「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら

記事全訳

2016年4月22日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Losing my accent (p. 9)

アクセントを失う

最近、東京を訪れる友人の友人に会い、彼らは私に出身を尋ねた。日本に暮らしているので、私はこうした質問をたくさん受けることに慣れている。しかし、まだ慣れていないのが、私の回答に対する人々の反応だ。よくこんなふうになる:

「どちらからいらっしゃいましたか?」「イギリスから来ました」「本当に? 本当にそうなの? イギリスの発音に聞こえなかったので」

自分の出身国はかなり確かなのだが、私がイギリス出身だということを多くの人は信じがたいと思う。それは、私の外見や振る舞い方のせいではなく、話し方のせいだ。外国に住むうちに、イギリス英語を失ってきたようだ。

では、イギリス英語とは正確には何なのだろうか? 典型的なイギリス英語とは、「クイーンズ・イングリッシュ」あるいはRP(容認発音)と呼ばれるものだ。クイーンズ・イングリッシュの話し始めるための方法を少し挙げよう。

まず、-erや-orで終わっている単語のRの音を落とす。例えば、mirror(鏡)はmirah、brother(兄または弟)はbrothahになる。次に、bath(お風呂)やlast(最後)などの単語のAの音を長く発音する―baahthやlaahstのように。3番目に、waterやlittleといった単語のTの音をはっきりと発音する。最後に、duty(責務)のような単語のUの音をyouのように聞こえるように発音する―dyoutyのように。

最近、Rを以前よりもはっきりと発音し、アメリカ英語の標準的な発音のようにTの音をDのように発音している自分に気づくことが多い。それから、自分の国にいる友人たちよりもずっとゆっくりと話す。このことから、私がイギリス英語の発音を失っていることは、日本にいて、自分の言っていることを理解してもらおうとしていることと関係があると考えるようになった。

数年前に日本に初めて来たとき、私は英語の教師として働いていた。初めは、生徒たちは、私の発音のために理解をするのに苦労していた。さらに、私は、ほとんどがアメリカ出身の教師たちの集団のなかで、唯一のイギリス人だったのだ。だんだん、私は生徒がよりなじみのある発音の仕方で単語を発音し始めるようになり、知らず知らずのうちに、イギリス英語の発音を失ってしまったのだ!

もちろん、イギリスにいるすべての人々がクイーンズ・イングリッシュの発音をするわけではない。日本と全く同じように、国中に異なる訛りがある。実は私の出身のロンドンでは、どのエリアにいるかによって3つ以上の異なる訛りを聞くことができる。だから、上流階級の多いロンドン北部から来た人は、コックニー英語(庶民の発音)を話すかもしれないロンドン東部から来た人の発音とはとても異なっている。

私には、これが言語を面白くしていることだ。次に英語を使うときは、新しい訛りで話してみてはどうだろう? ただ、もともと持っていた発音を失わないように気をつけて。

Top News
Easy Reading
National News
World News
Science & Health
This week's OMG!
Essay
  • アクセントを失う

サイト内検索

2018年6月29日号    試読・購読   デジタル版
目からウロコの英文ライティング

読者の声投稿フォーム
バックナンバー