日本人の科学者の大隅良典氏が、オートファジー(自食作用)のメカニズムを解明した功績で、今年のノーベル医学・生理学賞を獲得したと、ストックホルムのカロリンスカ研究所のノーベル賞委員会が10月3日に発表した。オートファジーは、タンパク質を分解し、再利用する細胞間のプロセスのことだ。
この71歳の東京工業大学の名誉教授(大隅氏のこと)は、オートファジーが始まるメカニズムを明らかにし、ガンやアルツハイマー病、パーキンソン病などの病気の新治療法を発見する可能性を切り開いた。
大隅氏の発見は、「細胞がどのように自身の内容物を再利用しているのかを理解するうえで、新たなパラダイムをもたらした。彼の発見は、多くの生物学的なプロセスにおけるオートファジーの根本的な重要性を理解する道を切り開いた」とノーベル賞委員会は声明で述べた。
東京での記者会見で、大隅氏はは「ほかの人たちがしないこと」をする研究を始めたと語った。同氏は「私が研究を始めたときには、オートファジーが人間の寿命に関わることに関連があるかどうかは分からなかった」と述べて基礎研究の重要性を強調した。
ギリシャ語で「自食」という意味の言葉であるオートファジーは、細胞内で異常なタンパク質もしくは不必要なタンパク質を分解することによって、維持管理の役割を果たしている。