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2016年3月4日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Scandals, here and abroad (p. 9)

日本と海外のスキャンダル

これまで午後10時に始まるテレビ番組を楽しみにしたことはなかったと思うが、人気ポップ・グループのSMAPがスーツを着て堅苦しい表情で謝罪をする生放送ほど並外れたコンテンツを誇る番組はほとんどない。

彼らの罪は? グループ解散のうわさの真っ只中にいることだ。

これまでのところ、2016年は、特に音楽業界のものを含め、日本のエンターテイメント界におけるスキャンダルでいっぱいだった。SMAPの騒動のほか、テレビ番組のパーソナリティであるベッキーと、人気ロックバンドのゲスの極み乙女のリードシンガー川谷絵音との不倫疑惑も、新聞とテレビの放送時間を独占した。

エンターテイメント界のスキャンダルは、どこでも多くの関心を引く。私はロサンゼルス出身だが、ロサンゼルスでは有名人のゴシップはいつも求められており、毎週新しい話題がスポットライトを浴びる。ツイッターやインスタグラムなどのソーシャルメディアの台頭も、全てを加速するだけで、午後の間、オンラインでいかがわしい話も出回っている。

それでも、最近の日本のエンターテイメント界のスキャンダルは、日本と海外のスキャンダルの大きな違いをいくつか際立たせた。グループ解散のうわさは西洋ではよくあることだ―ワン・ディレクションの解散はリアルタイムで実質的に起こった―が、日本ではタレント事務所や音楽レーベルがより力を持っている。興味をそそるちょっとした情報が出回ることなんてないのだ―ジャニーズ事務所のような会社は、アマゾンのようなウェブサイトが新発売のアルバムジャケットをオンラインで取り上げることすら許さない。ミュージシャンがファンに謝罪をするのを見るのと、SMAPがテレビの生放送で、自分たちのタレント事務所の社長ジャニー喜多川氏に謝罪するのを見るのは別なことで、かなり奇妙だ。

一方、ベッキーの件も、日本のエンターテイメント業界で見られる別の問題に光を当てている。結婚している川谷氏と不倫をしていることをキャッチされた結果、ベッキーは多数のコマーシャル契約と司会を務める番組を失い、キャリアに大打撃を受けた。ベッキーはメディアの注目の的にもなっている。しかし、妻を裏切った男、川谷はどうだ? 彼はこの件ではほぼ無傷で難を逃れ、彼のバンドの最新アルバムは出だしから、日本のオリコンチャートでナンバーワンを獲得した。

このような不倫のドラマは、西洋のエンターテイメント界でも定番だが、過去10年間、メディアと大衆は、独身女性よりも結婚している男性の方を非難する。そう、ベッキーは川谷よりもテレビによく出ている。ベッキーは、テレビや広告など、いたるところに登場しているが、川谷はバンドでしか出ていない。自然と、注目はベッキーに集まる。単にベッキーの方が2人のうち、より有名だからというだけだ。しかし、そういう文脈を考えても、ベッキーの騒動がアメリカで起こったとしたら、かなり異なる取り上げられ方をしただろう。いや、少なくとも、オンライン上の反応はかなり違ったはずだ。

それでも、一つだけ確かに同じなのは、そのニュースはメディアを独占しただろうということだ。どこでも人はとっておきのスキャンダルが大好きだから。

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