようとした。彼女は3位までに入らなければ500ドル(4万円)を共同の賞金に入れると約束した。これがかなりのわくわく感を引き起こし、また別の同僚がすぐに200ドル(1万6千円)の寄付を約束した。彼も、3位までに入賞しなかった場合という条件付きだ。3人目の人が賞金額をさらに追加し、賞金額の合計は1,000ドル(8万1千円)になった。
4桁の賞金にだれもがやる気になった。参加者の何人かはオート麦を朝食にとるようになり、夕食にオート麦を食べる人もいた。皆の運動量も増えた―バドミントンからランニング、サイクリングまで。新しいお菓子が食品収納スペースに現れると、いつもよりも自制心を働かせるようになった。
私は運動をもっと楽しむようになったが、お菓子やおいしい食べ物を減らすのは大変だった。食べ物を喜びとして見ていて、カロリーを計算したことはなかった。しかし、3年前に日本を離れて以来、私は5キロ太った。私のBMI値は19.8でまだ健康的な範囲に入っているが、増えた体重をいくらか元に戻したい。
それで、私の仲間の参加者たちが懸命に減量しようとしているのを見るとストレスを感じるのだ。彼らがより健康的なランチの写真や、春節のごちそうを減らすように思い出させるもの(例えば「パイナップルタルト1つ分のカロリーを消費するには、50階まで登らないといけません!」など)を投稿すると、私は励まされるよりも落ち込むのだ。
しかし、私は辛抱するつもりだ。ストレスはやる気を出させてくれるいいものにもなるし、皆がしているように、健康的な食生活を培おうと思う。賞金をもらうのはうれしいが、もしもらえなくても、それでも、より健康的に生きようとしたことで自分は勝者だと思えるだろう。