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2017年9月29日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Read me a story (p. 9)

本を読んで

幼いころに本を読んでもらった思い出はあるだろうか? 私が覚えている中で物語を読み聞かせてもらった最も昔の記憶は、日本の幼稚園で紙芝居を先生が読んでくれたのを聞いたことだ。

次に覚えているのは、札幌にあるインターナショナルスクールの5年生のときの記憶だ。私たちの先生は毎日休み時間の後に小説から読み聞かせをしてくれた。先生が読んでくれた本は、私が自分で読んでいたものよりも難しかった。そのほとんどは当時すでに古典的な作品になっていた。先生が読んでくれるどの本にも私はすっかり夢中になっていた。私にとって、学校へ行く一番の楽しみだった。

今でも、世界で一番好きな小説な何かと聞かれたら、私はラドヤード・キップリングの『少年キム』と答える。ときどき、「2番目に好きなのはJ.R.R.トーキエンの『ホビットの冒険』だ」と付け加えることもある。昔も今も、読んでもらったこれらの本のことは自分で読んだ本よりもずっと鮮明に覚えている。そして、人生のさまざまな段階で何度もこれらの本を再び開いてきた。

私には熟練した読書家の友人が2人いる。1人は地元の小学校の児童に絵本を読み聞かせしている。彼女は、魅力的な絵と持ち時間内に読める選び抜かれた言葉が載った本を慎重に選ぶ。

彼女は、親たちからよく「子どもの成績が良くなった!」と感謝されると言う。しかし、私の友人は学力向上が読み聞かせの目的だとは思っていない。彼女は、子どもに良い物語の本を読み聞かせることで、子どもたちの中に火を灯すことができると考えている。子どもたちが、人生を情熱とビジョンを持って生きる大人に成長するのを助ける火を灯すことができると。

もう一人の友人は、大人に読み聞かせをするのに熟練している。必ずしも、視力の悪い人や印刷された本を自分で読めないほど体調の悪い人とは限らない。普通の人だって本を読み聞かせてもらいたいと思うことがあるのだ。読み聞かせは、自分で読むことでは得られない新しい質の経験を付け加えるようだ。

私の子どもたちが幼かったとき、寝る前に毎晩読み聞かせをしようとした。この習慣は子どもたちが赤ちゃんだったときに始まり、中学校に入るまで続いた。

もちろん、その頃には子どもたちは自分で本を読めるようになっていた。しかし、私たちの読み聞かせタイムはとても特別な時間だった。今でも子どもたちは『シャーロットのおくりもの』、『マイロのふしぎな冒険』、『大草原の小さな家』、『ロビンソン・クルーソー』を懐かしく思い出す。私が子どもたちに読み聞かせをしたことが、彼らがどんな大人になるかに影響を与えたかは証明できない。しかし、子どもたちが自分たちの人生を情熱とビジョンをもって生きる大人に育ってくれたと言えることをうれしく思う。

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