「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2016年11月25日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

'Not my president': Thousands protest against Donald Trump (p. 1)

全米で「反トランプデモ」が拡大

11月12日、抗議デモが始まって4日目となるこの日に、何千というアメリカ人が反トランプを掲げてトランプ・タワーに押しかけた。この次期大統領(トランプ氏のこと)が次の動向について世界中をハラハラさせているさなかのことだ。

この共和党の億万長者は、当選したことが世界中に衝撃の波紋を広げて以来、融和的なトーンを打ち出そうとしている。11月11日には、バラク・オバマ大統領の象徴的な医療に関する法律「オバマケア」を完全に破棄するつもりはもうないと発表した。「今がすべてのアメリカ人の人生の中で素晴らしい時だと証明されることになるだろう。私たちは一つになり、勝って、勝って、勝ち進むのだ!」と11月12日にトランプ氏はツイートした。そのとき、「トランプ氏は私の大統領ではない」という叫びのなかで、3500人以上の人々がトランプ・タワーに向かって行進していた。

ロサンゼルスでは、同市内のグランドパークに集まった抗議者を追い払う際に警察が数百人を逮捕した。この警察の動きは、推定3000人の抗議者が繁華街を行進した後に起きた。シカゴでは、さらに数千人が平和的に行進した。

トランプ・タワーは、激しい抗議活動の中心地となっている。11月12日にタワーに入っていくのが見られた人の中には、挑発的なドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏の姿があった ― トランプ氏に会おうとした準備なしの試みは護衛官に阻まれた。

Easy Reading

Stargazers around globe delighted by supermoon (p. 3)

スーパームーン、世界各地で観測

北京からベルリンまで、世界中で星を見る人たちが、11月13日と14日に空を進んだスーパームーン ― 70年近くで最も大きく明るい満月 ― に感嘆した。

オーストラリアでは、空を見る人たちの中には、月をもっと近くで見ようと、シドニー・ハーバー・ブリッジに登る人もいた。月はシドニー市の上に浮かぶ雲の中に隠れた。天文学者らは、月は1948年以来最も地球に近づいたと述べた。

ニューヨーク市では、クライスラー・ビルが、このアールデコスタイルの摩天楼の後ろにスーパームーンが沈んだときに、ライトアップされ、ワシントンDCでは、写真を撮る人々がアメリカの議事堂のドームの上に月が昇る様子を捉えた。

見物人たちは、フランス、イスラエル、ドイツでそれぞれ、エッフェル塔、マリア永眠教会、ブランデンブルク門の後ろから月が昇るのを見るために列をつくった。

Easy Reading

New Harry Potter book goes on sale in Japan (p. 3)

『ハリポタ』の最新刊、日本で発売

『ハリーポッター』シリーズ最新刊の日本語版『ハリーポッターと呪いの子』が11月11日に発売された。

東京のくまざわ書店八王子店では11月10日の夜、ファンが店頭に雨の中並び、J.K.ローリングさんのベストセラーシリーズの8巻目(ハリーポッターの最新刊のこと)が深夜に発売されるのを待った。今回の作品は、前回の小説『ハリー・ポッターと死の秘宝』から19年後を舞台にしている。

「お気に入りの登場人物がどんな暮らしをしているのか知りたいです」と、横浜から来て肌寒い夜に友人と7時間並んでいた30代の女性は語った。「読むのが待ちきれません」

この本は、ローリングさんが共同執筆した演劇の脚本だ。今年、ロンドンのウェストエンドで初上演された。この演劇では、成長したハリーが3人の子の父となりながら、仕事に奮闘する。

National News

Abe, Modi sign agreement on nuclear power (p. 4)

日本とインド、 原子力協定に署名

安倍晋三首相は11月11日、日本を訪れているインドのナレンドラ・モディ首相と民生用原子力協力協定に署名した。安倍首相は、経済を強化するために、日本の原子力技術の輸出を推進しようとしている。

この条約により、日本は原子力技術に関連する機材を輸出し、インドに原子炉を建設するため手助けできる。中国やフランスといった国々もインドへの投資の機会をうかがっている。

National News

Economy grows, but challenges remain (p. 4)

7〜9月のGDP、年率2.2%増

経済は輸出の伸びにより、7〜9月期に3四半期連続で成長したが、消費者支出と資本の投資は弱かったと、政府のデータが11月14日に示した。

国民総生産(GDP)は実質で年率2.2%成長したと、内閣府は発表した。

しかし評論家らは、国内需要の低さと円高のさなかで勢いをつけるには課題があると述べている。

National News

Temp homes done in quake-hit Kumamoto (p. 4)

熊本の仮設住宅、すべて完成

11月14日、熊本県内で仮設住宅の建設がすべて完了し、4月の大地震により家を追われた人々が生活を立て直し始める道を開いた。

最後に完成した42戸は御船町のものだった。御船町は、合計で4303戸の仮設住宅を提供された16市町村のうちの1つだ。

職員らは、益城町で障害を持つ人々のために建てられた6戸のバリアフリー住宅を報道陣に公開した。益城町は一連の巨大地震で最も被害を受けた地域の1つだ。

National News

Road reopened after sinkhole is filled with soil (p. 4)

博多駅前陥没、現場道路の通行再開

福岡市で巨大な陥没穴が空いた結果、閉鎖されていた道路は11月15日、陥没穴が土で埋められた後、通行を再開した。

陥没穴の修復工事が終わってから、ロードローラー(舗装面をローラーで固める重機)が地面の強度を確かめるために使用された。

損傷した下水管や電気、ガス、上水道のケーブルや管、NTTの電話線の修復工事は全て完了した。福岡市の高島宗一郎市長は、地盤の強度は30倍になったと述べた。

World News

Chernobyl shelter begins move toward reactor (p. 5)

チェルノブイリ原発、新シェルターの作業開始

11月14日、チェルノブイリの原子炉の解体に向けて、作業員らは重大な一歩を踏み出し、30年前に爆発した原子炉を覆うための巨大な防護用建設物を動かし始めた。

この行程は5日間かかると予想される。幅275メートル、高さ108メートルのこのシェルターは、原子炉を覆い、放射線の漏えいを止める。これで、作業員らは、いわゆる「石棺」を解体することができるようになる。

World News

Chaos after some rupee notes made worthless (p. 5)

インド、高額紙幣廃止で混乱

11月12日、何百万人もの心配した人々が、突然価値のなくなった古い紙幣を交換しようとして、インド中で混乱した光景が繰り広げられた。

政府は11月8日、汚職と脱税に対処する取り組みとして、500ルピーと1,000ルピーの紙幣は現金の価値がなくなるという驚きの発表をした。

ニューデリーでは、ATMの紙幣が空になってしまった後で、怒った人々の小競り合いが起こった。

World News

Anniversary of Paris attacks marked in silence (p. 5)

パリの同時多発テロから1年

フランスは11月13日、イスラム教過激派による組織だったパリへの攻撃から1年を迎え、厳粛な黙とうを捧げた。

厳重な警戒態勢の下、フランソワ・オランド大統領は、「マヌエル・ディアスさんを悼む」プレートの除幕をするために、フランスの国立スタジアムの外の壁からフランスの国旗を引っ張って取り去った。マヌエル・ディアスさんはこの攻撃で最初に亡くなった人だ。

2015年11月13日、過激派の3集団がこの首都(パリのこと)で金曜日の夜の繁華街を標的にした。ISの集団が犯行声明を発表した。

World News

Trump names two senior White House roles (p. 5)

トランプ次期政権の人事始まる

次期大統領のドナルド・トランプ氏は11月13日、2つの要職に初の指名をした。1人は共和党への呼びかけとなる人物で、もう1人は「オルタナ右翼」の白人至上主義者たちにとっての重要な人物だ。

共和党のラインス・プリーバス全国委員長はトランプ政権の大統領首席補佐官となる。これは、政策決定の重大な責任を負う役割だ。

トランプ政権の首席戦略官及び上級顧問を務めるのは、スティーブ・バノン氏となった。バノン氏は、白人至上主義を掲げるウェブサイト「ブライトバード・ニュース」の会長だ。

Science & Health

Grime on smartphone can reveal your secrets (p. 6)

スマホの手垢から持ち主の情報が明らかに

携帯電話に残った皮膚片や皮脂、手垢などから、あなたのライフスタイルについて多くのことを明らかにすることができ、やがて犯罪捜査で「指紋」代わりに利用できるかもしれないと、11月14日に研究者らが発表した。この研究は、科学者らにスマートフォンから採取することを許可した実験協力者39人に関するものだ。研究者らは、この機器(スマートフォンのこと)に残された多くの化学的な情報を発見した。「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されたこの研究によると、発見されたものには、抗炎症性や抗真菌性のスキンクリーム、脱毛治療薬、抗うつ薬、目薬などが含まれるという。柑橘類やカフェイン、ハーブ、スパイスに含まれる食品の分子も発見したという。

Science & Health

Global carbon emissions flat three years in a row (p. 6)

温室効果ガス排出量、3年連続横ばい

世界の温室効果ガス排出量は3年連続で横ばいとなることが、11月14日に発表された新しい研究結果で分かり、世界は気候変動との闘いにおけるターニングポイントに近づいているという期待を高めた。しかし、この研究論文を執筆した著者らは、主に中国の石炭利用の減少が要因となっている二酸化炭素排出量の低下が永遠につづく傾向かどうかは不透明だと警告した。「ピークに達したと宣言するのはあまりにも早すぎる」と、報告書の共著者であるオスロにある国際気候環境研究センターのグレン・ピーターズ氏は述べた。この研究は、学術誌『アース・システム・サイエンス・データ』に掲載された。

Science & Health

Heredity isn't always destiny in heart attacks (p. 6)

心臓発作、生活習慣で予防可能

もしあなたが遺伝的に心臓発作のリスクが高いとしたら、健康的な生活習慣を維持することでそのリスクを著しく下げることができ、遺伝子によって心疾患から標準的に守られている人のリスク以下にまで下げられると、5万5千人以上を対象にした新たな分析結果が示している。

「健康的な生活習慣を忠実に守ることによって遺伝的に受け継がれたリスクをどれだけ相殺できるかに、我々は少し驚いた」と、この新たな研究論文の主著者であるSekar Kathiresan博士は述べた。この研究は、11月13日のアメリカ心臓協会の会議で発表され、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌によってオンラインでも同時に発表された。

Science & Health

Alcohol blamed for 5% of new cancer cases (p. 6)

がんの年間新規症例数、5%が飲酒由来

パリで開かれた「世界がん会議」に報告されたデータによると、アルコールの摂取は2012年に、主に富裕国において、がんの新規発症例を70万件以上、がん死を36万6千件前後引き起こしていたという。飲酒をする人のがんのリスクを飲酒をしない人と比較して、研究者らは、アルコールが推定でがんの年間新規症例数の5%、がん死の4.5%を占めていると算出した。「がんがアルコールによって引き起こされていることに人口の大部分が気がついていない」とこの研究は述べている。アルコールは、乳がんと新規で診断されることに、最も関連性が強いことが分かった。次に関連性が強かったのは、大腸がんだった。

Science & Health

Zebrafish offers clues for spinal repair (p. 6)

ゼブラフィッシュを組織再生治療に応用

ゼブラフィッシュは、分断された脊髄を完全に再生することができる魚だが、人間の組織再生治療の研究に有望かもしれないと、11月3日に研究者らは発表した。科学者達がこの魚の偉業の鍵となっている特定の1つのプロテインを観察していると、研究者らは述べた。「これは、自然が持つ最も驚くべき再生の偉業の1つだ」と、この研究の上級研究者で、デューク大学の細胞生物学教授Kenneth Poss氏は述べた。「失われた細胞を修復する今日の治療法で、成功例が限られていることを考えると、我々は、ゼブラフィッシュのような生き物を研究して、再生をどのように刺激するのか新たな手がかりを見つける必要がある」。

Science & Health

Bulk of world's child deaths in just 10 countries (p. 6)

5歳未満児の死亡、アフリカ・アジア10 ヵ国に集中

昨年、5歳の誕生日よりも前に死亡した世界の子ども590万人のうち、60%がアフリカとアジアの10カ国に集中していることが、11月11日に発表された研究で明らかになった。医学誌『ランセット』に掲載された研究は、最新のデータによって、研究対象となった194カ国の中で子どもの死の不均衡が明るみになったと述べた。昨年の590万人の死亡のうち、360万件はアジアとアフリカの10カ国 ― インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、中国、アンゴラ、インドネシア、バングラデシュ、タンザニア―で起こっていた。2つの主要な死因は、早産と肺炎による合併症だった。

This week's OMG!

Facebook mistakenly declares live users dead (p. 7)

FB、誤って多数のユーザーに「追悼メッセージ」表示

フェイスブックは誤って存命中のユーザーが死亡したと宣言し、11月11日にこの問題を解決した後に、「とんでもない誤り」を起こしたと、このことを認めた。

「本日、短い間に、故人のためのメッセージが誤って他のアカウントに投稿された」とフェイスブックの広報担当者は述べた。

「これはとんでもない誤りだったが、現在は解決済みである」。

メディアの報道は、約200万件の誤った追悼メッセージがプロフィールページに投稿されたと伝えている。このソーシャルネットワーク(フェイスブックのこと)は謝罪し、問題を解決するためにできるかぎり迅速に作業すると述べた。

「残念! フェイスブックで私が死亡したところを見せるのにフェイスブック・ライブを使って配信すればよかった」とサーチ・エンジン・ランドの編集者であるダニー・サリバン氏はツイートした。

フェイスブック・ライブの機能を使うと、リアルタイムで動画を配信できる。

非常に元気なフェイスブック共同創設者でCEOのマーク・ザッカーバーグ氏もプロフィールページのメッセージで追悼され、彼を愛した人々が、シェアされた彼の人生を追悼する投稿に慰めを見出すことを願うメッセージが表示された。

Essay

Too many cooks? (p. 9)

料理人が多過ぎる…?

今夜の夕食は何にしよう? これはわくわくする質問だろうか? それとも、不安でいっぱいになる質問だろうか?

私は料理が得意だったことはない。思い出せる限りでは、トーストは焦がし、卵は茹で過ぎ、ソーセージは生煮えにしてしまったことがある(ものの例えだが ― いやしかし、文字通り、イギリス風の朝食を作ろうとしたときにもこれは起こっている)。

日本ではほとんどの時間を、ワンルームのアパートやシェアハウスで暮らしてきたので、きちんとしたキッチンがあったことがない。シンクの横についた一口コンロがせいぜい台所の設備に近いものだった。私はいつもコンビニで出来合いの食べ物を1パック買って、電子レンジで温め、フタをとるだけで「はい、どうぞ!」。一人暮らしにはそこそこの食事だった。

今はしかし、広いシンクがあって、一口ではなく二口コンロがあり、材料を刻んだり、準備をしたりするための分かれた調理台があり、オーブンもある、本物のキッチンがついた本物の家に住んでいる。まるでル・コルドン・ブルー(料理学校のこと)だ。

こうした設備が整っているおかげで、毎晩たくさん料理をすべきだという気がしている。そこで、最近、料理教室に通い始めた。難点は、その料理教室は日本料理を中心にしていることで、日本料理は私にとって全く新しい世界だ。私はもちろん日本の食べ物を日常的に食べているが、それを料理することになるとは?!

実際は、日本料理を学ぶことで、私は食べることをずっと感謝できるようになった。私たちは、うまみについてと、日本料理の基礎となる主要な原料 ― しょうゆ、料理酒、だし、砂糖 ― について学んだ。野菜の下ごしらえや切り方には異なった技術があり、どの材料を組み合わせるかにもルールがあった。国の歴史と言語にとても深く結びついた料理の文化を発見するのは面白い。

従うべき技術があるという点において、こうしたアプローチはイギリスにも似たものがある。しかし、イギリス料理(誰もがイギリス料理はまずいと思っているものの)では、材料や料理の幅がもっと多様な気がする。現在のイギリス料理として私たちが思い浮かべるものへの影響は、かなり広範だ ― インド料理からイタリア料理に至るまであらゆるものがイギリスの食べ物と見なされる。イギリス料理の基礎となる主要な材料を思い浮かべようとすると、何もないことに気がつく。もしくは、あまりにも多過ぎて挙げることができないほどだろうか?

イギリスでは、うまみという概念を持っていない。料理は万華鏡のようなものだ。ランダムに展開される。イギリス料理とは何であって、何を含むのだろうか? 一つの答えというのはないのだろう。

それが料理の楽しみであり、私はそのありがたみが分かり始めてきた。私たちの料理の先生は、料理に自分の少々のオリジナリティをいつも足すようにしなさいと言う。なので、今夜はイギリスフュージョン風の究極のカボチャにしよう。

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