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2016年11月4日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

The big one (p. 9)

次にやってくる津波と地震

2011年3月11日の地震と津波があったとき、私は日本にいて、それは恐ろしい体験だった。しかし、この地震は、世界で最も耐震性の高い建築物を持つ日本でのことだった。

現在、私はアメリカの西海岸にあるワシントン州北部に住んでいる。ここのところ、会話の主なトピックの一つは、次はいつ大地震と津波(今でも"tidal wave"や"seismic sea wave"と言う人もいる)がやってくるかである。やはり、最後に大津波があったのはずっと前で、次の津波がそろそろ来るはずだ。

最後にあった「大津波」は、1700年のカスケード地震と津波だった。太平洋北西部の沿岸で構造プレートがぶつかり合い、巨大な津波が起こり ― アメリカの先住民とカナダの先住民族の口伝によると ― 全部族を一掃したという。

津波はとても強大で、太平洋を横断して江戸時代元¥12年の日本を襲い、洪水を起こした。

それが起こったのが300年以上前になる。地震と津波の平均的な間隔は、243年から400-500年の間とみられるため、現代に次の大きな地震が起こったらどうなるだろうか? カリフォルニアやブリティッシュコロンビアのような場所はどのような準備をしているのだろうか?

地震学者によると、準備不足はひどいという。

私たちの小さな町では、一軒の大きなスーパーの近くに、「津波発生時の避難ルート」と書かれ、丘を指している看板がある。ありがたいことに、ここにある私たちの家は丘の上に建っているが、インターネットの情報では、5歳以下の子ども、障害を持つ人、旅行客を助けるようにと書かれている。しかし、オレゴン州のある防災専門家は、「津波が来たら、逃げろ!」と言っている。

私たちは観光地に住んでいて、大通りには、ピュージェット湾の海岸のすぐそばに、たくさんの店やアートギャラリーが並ぶ。地元の津波防災のホームページによると、町のごくわずかしか「浸水区域」には入っていないが、町の商業施設の36%がその区域にあるのだ! 町のほとんどは崖の上高くにある。

私たちの町の近くには軍事施設が多く、7月には津波の防災訓練がアメリカ海軍と地元の消防署、その他の現場に最初に駆けつける緊急隊員などの間で行なわれた。協力しての活動にとってはよいスタートだったが、インターネットの他の情報はさらに恐ろしい。

もし、マグニチュード8か9の地震と津波がこの付近で起こったら、電気の復旧には1ヵ月から3ヵ月、飲料水の復旧には1ヵ月かかり ― 太平洋岸北西部の経済全体が崩壊するという! もしシアトルに来たことがあるなら、市の15%が埋め立てられた、液状化の可能性がある場所に立っていることを知っているかもしれない。もし大きな地震が襲ったら、車、バス、建物が全て地下に沈むかもしれない。そのときに自分がここにいないことを願って幸運を祈るばかりだ。

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