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2017年3月31日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Whitewashing a ghost (p. 9)

ゴーストをごまかす

アメリカでは多くの人々が、『ゴーストインザシェル』について話題にしている。これは同名の有名な漫画とアニメを実写化した映画だ。この映画は、スカーレット・ヨハンソンが「少佐」として主役を演じ、太平洋の両側の映画館で公開されると、多くの話題の中心となっている。

しかし、関心は主に否定的なものだ。原作シリーズでは、「少佐」は正確にはサイボーグだが、その名前は「草薙素子」であり、日本人であることを暗示している。スカーレット・ヨハンソンは明らかに日本人ではない。それでも、この映画の主役は彼女だ。スカーレット・ヨハンソンは、すべての広告やメディア露出において正面であり、中心である。多くはこのことに、控えめに言っても、わくわくはしていない。

新映画『ゴーストインザシェル』は、ハリウッド映画における「ホワイトウォッシュ」に関する議論を再燃させた。「ホワイトウォッシュ」という言葉は、非白人の役に白人の俳優を配役する慣習を言う。これは、映画が実際に舞台としている場所からは遠く離れたハリウッドの防音スタジオで映画撮影が始まって以来の問題だ。映画の舞台や筋が黒人や中米人、アメリカの先住民、中東系、アジア系の俳優を必要としていても、これらの役はホワイトウォッシュされる―白人が演じるのだ。これによりかなり古びて見えるようになった映画もある―例えば、多くの人々に愛されている『ティファニーで朝食を』を例に挙げると、ミッキー・ルーニーが日本人の家主を人種差別的な固定観念にあふれて演じている。

過去数十年で、状況は著しく改善した。それでも、問題のある配役は未だに生じ、近年ではアジア系の登場人物の役も関わるようになってきた。『ゴーストインザシェル』は、この問題に直面した初めてのアニメの実写版映画ではない。2008年の映画版『ドラゴンボール』でも主役の悟空役は白人の俳優が起用された。

しかし、『ゴーストインザシェル』はここ最近で最も目立つケースで、パラマウント・ピクチャーズが超ヒット作にしようと狙っている。これぞまさしく、パラマウント・ピクチャーズがヨハンソンを選んだゆえんだ。アメリカではほとんどの人が知らないアニメを原作とした映画を売るためにスター力のあるA級の女優を選んだのだ。

ある程度までは、ここでの問題は特定の映画に関するものではなく、ハリウッドが概してアジア系の俳優を売り出せずにいる、そして主役を演じるまでに育て上げられずにいる失敗に関わってくる。『ゴーストインザシェル』は、ハリウッドがその面についていかにしくじっているかを思い出させる最大の例だ。

日本ではどうだろうか?

私が見てきた限りでは、ファンたちは、『ゴーストインザシェル』が映画としてろくなものではないかどうかを、はるかに心配している。この国では、アニメを原作にした実写版映画は、誰を主役にしているかにかかわらず、はるかに懐疑的になる。


※2017年3月29日22時一部訂正しました。

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