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2017年9月22日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Terrace House (p. 9)

『テラスハウス』

日本に住む日本人ではない人はよく、国内のテレビ番組を嫌っている。これは日本に住むことにまつわる最もよくある不満の1つだ ― 少なくとも英語話者の中では。日本のテレビ番組は落ち着きがなく、ひどくばかげていると言う人もいる。そして、話し手がくだらないことを話すパネル番組もある。日本に十分長く住むと、こうした不満がテレビ番組そのものと同じくらいありきたりに感じられるようになってくる。

それでも去年、国際的にヒットした最も驚きの大きいテレビ番組の1つは日本のテレビ番組だった。それはリアリティー番組の『テラスハウス』シリーズで、動画ストリーミングサービスのネットフリックスで視聴できる。海外では特定の小グループに大人気の作品となった。

この番組では、数人の若者が同じ家で共同生活をする。それだけだ。彼らは多くの若者と同じように、生活し、仕事をし、楽しいことをし、苦労を経験する。ドラマが起こるが、たいてい、ルームメイトの1人が他の人の食べ物を食べたといったことを中心に展開する。だから、外国人居住者が嫌う日本のテレビ番組とは違って、この番組は落ち着きがないわけでもないし、ばかばかしくもない。しかし、おしゃべりをするテレビタレントたちも登場する。

『テラスハウス』は最初、2012年にフジテレビで放送を開始し、それほどヒットしなかった。シーズン1のエピソードは毎週金曜日の夜に放送されたが、これはテレビ番組にとって最適の時間帯ではなかった。しかし、それから2015年に新しいシーズンがネットフリックスで放送され、のんびりしたこの番組への関心が高まった。最初のエピソードは東京を舞台にし、最も新しいシーズンはハワイを舞台にしている。

テラスハウスの新たな成功は、一部に、いつでも見たいときに見られることにある。2017年とあっては、特定の放送時間に縛り付けられたい人などいない。むしろ、自分のペースで番組を見たがるものだ。ネットフリックスはまさにそれを可能にしていて、もしそうしたければ、シーズン全体を ― あるいはシリーズ全体を ― 一気に長時間続けて観ることも可能だ。『テラスハウス』はこの目的に特にぴったり合い、多くの海外ファンらはこの番組は穏やかで、癒やしにも近いような性質があると語る。つけるだけでリラックスできるのだ。

そのドラマチックでないという性質がアメリカのリアリティー番組とは正反対だ。アメリカのリアリティー番組は、ドラマと人間関係の対立に立脚している。欧米の視聴者の多くは『テラスハウス』があまりに異なって見えるために引きつけられている。多くの人々が母国でのやり過ぎな番組に飽き飽きしていて、なかなか進まない番組 ― 特に、何が起こっているかを明らかにする、パネリストが話すコーナー ― の方がずっと面白いと思っている。

日本のテレビに登場するおしゃべりなタレントのパネリストについて多くの人々が不平を言うのを聞いてきたので、海外で『テラスハウス』が人気になっているというのは面白い。このことは、誰かがダメだとはねつけたものが、実際には結局、多くの他の人々を結び付くことになると証明している。それに、外国人居住者の多くはテレビのビジネスに関わるべきではないということも。

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