「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2017年1月27日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Levels of benzene at Toyosu site 79 times higher than safety limit (p. 1)

豊洲地下水、基準値79倍の有害物質

有名な築地市場が移転される予定となっている東京・豊洲地域の用地から採取された地下水から、政府が設定した安全基準値の79倍のベンゼンを含むいくつかの有毒化学物質が検出されたと、東京都の職員が1月14日に明らかにした。

この衝撃的な結果は、以前の地下水検査によるデータの正確さについて疑問を生じさせた。以前の検査結果では、問題のあるレベルの毒性物質はほとんど発見されていなかった。専門家から成る東京都の委員会は、地下水を再検査し、調査結果を3月に公表すると述べた。

新たに判明したこの事実により、計画されている築地市場の移設を進めることを許可するかどうかについて、小池百合子知事による判断が遅れる可能性がある。小池知事は、移設先の安全性に関する懸念に取り組むため、もともと昨年11月に予定されていた移設をすでに延期しており、判断は今年の夏になるだろうと示唆していた。

「想定を超える高い数値が出て驚いている」と小池知事は報道陣に語った。

小池知事はこれとは別に、土壌汚染にどのように対処するかについて、東京都は「専門家に討議してもらう」と述べた。

Easy Reading

Kobe marks 22 years since Great Hanshin Earthquake (p. 3)

阪神大震災から22年、遺族らが犠牲者を悼む

神戸市とその周辺地域では1月17日、6400人以上の方が亡くなったマグニチュード7.3の地震から22年を迎えた。

1995年1月17日に兵庫県のこの都市を地震が襲った午前5時46分に黙とうが捧げられた。犠牲者の遺族は、阪神淡路大震災の記憶を次の世代にも風化させないと誓った。

黙とうを捧げるため、神戸市による追悼行事が同市中央区の公園で行なわれた。遺族を代表して、大鳥居慎司さん(58)が、当時32歳だった裕美子さんを神戸市東区の自宅で失った悲しみを語った。

「夢の中でいいから、幽霊でもいいから、妻に会って話ができたらと思う。妻が私に言いたいことも聞きたい」と大鳥居さんは語った。

Easy Reading

It's a boy! Polar bear born in Berlin gets first checkup (p. 3)

ベルリンのホッキョクグマの赤ちゃん、オスと判明

ベルリン動物公園で11月3日に生まれたホッキョクグマの赤ちゃんはオスだと、1月13日に同動物園が発表した。

ベルリン動物公園の職員は、母親のTonjaの信頼を得るために何週間もかけて徐々にすみかに近づいた後、母親から赤ちゃんを離すことができ、1月12日に初めての検査を行なった。「この小さな子は本当に元気で、好奇心旺盛です」と、検査を実施した動物園のディレクターAndreas Knieriem氏は述べた。

ベルリン動物公園はウェブサイトで、この幼い熊は鼻から尻尾までの体長が67センチ、体重は4.6キロと発表している。

動物園では名前を募集しており、地元のラジオ局と新聞で候補を集めている。

2006年に、ドイツの首都にあるもう1つの動物園「ベルリン動物園」で生まれたホッキョクグマのクヌートが、母熊に拒絶された後飼育員に育てられて世界中のメディアの熱狂の中心となった。クヌートは2011年に若くして亡くなった。

National News

Heavy snowfall kills 3 on coldest day of winter (p. 4)

各地で今季最低気温、日本海側中心に大雪

多くの地域で現在のところこの冬で最も低い気温まで急激に低下した1月15日、少なくとも3人の死亡が確認された。特に日本海側で大雪が降り続いている。

京都府福知山市の88歳の男性が、雪の重みで倒壊したと見られるビニールハウスで死亡しているのが発見された。

岩手県奥州市では同市史上最低気温と並ぶマイナス16.5℃を記録するなど、多くの地域で気温が0℃を下回った。

National News

Launch of tiny satellite-carrying rocket aborted (p. 4)

JAXA、小型ロケット打ち上げ失敗

成長する小型衛星の分野への日本の野心的な進出は、衛星を打ち上げることのできる世界最小のロケットとなるはずだったロケットからの衛星の打ち上げを宇宙航空研究開発機構(JAXA)が1月15日に中止したことにより、つまずくこととなった。

わずか長さ10メートル直径50センチのこのロケットは、鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた後、通信の不具合が発生したと、JAXAは述べた。

衛星の打ち上げは中止され、ロケットと衛星は海に落ちた。

National News

12 disqualified for cheating on college exams (p. 4)

センター試験不正、過去最多

日本全国で十数人が、毎年行なわれる大学入試センター試験で不正をしていたことがわかったと、運営側が明らかにした。この試験は1月14日から15日の週末に実施され、複数の地域で大雪のために開始時間が遅れた。

見つかった12人全員が失格となった。関係者が集計を開始した2006年以降最多となる。

愛知県のある受験者は、試験中にスマートフォンに保存された教科書の画像を見ているところを発見された。北海道では6人が電卓を使っているのが見つかった。

National News

Legal protection of U.S. base workers cut back (p. 4)

日米地位協定、軍属範囲の縮小に合意

日本とアメリカは1月16日、アメリカの軍事基地職員の一部から法的な保護を事実上なくす協定に署名した。この動きが、在日米軍施設の大部分が存在する沖縄県での基地関連の犯罪を防ぐものと両国政府は期待している。

この協定への署名は、アメリカの従軍兵士と民間人の基地職員が犯罪に関わった際、彼らを過度に守りすぎていると地元住民に批判されてきた日米地位協定を補足するものである。

World News

No arrest warrant for Samsung chief (p. 5)

サムスン電子副会長の逮捕状棄却

22時間にわたる尋問を受けるなどドラマのような数日の後、サムスンのトップ李在鎔氏は、ソウル拘置所での一晩の拘束から1月19日に釈放された。検察側が李氏の逮捕状を得ることができなかった。

1月16日に特別検察官は、李氏を贈賄、横領、偽証の疑いで逮捕しようとしていた。李氏は不正を否定していた。

李氏は、権力を剥奪された韓国の朴槿恵大統領の弾劾につながったスキャンダルの一部に関わった疑いが持たれている。

World News

Istanbul nightclub attacker caught: media (p. 5)

イスタンブール銃乱射事件、実行犯拘束

イスタンブールのナイトクラブを元日に襲撃し、39人を殺害した疑いが持たれている銃を持った1人の男が、警察当局に拘束されたと、トルコのメディア報道が1月17日の早くに報じた。

メディア報道によると、容疑者は、イスタンブールのエセニュールト地区にある自宅への家宅捜索中に特別警察に捕まえられたという。

ナイトクラブでの大量殺人について、IS(「イスラム国」)が犯行声明を出し、1月1日未明の攻撃は、シリア北部におけるトルコの軍事行動への報復措置だと述べた。

World News

Woman charged with stealing baby 18 years ago (p. 5)

誘拐の赤ちゃん、18年ぶりに発見

解決に何年もかかった事件で、サウスカロライナ州の女性が1月14日、18年前に赤ちゃんを誘拐した容疑で逮捕された。

捜査員らは、グロリア・ウィリアムズ容疑者(51)が娘として育てた18歳の少女が実はフロリダ州のジャクソンヴィルにある病院から連れ出された幼児だったことが、DNA分析で証明されたと述べた。

彼女の実の父親であるクレイグ・エイケンさんは、地元のテレビ局に、彼と彼の娘の母親は、1月14日に娘と再会したと述べた。「初対面は素晴らしかった」と、エイケンさんはWJXTテレビに語った。「説明できない感覚だ」。

World News

Britain will leave EU single market, May says (p. 5)

メイ英首相、EU単一市場からの撤退を表明

イギリスは、EUを離脱する際にEU単一市場から撤退すると、テレサ・メイ首相は1月17日に表明し、イギリス政府が「ソフト・ブリグジッド(ソフトなEU離脱)」を模索しようとするのではないかという憶測に終止符を打った。

メイ首相がヨーロッパをはるかに超える自由な貿易を目指すグローバルプレイヤーとして同国の未来を定義しようとした演説で、最終的な離脱の取り決めは議会の投票にかけられるだろうと述べた。

メイ首相は、「(EU)への最大限のアクセスは、包括的で大胆で野心的な自由貿易協定を通じてのものになる」ことを望むと述べた。

Science & Health

Baboons use vowel sounds similar to humans (p. 6)

ヒヒの鳴き声、人間の母音にそっくり

人間の言語の起源は2500万年前にまで遡ると示唆する新しい研究によれば、ヒヒのうなり声と求愛の声には人間の発話の秘密があるかもしれないという。『プロスワン』誌に1月11日に発表された研究成果によると、ヒヒの吠える声、ギャーギャー騒ぐ声、「ワフー」という声に、はっきりとした人間の母音が見られたという。論文の著者らは、1,335のヒヒの声のサンプルの音響を研究した。言語がヒト型の生物の出現の後に発達したとする理論に彼らは疑問を投げかけた。この理論とは異なり、人間の発話システムは、ヒヒのような祖先にすでに存在していた能力から発達したものだと彼らは述べている。

Science & Health

Living near heavy traffic raises dementia risk (p. 6)

交通量多い道路沿いの住民は認知症リスク上昇

カナダの研究者らによると、交通量の多い混雑した道路の近くに住む人は、遠くに住む人よりも認知症を発症するリスクが高くなるという。医学誌『ランセット』に掲載された研究では、交通量の多い道路の50メートル以内に住む人々は、混雑した道路から300メートル以上離れて住む人々と比較して、認知症を発症する確率が7.0%高くなることがわかった。「この研究は、血液の流れを通じて脳に流れ込んでいるかもしれない大気中の汚染物質が神経系の問題につながりうることを示唆している」と、筆頭著者で、環境と職業と健康の専門家であるオンタリオ州公衆衛生局のレイ・コープス氏は述べた。

Science & Health

Weekend exercise as good as daily workouts (p. 6)

週末だけ運動、毎日運動と同等の健康効果

新しい研究によると、運動を週末にまとめてしても、罪悪感を感じる必要はないようだ。現在、専門家らは週に150分間の適度な運動を推奨している。しかし、どのくらいの頻度で運動をする必要があるのか、運動や日常的にするべきなのか、それともより短い期間にまとめてやるべきなのかについては、共通理解がない。医学誌『JAMAインターナル・メディシン』に発表された研究結果は、週1〜2日に全ての運動を詰め込む人は、週に3回以上運動をする人と同じくらい死亡リスクが低いようだということを示した。

Science & Health

Study shows the way stress harms your heart (p. 6)

ストレスと心臓病の関係を解明か

科学者は1月12日、長い間考えられてきたストレスと心疾患の関連についての生物学的な説明を突き止めたかもしれないと述べた。扁桃体が極めて活発な人は、心臓病や脳卒中のリスクも高まると、研究者らは明らかにした。扁桃体の活動が多いと、骨髄の活動の増加、動脈の炎症にもつながっており、これらは心臓病のリスクが高まることの説明になるかもしれないと、研究チームは述べた。このデータは、ストレスのかかった扁桃体が骨髄に白血球を余分に生成するように信号を送ると、動脈が狭くなって炎症を起こし、心臓血管の問題を起こしうることを示唆している。

Science & Health

Study reveals why alcohol makes you hungry (p. 6)

アルコールは食べ過ぎの原因に

科学者らはマウスにおいて、アルコールと空腹が同じくらい食欲を刺激する脳細胞を活性化することを突き止めた ― 大量の飲酒が過食につながることが多い理由の説明の助けとなる発見だ。実験で、「アルコール漬けの三連休」にさらされたマウスは、アルコールを摂取せずに過ごしたマウスよりも著しく食事量が多かった。この結果は、アルコールによって、食事に関わる脳の回路の主要部が刺激されることを示していると、研究者らは述べている。「我々のデータは、アルコールが基礎的な食欲のシグナルを持続させることを示唆している」と、ロンドンにあるフランシス・クリック・インスティチュートでこの研究をリードしたデニス・バーダコブ氏は書いている。

Science & Health

Fingerprint data vulnerable in 'peace' photos (p. 6)

ピース写真で指紋盗難の恐れ、専門家が警告

日本人研究者らは、2本の指を見せたVサインをする人物のデジタル写真からその人の指紋情報を複製することに成功し、指紋情報を盗む可能性について問題を提起した。「何者かが他者になりすまして、スマートフォンにアクセスしたり、マンションなどの規制された場所に侵入したりするために指紋を使うことができるかもしれない」と、東京にある国立情報学研究所の越前功教授は述べた。2本の指を見せるVサインは、写真でポーズを取る際に日本人にはとてもよくある。日本最大手の携帯電話会社NTTドコモは、顧客の端末から指紋データを悪用された報告は受けていないと述べた。

This week's OMG!

Mom, dad, son all share a birthday (p. 8)

家族3人、全員同じ誕生日に

ルークさんとヒラリー・ガードナーさんは、お互いの誕生日を覚えるのに困ったことはない。何しろ、この夫婦は誕生日が同じだからだ。そして、27年後の去年の12月に、2人の息子もそうなった。

こうしたことが起こる確率は133,000人に1人程度だと、統計学者は話す。12,000人に1人ほどという一生のうちに雷に撃たれる可能性よりもずっと低い。

息子のケイド・リー・ガードナーくんを授かったとき、2人は同じ誕生日にしようと狙っていたわけではなかったと、ルークさんは話した。ルークさんは、ミシシッピ州北東部のバプティスト教会の牧師のアシスタントで、ニューオーリンズ・バプティスト神学校の生徒だ。

妻がスマートフォンのアプリを使って、予定日を2人の誕生日の3日前の12月15日と計算したと、ルークさんは話した。産科医は12月19日だと話していた。

そこで、ミシシッピ州ボールドウィンのこの夫婦は、赤ちゃんが生まれてくるのを少し急がせようと運動をした。この運動が物事を加速させたのか、ケイドくんは12月18日の午前10時1分、ケイドくんの両親が誕生したちょうど27年後に誕生した。

Essay

Make the most of it (p. 9)

無駄にしないで

「今日はいいお天気ですね」、私たちのリスニング練習で最初の話者が言った。「そうですね。無駄にしないようにしましょう(Make the most of it)」が応答だった。

私の生徒たちは、その応答に戸惑っていた。「Make the most of it?」と彼らは尋ねた。私は、それは与えられたものを無駄にしないという意味だと説明した。このリスニング練習について言えば、いいお天気の日を無駄にしないようにとの意味だった。

私はいつでも物を無駄にするのが嫌いだ。食べ物、時間、お金…。服の買い物で失敗するといつも、服を捨てなければならないのが心苦しい。日本では、近くに古着屋がないこともあり、ニュージーランドにいたときよりも服を捨てることが多い。ニュージーランドでは、中古の服などの品物をチャリティー活動用に受け取ってくれる店が、家からちょっと歩いたところに見つかるのは珍しくない。

日本では中古品は、ニュージーランドほど安くない。日本の中古品店でかび臭い通路を歩き回ると、「中古品でおしゃれ」という感覚があるようだ ― 中古の品物に何らかの理由で高値が付く。日本の中古品店では新品とほぼ同じくらいの値段がする品物を見たことがある。

しかし、古いものを見るのはいい。家族が座っていたであろう食卓を見ると特別な感じがする。「何を食べていたんだろう? どんな話をしたんだろう?」と思わずにはいられない。使い古された革製のハンドバッグを見ても「このバッグを持ってこの人はどこに行ったんだろう?」と思う。きっとこうした思い出もまた値札の一部なのだろう。

まさにこの理由から、私は気付けばいつも粗大ゴミの日を楽しみにしている。他の人が捨てたものを見るのが好きだ。他の人がどんな暮らしをしているのかを垣間見るようなものだ。秋には、ゴルフセットがいくつか捨てられているのを見た。「上司に言われてゴルフを始めたんだろうか? それとも、純粋にゴルフを楽しんでいたんだろうか?」 キーボード、テラス用の家具、いつも気味の悪い感じがするスーツケースも目にした(捨てられたスーツケースはいつも私の思考をダークな世界へ連れて行く「何が…誰がこの中に入っているの?」)。これまで見た中で一番面白かったのは、ロデオで乗り手を振り落とそうとする跳ね跳ぶ馬にまたがるシミュレーションをするエクササイズマシーンだった。「これを使っていた人は運動の目標を達成できたのだろうか?」と思った。

私はいつも、こうした物の以前の持ち主がそれらを無駄にしなかったことを願う。便利さや値ごろ感、廃棄のしやすさなどのためにあまりにも多くの物が作られている世界で、あのゴルフセットが参加したトーナメントがたくさん、あのキーボードが弾かれたコンサートがたくさん、テラス用の家具を囲んで楽しまれた飲み物がたくさん、あのスーツケースが訪れた国がたくさんあったことを願う。なぜなら、人生のとても多くの場面で、どれだけたくさん持っているかではなく、物を有効に活用するために何をするかが重要だからだ。

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