「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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2017年6月2日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Listen, look, and learn (p. 9)

聞いて、見て、知る

ある晩、小さなカフェでディナーデートを楽しみながら、たまたま英語で話していた。私が話している途中で、2テーブル離れたところにいた若い日本人の男が突然割り込んできた:「どこから来たの? どうも、こんにちは? ちょっと? どっから来たの?」

私には2つの選択肢があった。選択肢1:あえて中断を許し、私の貴重な時間を無駄にしてこの男にマナーを教える。あるいは、選択肢2:彼を無視する。

この割り込みに気が付いていたのは私だけだったので、選択肢2を選んだ。こんなに無礼なやり方で割り込まれたのはしばらくぶりだった。がっかりすることに、女性2人で会話をしていて、気を引こうと必死の男性に邪魔をされることは世界中でよくあることなのだ。

邪魔をされるだけでもすでに無礼だ。話しの途中で遮られるのはもっと無礼だ。「どこから来たの?」と話しの途中で遮られるなんて、人が与え得る第一印象としてはかなり最悪だろう。

「どこから来たの?」という質問は、英語学習者が最初に教わる疑問文の1つで、彼らが最初にする質問の1つだ。残念ながら、これはあつれきを生む質問だ。ライターで写真家のタイエ・セラシさんがTEDトークで述べていたように、移民に「どこから来たの?」と聞くと、彼らには「なんでここにいるの?」と言われているように聞こえる。この質問で会話を始めるのはいい考えではない。

さて、では他の選択肢は何か? 私はいつも生徒たちに会話を車の運転のように考えてみるように教えている。良いドライバーであるには、いつも他の車が何をしているかを確認すべきだ。別の車と同じ車線に入りたかったら、合図をしなくてはいけない。車はあなたをその車線に入れてくれるかもしれないし、入れてくれないかもしれない。急な動きはしてはいけない。さもないと、事故を起こすことになるだろう。私たちと同じ場所にいた食事客の場合、彼は交通の流れを見るのではなく、私たちの車線に入り込もうと決めただけだった。

優秀な会話のドライバーになるには、まず、聞く必要がある。共通して持っている何かを聞こうと耳を傾けよう。何が話し合われているかを理解出来なかったら、自分の周りを見てみよう。あなたが共通して持っているものを探してみよう。それは食べ物かもしれない。あなたはお薦めを聞くこともできる。しかし、口を開いて何かを尋ねたり、何かを言う前に、もう一度耳を澄ませてみよう。話し掛けるいいタイミングを聞いて判断しよう。割り込んではいけない。あなたを入れたいと相手が思うサインを耳と目で探ろう。

私たちのそばで食事をしていた人の意図は、親しい会話を始めることだったかもしれないが、無礼で傲慢な印象を与えただけだった。

もし彼が3つのL ― Listen(聞く)、Look(見る)、Listen again(もう一度聞く) ― を実践してくれさえしたらと思う。良いスピーカー ― 聞くに値する人々 ― とは、良いリスナーでもある。だから、もし本当にあなたの話を人に聞いてほしいと思うなら、あなたは相手の話を聞くべきだろう。

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