長年、小さなワンルームのマンションや汚いシェアハウス、友人の寝処を転々とした後で、私はついにまっとうな家に引っ越した。話すような家具はないが(この原稿も床の上に座って書いている)、ようやく家と呼べる場所ができた気分だ。
日本で初めて住んだ場所は、レオパレスの1Kのマンションだった。家具付きで、保証人を必要としないので、多くの外国人がレオパレスを選んでいる。賃貸契約は、一時的かそれとも長期の契約かを選べるという点でかなり柔軟で、英語で対応するサービスもあった。とても便利な環境だった。
中はと言うと、部屋は狭いが極めて効率的だった。スペースの隅々まで使われていて、驚くべきものがあった。レオパレスに住む友人を訪れると、レイアウトはいつも酷似していた。
しかし、一番驚いたのは、こうしたマンションがとても最近、短期間で建てられたように見えることだった。まるで、建築会社がイケアから平箱に包装されたいすを組み立てたかのようだった。私の住んでいた建物はわずか2年前に建てられたものだった。いつも、住んでいた町中あちこちに新しいレオパレスが建っていくのが見えた。
その部屋は気に入っていたが、壊れやすいような感じがした―建物全体が揺れる台風や地震のときは特に―それはかなり新しかったせいだと私は思っている。
イギリスの私の家は築何年かと聞かれた時に、1950年代に建てられたと返事をするといつも驚かれる。実のところ、イギリスではこれだとかなり新しい家だ。イギリスと比べると、東京のアパートや家屋のほとんどは真新しい。どうやら日本では、30年後には家が住むのに向かないとみなされるようだ。たったの30年で家が取り壊され、新しい家に取り替える時期になってしまう!
家がこんなに頻繁に建て替えられるのは、これだけが理由ではない。日本の多くの地域で湿度が高いため、家の価値が下がる。また、古い家やアパートは最新の耐震基準に準拠していない場合、安全ではないとみなされることが多い。
イギリスでは逆だ。古い家ほど格が高い。古い方が「個性」があり、中の歴史的な特色が価値を増す。多くの人々が、自分たちで改修するために古い物件を購入する。このことは物件開発と呼ばれ、改修して後に利益を得るために売却することで大金が生まれる。
私の新しい家は実はとても古い。昭和時代からある家に引かれる人はおらず、数ヵ月間売りに出されていたのだ! しかし、だからこそ私は心ひかれたのだ―とてもユニークで、はっきりとした日本らしさが感じられる。結局のところ、家とは心がある場所なのだ。