「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2017年3月24日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Ousted South Korean leader leaves presidential palace (p. 1)

罷免の朴前大統領、大統領府退去

失脚した韓国の指導者、朴槿恵前大統領は3月13日、大統領としての在職期間を終わらせた判決に反発して、新聞と政治家らから激しく非難された。

朴前大統領は、「時間はかかるでしょうが、真実がやがて明らかになると信じています」とソウルにある私邸に到着後に広報担当者を通じて述べた―判決以降、初となる発言だった。

中道右派の日刊紙『中央日報』は社説で、朴前大統領は自身を今も支持する人々をあおろうとしており、自身の容疑について近く行なわれる取り調べを妨害していると糾弾した。「朴槿恵前大統領の抵抗…国を分裂させようとしているのか?」とこの社説は問いかけている。

テレビの映像は、朴前大統領が自宅周辺に集まった数百人の支持者らににっこりと笑顔で手を振る様子を映し出した。

ソウルでは裁判所の判決後に何千人もの支持者らが抗議行動をし、3人の抗議者が死亡、警察とジャーナリストを含む数十人が負傷した。

Easy Reading

Vienna tops list of nicest cities for 8th year in a row (p. 3)

「生活の質」ランキング、ウィーンが8年連続首位

オーストリアの首都ウィーンは、コンサルティング会社マーサー社による最高の生活の質を提供する都市リストで、8年連続でトップに立った。一方、バグダッドは再び、住むのに最悪の場所とされた。

231都市を対象にしたこの調査は、政治の安定性、医療、教育、犯罪、娯楽、交通輸送といった、数十の基準を用いていると、マーサー社は3月14日の声明で述べた。

世界の中心地となっているロンドン、パリ、東京、ニューヨーク市は上位30位にすら入らなかった。

シンガポールはアジアで最も順位が高い都市で25位、アメリカで最高位のランクインはサンフランシスコで29位だった。東京は47位に入った。アフリカのトップは南アフリカのダーバンで87位だった。

ウィーンの180万人の住民は、同市のカフェ文化や美術館、劇場、オペラなどの恩恵を受けている。ウィーンでは、家賃と公共交通機関の費用が、他の西欧の首都に比べて安い。

Easy Reading

Thai wins world's biggest transgender beauty pageant (p. 3)

ミス・トランスジェンダー世界大会、タイの参加者が優勝

世界最大かつ最も人気の高いトランスジェンダー(生まれ持った性と心の性が一致しない人)のコンテストと宣伝される「ミス・インターナショナル・クイーン2016」で3月10日、タイの出場者ジラチャヤ・シリモンコルナウィンさんが優勝した。

この25歳の人(ジラチャヤさんのこと)は24人の出場者を抑えてトップに輝き、2位と3位はそれぞれ、ブラジルとベネズエラからの出場者が獲得した。

世界中のトランスジェンダーの人々が集まるこのコンテストは、10年以上前に、トランスジェンダーの女性がもっと社会に受け入れられていると感じられるようにするために立ち上げられた。「新しいカテゴリーのように見えますが、その性(トランスジェンダーのこと)はずっと前から存在しています」とジラチャヤさんは語った。このコンテストは、タイの海辺の町パタヤにあるティファニー・ナイトクラブで開催された。

2016年の大会は、10月13日に亡くなった故プミポン・アドゥンヤデート国王の喪に服す期間がタイでとられていたために、昨年11月の予定から延期されていた。

National News

On 3/11 anniversary, Abe points to progress (p. 4)

東日本大震災から6年、東京で政府追悼式

日本は、2万人以上が死亡または行方不明となり、さらに多くの人々が避難した2011年3月11日の巨大地震と津波から6年を迎え、安倍晋三首相は日本が復興の面で成し遂げた進展を称えた。

東京で開かれた追悼式典で安倍首相は、犠牲者と家族を失った人々のことを思うと「哀惜の念に堪えません」と述べた。

しかし、安倍首相は日本が復興に向けて薦めてきた歩みを褒め、「復興は着実に進展している」と述べた。

National News

Abe, Saudi king agree to study economic ties (p. 4)

安倍首相、サウジ国王と経済支援で合意

安倍晋三首相はサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドゥルアジーズ・アル=サウード国王と3月13日に東京で会談し、日本企業をこの中東の国(サウジアラビアのこと)に引きつけるための規制が緩和された経済特区を創設することについて実現可能性の調査を開始することで両者は同意した。

この、いわゆる(サウジアラビア経済改革)実現モデル特区内で、サウジアラビアは優遇税制と、日本企業が工場や研究開発センターを建設するよう促すために簡素化した税関手続きを提供するものと予想される。

National News

Moritomo Gakuen head to resign over school (p. 4)

森友学園理事長、辞任を表明

森友学園の籠池泰典理事長は3月10日に辞任の意向を表明し、新しい小学校の開校について認可を求めるつもりはないと述べた。

瑞穂の国小学校は4月1日に開校する予定だった。

籠池氏は大阪での記者会見で、新しい学校が完成しないので、責任を取って辞任すると語った。

「私は何も悪いことはしていません。しかし、学校が建設されると言ったのに建設されないことになりました。だから、私はこの事実の責任を取らなければなりません」と籠池氏は語った。

National News

Toshiba may sell stake in U.S. nuclear unit (p. 4)

東芝、米原発子会社の株式売却へ

東芝は3月14日、問題を抱えた原子力事業からのさらなる損失に歯止めをかけるため、アメリカの原子力部門ウェスチングハウス・エレクトリックの株式の過半数を売却することを検討していると表明した。

「海外の原子力事業からのリスクをどう抑えるかが、我々にとって重要な問題だ」と東芝の綱川智社長は東京本社で記者団に語った。

中国ではさらに多くの原子炉の建設が予想されているため、中国の企業がウェスチングハウスに関心を示す可能性が高いと、何人かの識者が述べた。

World News

Native American groups protest oil pipelines (p. 5)

パイプラインに抗議する米先住民、ホワイトハウスへデモ行進

アメリカの先住民と支援者ら数千人が、3月10日にホワイトハウスへデモ行進をし、ドナルド・トランプ大統領が2本の石油パイプラインに支持を表明していることに怒りの声を上げた。このパイプラインは、先住民族の土地を脅かすと彼らは述べている。

トランプ大統領は就任後に、「ダコタ・アクセス」と「キーストーンXL・パイプライン」プロジェクトの作業を進めるための道を開いた。

アメリカの先住民族の多くは、このパイプラインは水質に悪影響を与え、神聖な土地を傷つけると述べ、抗議を続けると誓った。

World News

North Korea: U.S., South killed Kim Jong Nam (p. 5)

北朝鮮国連次席大使、金正男氏の事件で米韓非難

北朝鮮は、北朝鮮の指導者の疎遠になった片親違いの兄である金正男氏が2月13日にクアラルンプール空港で殺害された事件について、アメリカと韓国に責任を負わせようとした。

北朝鮮のキム・インリョン国連次席大使は3月13日、報道陣に対し、「何から何まで、今回の事件はアメリカと韓国の当局による無分別な動きから生まれたものだ」と語った。キム国連次席大使がいうには、両国は北朝鮮のイメージを傷つけようとしており、北朝鮮の社会体制を崩壊させようとしているという。同氏は、アメリカが北朝鮮と核戦争を引き起こそうとしていると糾弾した。

World News

Mountain of garbage falls in Ethiopia, kills 72 (p. 5)

エチオピアでごみ山が崩壊、死者・行方不明者多数

エチオピアの首都の外れにある巨大なごみ集積場で、ごみの山が崩れ、少なくとも72人が死亡し、数十人が行方不明となっていると住民が述べ、関係者はこの埋立地を住みかにしていた人々の所在を確認すると誓った。

アディスアベバ市の広報担当者ダグマウィット・モーゲス氏は、死者の多くが女性と子どもだったと述べた。3月11日の夕方に倒壊を引き起こしたのが何であるのかは定かではない。

この埋立地は、50年以上ごみ捨て場となっていた。

World News

652 Syrian kids dead in worst year: UNICEF (p. 5)

ユニセフ:2016年はシリアの子にとって最悪の年

2016年にシリアで最低でも652人の子どもたちが殺害され、シリアのこれから成長していく世代にとって今までで最悪の1年となったと、国連の児童救済に関わる機関が3月13日に発表した。

昨年、学校や病院、遊び場、住宅地への攻撃は減少することはなく、シリア政府とその反対派、また双方の支持者らは戦時国際法を無情に無視していた。

ユニセフは昨年、少なくとも255人の子どもたちが学校内か学校付近で殺害され、170万人の子どもたちが学校に通えなくなっていると発表した。

Science & Health

Yellow cabs are safer, study finds (p. 6)

黄色いタクシーは事故が少ない

最終的に命を守り、金銭的に節約になると科学者らが述べている研究によると、黄色い車体のタクシーはより暗い色のタクシーよりも事故が格段に少ないという。3月6日に『米科学アカデミー紀要』誌に掲載された研究では、シンガポールではカナリアのような黄色のタクシーは軽い衝突事故や大きな衝突事故に遭う確率が、濃い青色のタクシーよりも9%少なかった。「黄色いタクシーは、青よりも黄色のほうが目立つので移動するのに安全だ」と、シンガポール国立大学教授で論文主著者のテック・フア・ホー氏は述べた。事故の確率は、夜のほうがさらに(数値が)分かれた。それはおそらく、街灯がコントラストをはっきりさせるからだろうと、同教授は述べた。

Science & Health

Short, white men more likely to go bald: study (p. 6)

低身長の欧州系男性、薄毛リスクが高い

新しい研究の結果、欧州系の小柄な男性が被りやすい侮辱と病気のリストに、早期脱毛症になるリスクが高まることを追加しよう。「身長が比較的低い男性は頭髪を失う可能性が高くなるようだ」と、3月8日に発表されたこの論文の主執筆者で、ボン大学のシュテファニー・ハイルマン・ハインバッハ教授は語った。「我々のデータが示すところによると、毛髪脱毛症に関与する遺伝子の一部は、平均して、低身長に関連しているようだ」。この研究は『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載され、「早期脱毛症のリスクを高める」63の遺伝子変異を特定したと、ハイルマン・ハインバッハ教授は述べた。

Science & Health

Bottled water overtakes soda in U.S. (p. 6)

米国のボトル飲料消費、ミネラルウォーターが首位に

ある業界調査会社は、アメリカでは昨年、売上数量ベースでミネラルウォーターが炭酸飲料を上回ったと発表した。

飲料業界の調査コンサルティング会社、ビバレッジ・マーケティング社は、2016年にアメリカ人は平均で148.8リットルのミネラルウォーターを飲み、炭酸清涼飲料水を145.7リットル飲んだと発表した。2015年には、ミネラルウォーターは138.2リットル、炭酸飲料は147.6リットルだった。この変化は、糖分の多い飲料が健康に及ぼす影響に関する懸念が広がるなかで起こった。肥満や糖尿病などの食習慣に関連する疾患に対処するため、アメリカのいくつかの都市では、11月にソーダ税を導入する採決をしている。

Science & Health

City noise linked to hearing loss: study (p. 6)

都市騒音、難聴の発症と関連か

都市の騒音公害と難聴は、この両方のカテゴリーを調べた3月3日発表の世界の大都市50のランキング調査によると、密接に関連しているという。騒音の多い都市部―ニューデリーやカイロ、イスタンブールなど―は、聴力が最も悪化する都市のリストにおいて上位を占めたと、研究者らは報告した。同様に、騒音公害の影響が極めて少ない都市―チューリッヒ、ウィーン、オスロなど―は、聴力の低下が最も低いレベルの都市に入った。この統計的な関連は、必ずしも、都市生活の騒音における継続的な騒音が、難聴を引き起こす主たる要因だということを意味しているわけではない。難聴は、感染症、遺伝子異常、一部の医薬品によっても引き起こされることがある。

Science & Health

Vaccine created to protect Ebola-ravaged chimps (p. 6)

チンパンジー向けのエボラ熱ワクチン開発

科学者らは3月9日、絶滅の危機に瀕しているチンパンジーやゴリラをエボラウイルスから守るワクチンを開発したと発表した。エボラ熱はすでに、何万匹もの野生の類人猿を30年間で死亡させている。このワクチンは経口で与えられると開発者らは述べており、これはつまり、食べ物に見せかけて置いておき、この動物たち(チンパンジーやゴリラのこと)に食べさせることができるということだ。これは矢(による注入)よりも簡単で心傷が少なくて済む。「我々に最も近縁の種は、エボラ熱のような病気や、商用の食肉利用向けの狩猟、生息地の損失で急速に絶滅に向かっており、その多くは人類に責任がある」と研究に参加したケンブリッジ大学のピーター・ウォルシュ氏は述べた。

Science & Health

Woman who thought she was fat had 63-kg tumor (p. 6)

太っていた原因、63 キロの腫瘍と判明

メアリー・クランシーさんはかつて、自分は太った老女だと諦めていた。ダイエットしていたにもかかわらず、彼女は15年間、だんだん太ってきていた。

しかし、健康状態の悪化に伴い、息子に説得されて病院へ行った。医師が発見したものはメアリーさんと息子を驚かせた:63キロの腫瘍に成長した卵巣嚢胞だった。ペンシルベニア州のリーハイバレー・ヘルスネットワークの医師らは、ステージ1のがん腫瘍を5時間の手術で11月10日に摘出した。

クランシーさんは手術前、体重が165キロあった。5時間の手術の後、彼女は腫瘍とそのほかの組織で82キロ減った。

「こんなにも大きいなんて、まったくもって想像もつかないでしょう」とクランシーさんは語った。

This week's OMG!

Hawaii-bound flight diverted over blanket dispute (p. 8)

毛布利用料騒動で米航空機が行き先変更

ラスベガス発ホノルル行きの飛行機が3月8日、毛布の利用料金12ドル(1300円)の支払いを乗客が拒み、規則に従わないと非難された後で、ロサンゼルスに行き先を変更したと、警察が発表した。

この事件は、ハワイアン航空の航空機がラスベガスから離陸し、66歳の男性の乗客が毛布を使いたいと依頼した後に起こったと、ロサンゼルス空港警察の報道官ロブ・ペドレゴン氏は述べた。

毛布を利用するには12ドルを支払わなければならないと告げられると、身元を明らかにされていないこの男性は怒って、この航空会社の代表者と話がしたいと要求したと、ペドレゴン氏は語った。

「機内からの電話中に、男性は『この件で誰かに罰を与えてやりたい』と言ったとされ、パイロットはこれを脅迫行為とみなし、ロサンゼルスへの針路変更を要請した」とペドレゴン氏は述べた。

この飛行機がロサンゼルスに到着後、警察当局と米連邦捜査局(FBI)の職員がこの乗客と客室乗務員と会い、双方から話を聞いた後で違法行為はなかったと判断されたと、ペドレゴン氏は語った。

Essay

Wild eating in the garden city (p. 9)

ガーデン・シティーで自然を味わう

以前に見たことはあった。しかし、その淡い黄色の果物のにおいをかいだのは初めてだった。腐りかけのチーズに似た鼻を突くにおいが強烈に私の鼻を刺して、思わず鼻にシワを寄せた。

シンガポールのアート集団「ママカン」のデンマーク人アーティストであるクリスティンと一緒に歩いていた。クリスティンと彼女の仲間のアーティスト2人、ラレサとスティーブは、シンガポールにある食べられる植物を記録するために、「ガストロ・ジオグラフィー」と呼ばれるプロジェクトを始めていた。市の中心部の散歩は、「芸術的な食の体験」と名付けられ、参加者は地域に自生するさまざまな植物を道すがら見つけて味わっていくことができた。

私がにおいをかいだ果物はノニフルーツ、またの名をチーズ・フルーツという。ノニの木はシンガポールでよく見られるが、この果実と葉が食べられるのは知らなかった。クリスティンは、この果実を洗い、太陽に当てて発酵させるためにふたをしたビンに入れて放置するようにアドバイスした。たまった果汁をクリームチーズと混ぜると、「シンガポール独自のブルーチーズ」と彼女が呼ぶものを作ることができる。

ノニフルーツは一例にすぎない。クリスティンとラレサ、スティーブは、通り沿いに育つ食べられる植物を100種類以上発見した。私は、食べられる植物の標本が入った小さなビンがコンクリートのブロックに並べられた彼らのアート展示をじっと見て、彼らが全ての食べられる植物をリストにするために作ったポスターを細かく読んだ。

私は驚いた。地域に自生していて、私が探し回ったのを覚えている植物は、小学校の近くに育っていたイクソラだけだった。先輩たちがその花の蜜を吸うように教えてくれた。しかし、食べられる植物が他にもこんなにたくさんあったとは想像もしなかった。シンガポールはガーデンシティーとして知られているが、私はこのガーデンが食べられる不思議でいっぱいだとは気付かなかった。

クリスティンは、この散歩に参加したほかのシンガポールの人々の話を聞かせてくれた。1人の女性は、ハワイから輸入された高価なノニジュースを買いに健康食品店へ行っていたという。彼女はノニの木が地元に育っているとは知らなかったのだ。植物から果実やその他の部分を取ることは違法だが、地面に落ちた果実は拾うことができる。

クリスティンの仲間のアーティストのスティーブはシンガポール人で、食べられる植物を探し回るのは初心者だ。彼は、クリスティンがルカムマサムの木から採れた地域で育つベリーを使って作ったジャムの味見をしたとき、「なじみがない」味がすると思った。皮肉なことに、彼がなじみがあると感じていたのは輸入されたいちごジャムだった。

私は食べ物を探して歩く経験を思い出した。そのほとんどは日本でのことだった。野生のミントやオレガノを集め、たけのこを掘った。シンガポールで食べ物探しをしなかったのは残念なことだとその時に思ったのを覚えている。今、私は自分の無知が、祖国に育つ食べられる植物を見ることから私を遠ざけていたことに気が付いた。自分の国の植物をもっとたくさん発見するのが楽しみだし、たぶん、そのうちのいくつかを自分でも育てると思う。

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