アップスピーク、または言語学者が半疑問形(尻上がりのイントネーション)もしくは上昇調のイントネーションと呼ぶものは、北米の若い女性によく見られる話し方で、とりわけ、西海岸に多い。話し手の声が語られているフレーズや文の最後で下がるのではなく上がる。
私が初めてアップスピークに出くわしたのは東京で、カリフォルニアに住んで学んだ後に帰国した若い日本人女性と、レベルチェックのための面接をしていたときのことだった。アップスピークは彼女たちの英語の話し方とは切り離せないものになっていた。イギリスに住んで勉強していた日本人女性には、アップスピークを聞いたことがない。
アップスピークに関しては、アップスピークを使うのは若い女性だけなのかどうか、アップスピークを使うと話し手は自信がない、または不確かな感じに聞こえるかどうかなど、激しく議論されている論点があり、オンラインでも見つかる。若い女性に非難が集中しているが確かにそうで、少なくとも1人の女性のライターは、女性がアップスピークを使うのは、男性の聞き手に下手の立場を示すためだと考えている。
アップスピークは仕事を得る機会に悪影響を及ぼすだろうか? 人の声は、就職面接で与える第一印象の重要な部分だということを私たちは知っている。低い声のCEOは高い声のCEOよりもたくさんお金を稼いでいるように見える。
アップスピークはどこからやってきたのだろうか? ニュージーランド人の話し方にアップスピークを聞いた人もいれば、ミネソタ州とノースダコタ州へのノルウェー系の移民のスピーチパターンにも聞かれたという人もいる。その起源についてはまだ結論が出ていない。
年齢によっては気づいてさえいないかもしれない。40代以上の人々はアップスピークを聞き取る傾向があり、アップスピークをする人については真剣でない、あるいは、知的でない、というように否定的な印象を持つ傾向がある。もしあなたが40歳以下であれば、もしかするとアップスピークに気づいていないかもしれない。もしあなたがアップスピークをする人で、40代以上の人と英語で職業面接があるかもしれないとしたら、上昇調のイントネーションを使わないように訓練した方がよい(それぞれの文で下へ下へ階段を降りて歩いて行くのを想像してみよう)―特に、面接官が40歳以上の男性だったらなおさらだ。
どの言語にも、10代の少年少女には独特の話し方があり、それは、頻出する新しい表現や隠語などとともに、絶えず変化していく。日本人の少女が「えーとさ…、あのさ…」と各文で数回使うのを聞いたことを覚えている。これは、若いアメリカ人が今、間接話法の前に「like」(〜みたいな)を使うのとちょうど同じだ:"I was like, 'Why did you do that?' ”(「『なんでそうしたの?』みたいな」)。もしくは、いつでも使いたいときに、文の中で、likeと言って少し間が入り、再びlike、のように使われる。
私のアドバイスは―アップスピークを使う人でもそうでなくても―、あなたが耳にする英語のさまざまな種類を楽しみつつ、しかし、話し方やアクセントが、まあ、聞き手に与え得る悪印象を知っておこうということだ。