90年代の人気バンド「パルプ」のリーダー、ジャーヴィス・コッカーが歌ったように、「みんな観光客が嫌いだ」。悲しいことに、観光客については嫌いになることがたくさんある。そして、私たちは皆、好むと好まざるとにかかわらず、人生のどこかで観光客になる羽目になる。
では、観光客がこんなに嫌われる原因はずばり何なのだろうか? 観光客の主な悪影響の1つに環境への影響がある。ニュージーランドのツアー運営会社は、『ロード・オブ・ザ・リング』の映画が人気になり、ニュージーランドの観光産業が急伸して興奮した。しかし、この観光ブームは、景観へのひどいダメージをもたらした。人気の湖のふち周辺をあまりにも多くの車が通ったせいで生じたダメージが分かる写真が公開された。観光客はまた、あまりにもたくさんのゴミをポイ捨てしていくので、決まりが悪すぎてこのエリアの上を飛ばないヘリコプターツアーの運営会社もあったほどだ。
決まりの悪さは、嫌な観光客というレッテルを貼られた国の人々が強く感じるものでもある。中国からの観光客が、いい写真を撮ろうとして大阪で桜の木を傷つけたという事件があった。日本のメディアは、役目をしっかり果たし、これらの観光客と、そして同様にして他の中国人全員を非難した。日本でニュースにならなかったのは、中国本土で同じくらい怒っている中国の国民のコメントだった。中国の国民の大多数も、こうした観光客のひどい行動にゾッとした。
こうしたことはどこでも起こる。東南アジアの一部への観光客は、旅の資金を賄うために、物乞いをしたり、道で商品を売ろうとしたりしているところを写真に撮られている。イギリス人には酔っ払って破壊的な行楽客になるという評判がある。もしかしたら、tourist(観光客)がややterrorist(テロリスト)と似て聞こえるのには理由があるのかもしれない。
異なる環境にいることに配慮が足りないことが、マナーの悪さの主な原因のように思える。日本で、私の近所の通りをきれいにしている人の事例は数多く見てきたが、日本人が散らかしたり、もっと悪いことにすでにゴミであふれている場所にポイ捨てしたりするところを見たこともある。数年前に、和歌山県のあまり有名ではない山をハイキングしているときに、私は他のハイキング客が残していったゴミがあまりにもたくさんあるのを見てがっかりした。
私は最近、マーク・トウェインの言葉の1つについて話すように生徒たちに言った:「旅というものは偏見にとって致命的だ」という言葉だ。生徒の1人は、これは観光客にも当てはまる一方で、観光客のマナーが悪いと、特定の国からの観光客への偏見を生むことにもなりかねないと指摘した。
旅についての別の言葉には、「持ち帰るのは思い出だけ、残すのは足跡だけ」というものがある。しかし、たぶん足跡を残すことですら行き過ぎだろう。おそらく、観光客や旅行者が覚えておくべきことは、自分の国とその国民を代表しているということ ― 足跡ではなく、よい印象を残すべきだということだ。