「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら

記事全訳

2017年5月26日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Trump revealed classified intel to Russians: Washington Post (p. 1)

トランプ大統領、露に機密情報提供か

ドナルド・トランプ大統領はロシアの外務大臣と駐米ロシア大使に、5月10日の大統領執務室での会談中に極めて機密性の高い情報を暴露したと、ワシントン・ポスト紙が5月15日に報じた。

アメリカの指導者によって開示された情報は、過激派組織ISに関するもので、アメリカの同盟国から提供されており、アメリカ政府にその情報をロシア政府と共有する権限は与えられていなかったと、同紙は伝えている。

トランプ大統領は、「我が国が同盟国と共有している情報よりもさらに多くの情報をロシア大使に暴露した」と同紙は、アメリカの関係者が匿名を条件に語ったものとして引用した。この関係者によると、トランプ大統領がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とセルゲイ・キスリャク大使に共有した情報は、アメリカの諜報機関によって扱われていた機密性の最も高いレベルのものの1つを含んでいたという。

ワシントン・ポスト紙は、匿名の関係者の話として、「トランプ大統領は予定されていた内容から外れ、航空機内でのノートパソコンを使用することに関連したISのテロ攻撃について詳しく説明し始めた」と報じた。

同紙は、アメリカの情報機関の能力を危険にさらす恐れがあるという関係者らから促され、この出来事の詳細は控えると述べている。

Easy Reading

Putin shows his piano skills before meeting with Xi (p. 3)

プーチン大統領、即興でピアノ演奏

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、狩りや釣りといった男らしい趣味が大好きなことで有名だ。しかし、中国を最近訪れた際に、プーチン大統領はソフトな一面を見せた。

プーチン大統領は、古代のシルクロードを復活させる1兆ドル(114兆円)の計画について話し合うために、5月14日に北京に滞在していた。この計画について語った後で、プーチン大統領は中国の習近平国家主席に会いに行った。

しかし、習近平国家主席が遅れたとロシアの通信社は伝えている。そこで、プーチン大統領は習国家主席のピアノに座り、何曲か弾き始めた。ロシアの国営テレビは、プーチン大統領が旧ソ連の定番曲である『モスクワの窓』と『フリーネバ川の街』を演奏する様子を放送した。ピアノは少し調律がおかしかった。

プーチン大統領は以前にも音楽の才能を示していた。2010年にはチャリティコンサートで演奏した。ジャズバンドに参加しており、『ブルーベリー・ヒル』を演奏して歌っている。

しかし近年は、プーチン大統領は男らしい側面を見せることを好んできた。ロシア政府はよく、プーチン大統領が狩りや釣りをする写真を報道陣に提供してきた。

Easy Reading

Potato chips likely to stay scarce until fall harvests (p. 3)

ポテチ品薄、さらに続く見込み

北海道のじゃがいも農家たちは昨年夏の台風の打撃からまだ回復しておらず、このことはつまり、店舗にポテトチップスの全商品が揃わない状況となることを意味している。

農林水産省は、ポテトチップスの不足はおそらく9月に次の収穫が始まるまで続くだろうと述べた。

日本のじゃがいもの約80%が北海道で育てられている。昨年の8月に、4つの台風が日本北部を襲った。雨と洪水が作物に深刻なダメージを引き起こした。じゃがいもの生産量は2016年に前年比で10%減少した。

生のじゃがいもの収穫量は回復した。しかし、ポテトチップスのような加工食品用のじゃがいもの生産量は今なお不足している。カルビーなどポテトチップスのメーカーは、当面、ポテトチップスの製造ラインをいくつか停止している。

スナック菓子メーカーは、輸入されたじゃがいもから害虫を取り除くのが困難なため、日本産のじゃがいもを使用することを好む。

National News

N. Korea missile landed near Hokkaido: Inada (p. 4)

北朝鮮ミサイル、奥尻島沖に落下か

稲田朋美防衛大臣は5月16日、北朝鮮が14日に打ち上げた弾道ミサイルが日本海上の日本の防空識別圏内に落下したと推定されると発表した。

ミサイルは、北海道の奥尻島から約450キロの日本海上に落下したと考えられていると、稲田防衛大臣は記者会見で述べた。

稲田防衛大臣は、アメリカ本土に届く大陸間弾道ミサイルだったかどうかについて話すことは避け、防衛省では「詳細を分析」していると述べた。

National News

Cabinet OKs plan to adjust electoral districts (p. 4)

小選挙区の区割り法案、閣議決定

安倍晋三首相の内閣は5月16日、衆議院の小選挙区を1票の格差を減らすように改正する選挙法の改正法案を承認した。

2020年の人口予測に基づき、この変更は、国内の人口密度が高い地域と低い地域間における最大の格差を1.999倍に縮小する。

これはちょうど、憲法の下、最高裁判所が法律で全有権者に平等を与えるために規定した2倍以下の比率になる。

National News

Princess Mako set to marry college sweetheart (p. 4)

眞子さま、婚約へ

秋篠宮さまと紀子さまの長女眞子さま(25)が、大学で出会った男性と婚約することとなり、来年ご結婚される見込みだと、5月16日に報道された。

最初の報道に続いて、宮内庁は、将来の婚約者となる方は小室圭さん(25)で、一橋大学大学院に通いながら、法律事務所にも務めていると発表した。2人は共に通っていた東京の国際基督教大学の友人を通じて出会った。

National News

All 4 crew in SDF plane crash found dead (p. 4)

自衛隊機墜落、 4人全員死亡

陸上自衛隊の航空機に乗っていた4人の男性乗務員全員の死亡が5月16日に確認され、救助隊員は北海道の山中で墜落した飛行機の破片の間で遺体を発見したと、防衛省は発表した。

LR-2偵察機は5月15日の午前11時25分頃、札幌の丘珠空港を離陸して約20分後にレーダーから消えた。この双発プロペラ機は患者と医師、その他の職員を迎えに函館空港へ向かう途中だったと、同省は述べた。

World News

China's Silk Road initiative gains support (p. 5)

中国の経済圏構想会議「一帯一路」が閉幕

中国の習近平国家主席と他29ヵ国の首脳らは5月15日、中国政府が主導する壮大な「一帯一路」構想の下で開かれた経済を構築し、自由で包摂的な貿易を保証するための取り組みを再確認した。

北京で行われた2日間の首脳会談で30ヵ国は、世界貿易機関を核にルールに基づいた貿易体制を推進し、保護貿易主義に反対することで合意した。

World News

14-year-old physics graduate 'a normal dude' (p. 5)

14歳の少年が米テキサスクリスチャン大学卒業

14歳の物理専攻の青年が5月13日に、テキサスクリスチャン大学の史上最年少の卒業生となった。

カーソン・ヒューイ=ユーさんは2013年に11歳でフォートワースにある同校に入学した。彼は副専攻科目として中国語と数学を取っている。

自分を「普通の男」と言うこの青年(カーソンさんのこと)は、量子力学で大学院の学位を取るために勉強したいと、フォートワース・スター・テレグラム紙に語った。

World News

WHO confirms second Ebola case in Congo (p. 5)

コンゴでエボラ熱発生、世界保健機関が3人の死亡確認

世界保健機関(WHO)は5月14日、コンゴでエボラ熱の2例目を確認した。今月初めの発生で他17人の感染が疑われている。

感染が疑われている事例と感染が確認された事例の19件中、これまでに3人が亡くなったと、WHOの広報担当者ユージン・カンバンビ氏は述べた。

保健当局者らは、この発症例と関連があると思われる125人を追跡しようとしている。

最初の感染者で死亡した男性が、どのようにしてエボラウイルスに感染したかは直ちに明らかにはならなかった。

World News

At inauguration, Macron vows to fight terror (p. 5)

マクロン氏、仏大統領に就任

エマニュエル・マクロン氏は5月14日、パリのエリゼ宮(大統領府)でフランスの新大統領に就任し、すぐにフランスの政治と世界の経済、欧州連合(EU)を改革する取り組みを開始した

就任演説でマクロン氏は、テロ行為や独裁政治と戦うために、また、世界の移民危機を解決するために必要なことは何でもすると語った。この39歳の人(マクロン氏のこと)はまた、「世界における過剰な資本主義」と気候変動を、彼のこれからの課題に挙げた。

Science & Health

People smell as well as dogs: study (p. 6)

人間の嗅覚、実はイヌ並みに鋭い

人間の嗅覚はネズミやイヌと同じくらい鋭いと、アメリカの研究者が5月11日に明らかにした。ラトガース大学の神経科学者ジョン・マックガン氏は、人間の嗅覚が劣っているという勘違いにつながったと同氏が述べる研究と歴史的記述を再検討した。「人々は長い間、嗅覚を仕事として研究する人たちでさえも、この主張について立ち止まって疑問を呈してこなかった」とマックガン氏は語った。「実際には、人間の嗅覚は他のげっ歯類やイヌなどの哺乳類と同じくらい優れている」。人間は約1万の異なるにおいを検知することができると長い間考えられてきた。実は、その数は1兆に近いと、マックガン氏は述べた。

Science & Health

Sex enrages female fruit flies: study (p. 6)

雌のハエ、交尾後に凶暴化

5月15日に掲載された珍しい研究によると、精子に入っているあるタンパク質のせいでメスが食べ物をめぐってけんかをするかもしれないという ― 少なくともキイロショウジョウバエは。交尾後、メスのキイロショウジョウバエは互いにかなり攻撃的になり、酵母ペーストのエサをめぐる争いで「互いに頭突きをしたり、ピシャリと叩いたりすることが多かった」とこの研究は述べている。ハエの精子にあるタンパク質 ― 「性ペプチド」と呼ばれるもの ― を加えると、さらに攻撃性が高まることを、研究チームは発見した。この現象をよりよく理解すれば、例えば、野生の虫の個体数を制限するために攻撃的なメスを放すなど、害虫の抑制に役立つかもしれない。

Science & Health

U.S. drone back on Earth after 2 yrs in space (p. 6)

米軍の無人機、2年の宇宙滞在から帰還

宇宙に2年近く滞在した後、アメリカの無人機「X-37B」は地球に帰還した。NASAの古いスペースシャトルの小型版のように見えるこの無人機は、5月7日にフロリダに着陸し、地球周辺での718日間の飛行を終えたと、アメリカの空軍は発表した。わずか9.1メートル以下の長さで、X-37Bはロケットの上に載って地球の低軌道に打ち上げられた。2010年の初飛行以来、本当の目的についてあらゆる憶測が飛び交った。地球上の目的物を攻撃することができる宇宙にある爆撃機かもしれないと考える人もいた。敵国の衛星を破壊したり、ダメージを与えたりすることのできる「殺戮衛星」の可能性があると疑う人もいた。

Science & Health

Norway to build 1st self-sailing electric cargo ship (p. 6)

ノルウェー企業、世界初の電気自動貨物船建造へ

ノルウェーは初の完全に電気で動く自律性の貨物船を来年就航させる計画だ。肥料メーカーのヤラ・インターナショナルは工業グループのコングスベルグと連携して、貨物船「ヤラ・ビルケラン」を建造し、この船はノルウェー南部の3つの港の間で肥料を輸送する。「毎日、100台以上のトラックの移動がヤラ社のポルスグルン工場からブレヴィクとラルヴィクにある港へ製品を輸送するのに必要だ」と、ヤラのCEOであるSvein Tore Holsether氏は述べた。「この新しい電気自動貨物船で当社では道路から海へと輸送を変えることができ、これによって騒音とちりの排出を減らすことができる」と同CEOは付け加えた。

Science & Health

17 new mummies discovered in Egypt (p. 6)

エジプトの地下墓地でミイラ17体発見

エジプトの考古学研究チームはミニア県にあるナイル河谷の都市付近で少なくとも17体のミイラがある墓地遺跡を発見したと、考古省は5月13日に発表した。これは、西部の砂漠の端にある広大な古代遺跡のトゥーナ・エル・ゲベル村で発見された。

この地域には、トキなどの動物のミイラ数千体を含む巨大な墓地遺跡がある。「これはここトゥーナ・エル・ゲベルで見つかった初めての人間の墓地遺跡だ」と考古省のハリド・アナニ大臣は述べた。

このミイラは丁寧に保存されているため、高官や神官のものと見られると、アナニ大臣は述べた。

Science & Health

Dutch court rules 12-year-old can refuse chemo (p. 6)

12歳少年の化学療法拒否、蘭裁判所が認める

オランダの裁判所は、12歳の少年が化学療法を受けたくなければ受けなくてもよいという判決を下した。5月12日のこの判決は、少年の父親が治療を命じるように求めた後で出された。少年の母親は、化学療法に対する息子の反対の意志を支持していた。アルクマールにある裁判所は、化学療法は、Davidという名前のみ明かされているその少年にとって治療の一部だと述べた。少年は昨年、脳の腫瘍の摘出手術に成功している。David君が判断を下す能力についての心理カウンセリングの報告の後、裁判所の判事は、彼は「自身の利益について理にかなった評価をする能力がある」と述べた。

This week's OMG!

Man seeking pizza rescued from mountain (p. 8)

無料ピザを求めて雪山登山の男性、あわや凍死

1人の男性が、無料のピザを求めてアリゾナ州北部の雪山を短パンなどの軽装だけで登った後で救助され、低体温症の治療を受けたと、当局が発表した。

男性は、エルデン山にあるラジオ放送塔にたどり着いた人に無料のピザをあげるという地元企業による約束の資格を得ようとしていた。この山の標高は2,740メートルを超える。

放送塔にいる森林局の管理人が5月9日にこの30歳の男性を保護したと、ココニノ郡保安官レックス・ギリーランド大佐は語った。

当局者らが、男性が困っているという報告を受け、男性を確認するようにと管理人に求めたとき、この山には春の嵐で数センチの雪が積もっていたと、ギリーランド氏は述べた。

男性は5月9日の朝に出発した際、天気予報を知らなかったか、天気予報を無視したと、ギリーランド氏は語った。

「この店が何を提供するかにかかわらず、自分がしようとすることについてまともで正しい判断をするのは個人の責任だ」とギリーランド氏は述べた。

Essay

Citizen diplomacy (p. 9)

市民外交

数年前、私は英語教育の国際会議に出席した。初日の朝、ホテルのレストランで、私は3人の参加者に出会った。彼らはどこか普通でなかった。場違いな感じに見えた。

「どちらからいらしたのですか」と私は尋ねた。「北朝鮮です!」と彼らは返事をした。彼らは平壌から来た英語教師で、北朝鮮を離れる特別許可をもらっていた。彼らにとって初めての外国だった。

一番若かったリーさんは、言語学者だった。一番年上だったパクさんは、シェイクスピアの専門家だった。リーダーのキムさんは、上手な英語話者だった。私たちは仲良くなり、すぐに友だちになった。

その後、私はアメリカ人の同僚と会い、彼に自分のホテルに北朝鮮から来た人がいたことを伝えた。彼は驚いた! 私たちは韓国の人が会議に何人かいたことは知っていた。「これは外交の素晴らしい機会だ」と私たちは思った。「平和構築を少し試みてみよう!」。

私たちの計画は、韓国料理のレストランで会い、一緒に食事を取ることだった。私は北朝鮮の人たちを連れてきた。私の友人は韓国の人たちを連れてきた。

最初、私たちはうまくいかないのではないかと心配だった。当時、今と同じように、北朝鮮と韓国は公式にはまだ戦争状態だった。どちらのグループも、互いが「敵国」だと教わっていた。両国の人が会うことを禁じる法律まであった。

驚くべきことに、その夕食は大成功で、全員が友人になった! これはどのようにして起こったのだろうか? それには4つの要素があった。

1つ目の要素は、私たちには共通のアイデンティティーがあったことだ。私たちはみんな英語教師だった。私たちは同じ職業に属していた。国籍は違っても同僚だった。

2つ目の要素は、好奇心だった。韓国の人々は、北朝鮮のことに関心が高かった。北朝鮮の人々も韓国のことに関心を持っていた。このお互いの好奇心がその夜全体を盛り上げた。

3つ目の要素は、名前が共通していたことだった。キムさんは北朝鮮の人だった。2人の韓国の人もキムさんという名前だった。すぐに彼らは話し始めた。「あなたのバックグラウンドは何ですか? どのキム族に属していますか?」。この質問は即時のつながりをもたらした。

4つ目の要素はお酒だった。朝鮮半島の人たちはみんなお酒を飲むのが好きだった! 私たちはゆっくりと酔ってくるにつれて、政治、イデオロギー、偏見という障壁は消え去っていった。

私たちの会合は音楽と共にお開きになった。韓国のリーさんは立ち上がって、北朝鮮と韓国の両方の人にとって神聖な場所とされている白頭山についての歌を歌った。北朝鮮のパクさんは、朝鮮半島の人々全員の夢である統一についての歌を歌った。彼らはみんな素晴らしい歌い手だった! 私たちは感情のこもったバージョンの『アリラン』を歌って締めくくった。

私たちの平和構築の時間はあっという間に終わった。2日後に、会議が終わり、私たちは家に向かった。私は二度と北朝鮮の同僚たちに再会することはなかった。

世界には、国粋主義や偏見、恐れ、不信の声に対抗するためにもっと市民外交が必要だ。北朝鮮についての恐ろしいメディアのイメージの背景には、ごく普通の人たち ― 主婦、農民、学生、教師 ― がいる。彼らがみんな求めていることは平和な生活だ。私たちと同じように。

注:このエッセイに登場した名前はすべて仮名です。

Top News
Easy Reading
National News
World News
Science & Health
This week's OMG!
Essay
  • 市民外交

サイト内検索

2018年6月29日号    試読・購読   デジタル版
目からウロコの英文ライティング

読者の声投稿フォーム
バックナンバー