ハロウィーンは近年、日本で大騒ぎになってきた。10月31日が近づくと、コスチュームを身に着けた浮かれ騒ぎをする人たちが、東京の渋谷地域などの主要な街で通りにくり出し、うろうろして酒を飲む。かぼちゃのモチーフを中心にしたイベントが多くなり、早くも8月末からハロウィーンの飾りが店の棚に並び始める。
オレンジと黒のあらゆるものをこのように受け入れることをこれほど興味深くしているのは、この1年で最も不気味な日が、10年前には日本にほとんど存在しなかったということだ。私が英語教師として初めてここに着いたとき、10月が来ると、人気のレッスンはすっかりハロウィーンを中心にしたものだった。この祝日の起源を説明し、中学生に各種の怖い怪物を紹介し、「お菓子をくれないといたずらするぞ」の練習までした(主任の教員からキャンディではなく鉛筆を使わせられたが)。
当時は、ハロウィーンについてアニメ映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』で描かれている以上のことを知っている人はほぼ皆無だった。今では、アメリカ版とはかなり異なってはいるものの、若者の間で流行のイベントになっている。例えば、キャンディを求めて、知らない人の家の戸をたたく人はいない。それに、凝った模様を彫ったかぼちゃを個人宅の外で見ることはない。
それでも、いくつかの主要な要素が人気になった。浮かれ騒ぎをする人たちは、怪物から有名な映画の登場人物に至るまで、さまざまなコスチュームを着る。ややものぐさな人たちは、変わった帽子や猫の耳を身につける。ドン・キホーテなどコスチュームや奇抜なアクセサリーを販売する店では、このブームで儲けている。
ハロウィーンの週には―特に10月31日の夜には―、何千人もの人々が人気の場所に集まり、通りで楽しむ。海賊や高校生、ドラえもんの格好をして、渋谷の交差点などの地点を練り歩き、酒を飲み、コスチュームを着た周囲の大勢と一緒に写真を撮る。ここ2年間で、大晦日よりも多くの人を集めるまさに見ものになった。
しかし、なぜハロウィーンがこんなにファッショナブルになったのだろうか? 確実なことを言うのは難しいが、広告が大きな役割を果たしているのだろう。雑誌ではこの休日(ハロウィーンのこと)に多くの紙面を割き、ハロウィーンをテーマにしたコマーシャルも多い。ハロウィーンをかっこいい休日のように見せていて、若者たちは今ではハロウィーンに参加したがるようになった。
10月31日は、出かけようとすると圧倒され得るほどにまでなった―日本人以外の浮かれ騒ぎをする人たちが山手線で酒を飲むのを楽しむことが、最もワイルドなハロウィーン・パーティの形と見なされていた10年前を振り返ってみると面白い。私は3年前、グラミー賞受賞歴のあるDJのスクリレックスの格好をして渋谷をうろついていて、すでにかなり混雑していると感じていた。最近ではもっとぎゅうぎゅうに混むようになってきていて、若者がハロウィーンを楽しめるようになってうれしく思っている―私は誰も「お菓子をくれないといたずらするぞ」と欲しがらない砂糖菓子を食べて家で過ごす。