先週、大勢の人々がKCON Japan 2016に参加するために、千葉県の幕張メッセに押し寄せた。この2日間のイベントは、「韓流の全て」を祝い、世界中で韓国の文化の人気が高まっていることに言及した。Kポップの大スターを呼び物にしただけでなく、KCONには韓国の化粧品から観光まで、あらゆる(韓国の)ものに特化した多数のブースが入っていた。
それは非常に人気の高いイベントで、あらゆる年代のファンを引きつけているが、それが起こっていたことを知らなかったからと言って責められるわけではない。世界的な流行を引き起こしてはいるものの、韓国のポップ文化は日本ではニッチな関心にとどまっている。ニッチにしてはかなり多くのファンがいるが。日本の韓流の全てに大きなファンのベースがあるが、日本のテレビ番組や出版物は、めったに韓流を取り上げない。
いつもそうだったわけではない。日本に住んで初めての夏、どこへ行っても、少女時代やKARAといった女性グループのKポップ曲を聞かなかったことはない。テレビをつけるたびに、番組では、韓国のポップ文化のブームについて語られていて、韓国のテレビシリーズもあった。BoAや東方神起といった韓国人アーティストも以前から日本にやってきていたが、これがとても違う感じがする。そうしたアーティストたちは、日本語で新曲を発表しているのに対し、このアーティストの新たな波は、Jポップとはとても異なって聞こえて、韓国語であることの多いシングル曲で注目を集めていた。
誰もが韓流を心から歓迎したわけではない。俳優の高岡奏輔氏は2011年に、フジテレビが韓国のテレビ番組をあまりにもたくさん放送していて「洗脳されている」と感じる、とツイートした。テレビの主要人物マツコ・デラックスも、バラエティー番組でKポップを同様に非難し、さまざまなグループが、韓国の番組を放送するテレビ局の外で抗議をした。それにもかかわらず、ビッグバンや2NE1などのKポップ・グループは、野球場(でのコンサート)が売り切れになり、日本の音楽番組にも頻繁に出演していた。私が教えている中学生の多くが、当時、そうしたグループに夢中になっていて、ペンケースを韓流フレンドリーのステッカーで飾っていたのを覚えている。
Kポップや韓国ドラマの日本人ファンがいなくなったとは思わないが、その取り上げ方が変わった。韓国のミュージシャンは、膨大な売上を記録していて、前年には紅白歌合戦に3組が出演していたにもかかわらず、2012年のNHK紅白歌合戦にはKポップの出演者がゼロだった。両国の政治的緊張が増していることに言及する人もいたが、その後すぐにKポップはほぼ全てのチャンネルから消えた。昨年、NHKは無料放送のチャンネルで韓国テレビのシリーズを放送しないと発表し、これは、日本の韓流へのさらなる打撃だった。
その存在を認めない方向へ動いているにもかかわらず、Kポップは日本の多くの人々に今なお人気だ。AOAやブロックBといったグループが音楽チャートではよく売れているし、3人の日本人メンバーがいるTwiceという女性グループもそうだ。この3組は皆、KCONに出演した。それは、日本のメディアが政治的な理由で韓流から徐々に遠ざかっているにしても、韓国のポップ文化好きが何千人もの日本人を一つにし続けていることを思い出させるものの最たるものだった。