「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2017年9月29日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

NASA's Cassini spacecraft ends historic exploration of Saturn (p. 1)

土星探査機「カッシーニ」、任務終了

アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙船カッシーニは9月15日に土星の上空でバラバラになり、20年という類まれな旅を経て、定められた最後の宇宙での華々しい死を遂げた。

予定されていたカッシーニの最期はアメリカ東部夏時間の午前7時55分に確認された。この時刻に、この宇宙船(カッシーニのこと)からの無線信号が突然停止した。カッシーニは、実際にはその83分前に流星のように燃え尽き、1997年に探査のために打ち上げられてから、土星の大気圏に突入し、気体でできた巨大な惑星(土星のこと)の一部となった。しかし、16億キロ離れた地球にその知らせが到達するまでにはそれだけ長い時間がかかった。

土星を周回した初の宇宙船カッシーニは、私たちにその惑星(土星のこと)、土星のリングや衛星の最も光り輝いているときをクローズ・アップで見せてくれた。おそらく、最も興味を掻き立てるのは、衛星のエンケラドスとタイタンに海の世界があることが分かり、生命体が育まれている可能性があるということが判明したことだろう。

最後まで忠実に、カッシーニは9月14日に最後の写真を撮影し、9月15日に最後の突進をしながら土星の大気のサンプルを採った。

プログラムマネージャーのアール・メイズ氏は、公式声明を発表した:「これは信じられないようなミッションであり、信じられないほど素晴らしい宇宙船だった。そしてみなさんは信じられないほど素晴らしいチームだった」とメイズ氏は語った。「これでミッションを終了する」。

Easy Reading

Citizens group stages rally to battle hate speech on Twitter (p. 3)

市民団体、ツイッター上のヘイトに抗議

市民グループはツイッター上での差別的な発言に立ち向かい、このソーシャル・ネットワーキングサービスにヘイトスピーチなど侮辱的な言葉のやりとりを阻止する早急な対策を取るように要求した。

今月始め、東京都中央区にあるツイッターの日本支社の正面に抗議者らが集まり、この会社に対して、朝鮮半島の出身の人々をターゲットにしたたくさんの事例がある攻撃的な投稿のようなヘイトスピーチをただちに削除するように取り組みを強化してほしいと要請した。

市民団体「Tokyo No Hate」は、団体の支援者らがツイッター上で発見し、ヘイトスピーチと見なした差別的な発言1000件以上をリストアップした。

抗議者らは街に繰り出し、攻撃的なツイッター投稿を印刷した約400枚の紙を、人々がそれらを踏むことができるように、ツイッター日本支社の正面の歩道に設置した。

Easy Reading

Venezuela's new plan to beat hunger: Breed rabbits (p. 3)

「ウサギを食用に」、ベネズエラの食糧不足対策

ベネズエラ政府は国民に対し、ウサギをペットとしてよりも食品としてみなすように促し、反対派はこれが慢性的な食糧不足を終わらせることはないと言っているにもかかわらず、人々にウサギを育てて食べるように要請している。

「ウサギ計画」はニコラス・マドゥロ大統領の政府による食料供給を高めるための取り組みだ。当局は国民に家庭の屋根やバルコニーで食べ物を育てるように頼んでもいる。

「ウサギはかわいいペットだと私たちは教えられてきた」とフレディ・バーナル都市農業担当大臣は語った。「ウサギはペットではない;たんぱく質が豊富でコレステロールを含まない1.5キロから2キロほど肉だ」。

マドゥロ大統領の反対派はそのような考えは無意味だとはねつけている。反対派は、原油市場が崩壊した後に生き残ることができなかった原油に資金を依存する社会主義モデルの崩壊が真の問題だと主張している。

National News

Volcanoes could overwhelm 5 nuclear plants (p. 4)

原子炉、噴火で冷却不能の可能性

原子力の安全性の監視機関による安全検査を通過した5ヵ所の原子力発電所について、近隣の火山で大規模な噴火が起こった場合に冷却装置が壊れる危険性があるかもしれないと、この監視機関が9月18日に発表した。

この原子力の当局によれば、近隣の火山が噴火した場合、5ヵ所の原子力発電所とその発電所の8基の原子炉が外部からの電力供給を失う可能性があり、その場合には緊急用のディーゼル発電機も役に立たなくなるかもしれないという。

これらの原子力発電所は鹿児島県、佐賀県、福井県、愛媛県にある。

National News

4 teens arrested over vandalized wartime site (p. 4)

沖縄戦跡を荒らした少年、逮捕

4人の10代の若者が沖縄県の洞窟での器物破損容疑で逮捕されたと警察が9月15日に発表した。この洞窟は、第二次世界大戦の終戦が近づいていたときに民間人が集団自殺を強制された場所だ。

少年らは16〜19歳で、2つの看板と、読谷村の洞窟「チビチリガマ」を訪れる人々が残した折り鶴を9月5日から12日の間に破壊した容疑を認めていると、警察は述べた。

警察は、防犯カメラを確認し、近隣住民に話を聞いた後で、少年たちを逮捕した。

National News

Number of Japanese 90 and older tops 2M (p. 4)

90歳以上、初の200万人突破

全国で9月18日に敬老の日が祝われるなか、最新の政府の推定によると、日本の90歳以上の人の数は206万人に達し、初めて200万人を超えたという。

総務省が集めたデータでは、昨年の時点で職業を持っている65歳以上の人は770万人という記録的な数であったことも示され、全ての被雇用者の11.9%を占めた。

この数値は、労働人口が縮小するなかで高齢者の役割が増していることを強調している。

National News

Former No. 1 Miyazato ends golfing career (p. 4)

宮里藍、現役最後の大会は32位

元世界ナンバー1の宮里藍は、今期の女子メジャー最終戦となる9月17日のエビアン選手権で、切望されたメジャータイトルを獲得して引退することができなかった。

宮里は32位で(他の選手と)並んで試合を終え、スウェーデンのアンナ・ノードクイストが優勝した。宮里は5月29日に今シーズン限りで引退すると発表していた。

米女子ツアーで9回の優勝経験を持つ宮里は、メジャーツアーでタイトルを獲得したことがない。宮里はエビアン選手権で2回勝利したが、それはこのフランス南東部での大会(エビアン選手権のこと)が2013年にメジャー戦に格上げされる前のことだった。

World News

Homemade bomb hurts 22 on London subway (p. 5)

英ロンドンの地下鉄で爆発、22人負傷

手製の爆弾が9月15日のラッシュ時間に混み合ったロンドンの地下鉄で爆発し、少なくとも22人が負傷したと当局が発表した。負傷者で重傷を負った人はいないと考えられている。

警察は、この爆発はテロ攻撃だったと発表している。テロは今年に入ってイギリスで5回目となる。イギリス国内の諜報機関は捜査に協力している。

通勤通学客がロンドン南西部のパーソンズグリーン駅で、ディストリクト線の車両内で騒音と閃光が見えたと報告した。数百人が危険から逃れるために急いだ。

World News

Mars research crew ends 8 months in habitat (p. 5)

「ハワイの火星」での模擬実験が終了

ハワイの人里離れた火山に作られた模擬火星の環境に、アメリカ航空宇宙局(NASA)が支援した研究の対象者6人が1月から閉じ込められていた。9月17日、この対象者は隔離された状態から抜け出てきた。

彼らはとれたての新鮮な熱帯の果物と卵のキャセロールをむしゃむしゃ食べた。

この住環境で生活する際、彼らが食べたのはほとんど、フリーズドライの食品と任務中に自分たちで栽培した野菜だった。

男性4人と女性2人の一団は、長期にわたる宇宙空間での任務が宇宙飛行士に与える心理的な影響をよりよく理解するために計画された研究の一環だ。

World News

Kurd independence vote worries Turkey, Iran (p. 5)

クルド独立投票でトルコ反発

イラクのクルディスタン地域が独立をめぐる国民投票の準備をする中、国内だけでなく近隣のトルコとイランでも緊張が高まっている。

トルコの戦車が9月18日にイラクのクルディスタン地域の国境付近で軍事演習を実施した。イランは9月25日の投票が実施された場合、何らかの結果を招くと警告した。

どちらの国も、両国内にいるクルド人がこの投票後に独立を希望するだろうと危惧している。

しかし、クルディスタン地域の首都エルビルの指導者は、投票を中止するよう求める圧力に屈する兆しを見せなかった。

World News

Malaysia police arrest 7 boys over deadly fire (p. 5)

マレーシア、23人死亡の火災で少年7人逮捕

マレーシアの警察は9月16日、クアラルンプールにあるイスラム教の全寮制の学校に放火した疑いで7人の少年を逮捕したと発表した。この火災で23人が死亡した。放火をしたのは、報じられるところによると、生徒たちが少年たちをからかったためだという。

警察のAmar Singh警察署長は、11〜18歳の少年たちは拘留されていると述べた。イスラム教徒の少年たちがコーラン(イスラム教の聖典)を学んで暗記する3階建てのtahfiz(アラビア語で「記憶者」の意)学校での火災は、寮のたった1つの出口を封鎖した。2人の大人と21人の生徒が死亡した。

Singh署長は、行なわれたとされるからかいの詳細を明らかにしなかった。

This Week's OMG!

Terrifying lizard turns out to be dirty clothing (p. 7)

毒々しいトカゲの正体は靴下

それは長さ18センチ、幅5センチのピンク色の縞模様だった―ベッドの下に隠れているのを発見したイギリスの家族にとって―それは危険なトカゲかもしれないと思えた。

しかし、恐怖に怯えた家族が動物福祉慈善団体を呼んで、イングランド中部のコベントリーにある家でその「生き物」を捕まえてくれるように頼んだ後、それはずっと不吉ではないものだった―(トカゲではなく)汚れた靴下だった。

イギリス王立動物虐待防止協会の動物保護担当官Vic Hurr氏は、「トカゲ」の存在を9月8日に知らされてから用心深くそのトカゲに近づいたと語った。

「ベッドの端から飛び出ていて、全く動かなかった」とHurr氏は述べた。「とても軽いわけではなかったので、よく見えるように懐中電灯を取り出すと、トカゲではなかったことに気がついた」。

Hurr氏は、指導と警告を残して一家の元を離れたという。

「その部屋を使っている少女に部屋を片付けて靴下をきちんとするようにアドバイスし、その前に、靴下は普通2枚で1足なのですぐにもう片方が出てくるだろうということも伝えた」とHurr氏は述べた。

Essay

Read me a story (p. 9)

本を読んで

幼いころに本を読んでもらった思い出はあるだろうか? 私が覚えている中で物語を読み聞かせてもらった最も昔の記憶は、日本の幼稚園で紙芝居を先生が読んでくれたのを聞いたことだ。

次に覚えているのは、札幌にあるインターナショナルスクールの5年生のときの記憶だ。私たちの先生は毎日休み時間の後に小説から読み聞かせをしてくれた。先生が読んでくれた本は、私が自分で読んでいたものよりも難しかった。そのほとんどは当時すでに古典的な作品になっていた。先生が読んでくれるどの本にも私はすっかり夢中になっていた。私にとって、学校へ行く一番の楽しみだった。

今でも、世界で一番好きな小説な何かと聞かれたら、私はラドヤード・キップリングの『少年キム』と答える。ときどき、「2番目に好きなのはJ.R.R.トーキエンの『ホビットの冒険』だ」と付け加えることもある。昔も今も、読んでもらったこれらの本のことは自分で読んだ本よりもずっと鮮明に覚えている。そして、人生のさまざまな段階で何度もこれらの本を再び開いてきた。

私には熟練した読書家の友人が2人いる。1人は地元の小学校の児童に絵本を読み聞かせしている。彼女は、魅力的な絵と持ち時間内に読める選び抜かれた言葉が載った本を慎重に選ぶ。

彼女は、親たちからよく「子どもの成績が良くなった!」と感謝されると言う。しかし、私の友人は学力向上が読み聞かせの目的だとは思っていない。彼女は、子どもに良い物語の本を読み聞かせることで、子どもたちの中に火を灯すことができると考えている。子どもたちが、人生を情熱とビジョンを持って生きる大人に成長するのを助ける火を灯すことができると。

もう一人の友人は、大人に読み聞かせをするのに熟練している。必ずしも、視力の悪い人や印刷された本を自分で読めないほど体調の悪い人とは限らない。普通の人だって本を読み聞かせてもらいたいと思うことがあるのだ。読み聞かせは、自分で読むことでは得られない新しい質の経験を付け加えるようだ。

私の子どもたちが幼かったとき、寝る前に毎晩読み聞かせをしようとした。この習慣は子どもたちが赤ちゃんだったときに始まり、中学校に入るまで続いた。

もちろん、その頃には子どもたちは自分で本を読めるようになっていた。しかし、私たちの読み聞かせタイムはとても特別な時間だった。今でも子どもたちは『シャーロットのおくりもの』、『マイロのふしぎな冒険』、『大草原の小さな家』、『ロビンソン・クルーソー』を懐かしく思い出す。私が子どもたちに読み聞かせをしたことが、彼らがどんな大人になるかに影響を与えたかは証明できない。しかし、子どもたちが自分たちの人生を情熱とビジョンをもって生きる大人に育ってくれたと言えることをうれしく思う。

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