アジアで40年間、そのうちの31年間を東京で過ごし、アメリカに1月に戻った後、10月に初めてこの国の大統領選挙の投票をした。今住んでいるワシントン州は、昔から民主党の候補者を支持するという意味の「ブルー」の州で、共和党の候補者を昔から支持する「レッド」の州ではない。
アメリカ人である私の妻と、ミズーリ州にいる彼女の母親、ボストン近郊にいる私の姉(または妹)はみな、ドナルド・トランプ氏になった大統領選挙の結果にショックを受けた。
東京にいる日本人の元同僚は、こんなEメールをくれた。
「今日はめちゃくちゃ驚いたんじゃない? 英国のEU離脱よりも相当衝撃的だった…。アメリカの人たちはトランプが大統領になることに本当はどう思っているのか気になるよ。私はこの結果が信じられない。このことがどんな形でも悪影響を出さないといいんだけど」。
しかし、有権者がEUを離脱することを選んだ6月の英国の国民投票と同様、アメリカの大統領選挙は民主的なプロセスだった。善しあしは別としてだが。
ボストン近郊に住んでいる私の姉(または妹)はこんなEメールを送ってきた。
「元気にしてる? 最近の政治状況はとても怖いわ! どうやって対処する? カナダまで泳いで行かないよね?」
私は彼女に、もし私たちがカナダまで泳いで行こうとしたら、水が冷た過ぎて低体温で死んでしまうよと返事をした。そして、前に読んだ面白い話を伝えた。風刺に富んだカナダのラジオ番組が、アメリカ人を1人3万ドル(340万円)で、アイダホ州の付近の国境を超えてカナダへ連れて行くオファーをしていた。カナダの医療制度を買うにはなかなかいい取引かもしれない。アメリカでは、トランプが、バラク・オバマ大統領の政策の目玉である医療保険制度に関する法律、オバマケアを廃止したいと考えている。
優れた翻訳者で通訳者であり、東京にいる何年も前の私の日本人の上司はかつて、なぜアメリカ人はOECDで唯一国家的なヘルスケアがない国にいるのかと私に質問した。私は答えが浮かばなかった…。
別の知り合いは私にEメールをくれて、トランプについての状況は「怖すぎる」と言っていた。ほとんどの人は「uber」のことを送迎車の配車アプリのことだと思うだろうが、私はこれがoverという意味のドイツ語で、アドルフ・ヒトラーによってアーリア人種が「優れた人種」、すなわち「超人(Ubermensch)」だと言うのに使われたのを覚えている年齢だ。
これらが、私が知っている日本人とアメリカ人からのいくつかのコメントだ。だが、私はドナルド・トランプ次期大統領についてどう考えているかって? われわれは恐れるべきだと私は思う。
彼は公職経験がなく、側近のアドバイザーは「オルタナ右翼」の一員と思われ、彼はアメリカの国益を危機にさらす多くの国々とのビジネス上の関係を持っている。それに彼の手には間もなく「ビスケット」、すなわち核ミサイルを発射できるコードの書かれたカードが渡される。