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2016年7月15日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

All work and no play (p. 9)

よく働きよく遊べ

金曜日の夜9時30分、to-doリストのまだ途中だった仕事を終わらせようと、大忙しで机に向かっていた。朝早くから身体に良くないペースでコーヒーをがぶ飲みしていて、継ぎ足す必要があったので、キッチンに向かうと、湯沸し器に実に行列ができていた! それは毎日のことで、そんなに遅くまで働いていたのは私だけではなかった。これが日本だ。残業が職業生活で普通のことになっている。しかし、残業は普通のことにできる、いや、すべきなのか?

日本は、「バブル」時代に遡る長時間労働で悪名高い。バブル時代とは、会社の従業員が大隊の兵士にもっと似ていた時代だと、聞かされている。夜遅くまで残業するというこの献身は、一部には、80年代中の高度経済成長を進めたと言われている。今では、しかし、残業はうつ病や労働関連死にまでつながる可能性があるということに人々は気づき始めている。働いて、働いて、働いて、という連鎖反応は、どんどん悪い方向へ行く。

この問題への取り組みについてはたくさんの話がある。最近では、政府が残業時間に上限を設ける政策をまとめていることをニュースで読んだ。残業に対する考え方に変化が起こっている証拠を目にしてきた。例えば、友人たちが、長時間働き過ぎた時には1日休みをとらなければならないと言ったことがある。もしこうしたことが頻繁であれば、時間管理を改善する方法について、上司とミーティングをしなければならないという。

手に入る最新のOECDの数値によると、日本は2014年に平均1,729時間働いていて、韓国の2,124時間、アメリカの1,789時間よりもずっと少ない。一方、フランス、ドイツのようなヨーロッパ諸国は、かなり出勤時間が少ない。父は私の故郷のロンドンの銀行で働いているが、つまるところ、彼はほとんどの人々よりも長い日数を働いていることになるだろう。しかし、彼はたいてい、午後5時30分頃には仕事を終え、同僚全員が午後8時までには会社を出ているという。契約で決められた時間以降も働くのは締め切りがある場合だけで、残業はときどきある必要悪とみなされていて、企業文化の一部としては受け入れられていない。

では、なぜ、長時間労働が当然のことである国もあれば、そうでない国もあるのだろうか? それは日本の集団行動という広く喧伝されている考え方のせいなのではないか? だが、熱心に働くアメリカには、このようなグループ志向のメンタリティーはないと言いたい。

おそらくそれは、仕事での成功をわれわれが測る方法と関係があると思う。私たちは、仕事を完了するよりも、働いた時間数に焦点を当てている。遅くまで働くことが、自動的に、よりいい仕事をしているということになる、そうだろうか? たぶん、もう優先事項を吟味した方がいいときが来ている。

というわけで、私は帰宅する。

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