南カリフォルニアに住む母と父が日本のポップ文化についてメールを送ってくるとき、私はいつも驚かされる。素晴らしい親らしく、彼らは私がJポップについて書いたすべての記事を律儀に読んでいる。しかし、理解できない言葉で作られているエンターテイメントをさらに深く掘り下げることはめったにない。
だから、日本のグループのベビーメタルが先月、アメリカの深夜番組で演奏していたのを母が見てどれだけ楽しんだかを私にメールしてきたときは、驚いてメールを二度見した。「ベビーメタルはとてもかわいくて面白かった。後ろにいる白いフェイスペイントをしたバンドはちょっと気味が悪いけど」。
Jポップとヘビーメタルを融合させた10代の女性3人組に夢中になっている日本国外の人々は、両親だけではない。この春、ベビーメタルはイングランドとアメリカで、完売となったショーで演奏をした。メディアの注目もたくさん集めている。BBCは彼女たちについての番組を放送し、あらゆる音楽関係の出版物からインタビューを受けている。とどめとして、最新アルバムの『Metal Resistance』はアメリカのアルバム・チャートで39位になり、日本のグループとしては珍しい偉業を果たした。
ベビーメタルは現在、世界では日本最大のミュージシャンとなっているが、彼女たちは型破りな方法でこれを達成した。このグループは2010年にさくら学院と呼ばれるプロジェクトの一部として結成された。さくら学院は、学校の制服を着てかわいい音楽を演奏するJポップのグループだ。当時、彼女たちは、ラジオで親しみやすい魅力のあるものも受け入れるメタルファンというニッチな聴衆を引きつけようとしているように見えた。
わずかな聴衆をターゲットにしていたが、ベビーメタルの背景にあったアイデアはすぐに多くの関心を引いた。あっと驚く映像とぶっ飛んだライブのおかげで、ベビーメタルは日本国外の視聴者の関心を集めた。彼女たちは確実に、日本の「変な」最新の流行のように見えるものとして注目された―インターネット上で欧米からの注目を集めるほとんどの日本のミュージシャンやテレビタレントは、誰もが彼らのことを変わっていると思われて注目される。
その見方はいつも、日本人アーティストを目新しいだけのものにしてしまうが、ベビーメタルはこの状況をうまく扱った。彼女たちは、北米とヨーロッパでのショーやお祭りで演奏し始め、ステージへの彼女たちの驚くべき存在感が―ベテランのミュージシャンがバックバンドを務める―ヘビメタファンを魅了した。ベビーメタルを応援する熱心なファン基盤を築き、そのことがメディアの注目やライブ・コンサートを増す助けとなった。
この欧米からの注目によって、彼女たちが生まれた国でもさらに大きくなっていった。日本人の聴衆たちは、海外で盛り上がるグループをチェックしたいと思うようになり、国内でのさらに大規模なショーにもつながった。このことは、今度は、国外からもさらに注目を獲得することになる。この息の長い関心が、たわいないYouTubeの目新しさから、アメリカの音楽チャートで歴史をつくるだけの音楽の勢力へと移行させる結果となり、フェスティバルでも大きな枠で演奏できるようになった。
このグループに次は何が起こるのか、ベビーメタルとしてどこまで進むことができるのかは時間がたてば分かるが、彼女たちはすでに、ほとんどのJポップの演奏者よりも世界的な達成を遂げている。私の両親の関心を捉えたということも含めて。