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2018年1月12日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Word association (p. 10)

言葉の連想

私は日本語が好きだ。もちろん、英語を母語として話す人が学ぶには難しい言語の1つではあるが、日本語にはかなり効率のいいものもある。

例えば、職場でのあいさつの「お疲れさまです」は英語には存在しないが、誰かのしている大変な仕事を認めるのに良い方法だ。しかし、日本語の表現の多くが便利なほど、私の生徒たちはときどき、英語に直接置き換えることに集中し過ぎてしまう。このような直訳への依存は他の言語を学ぼうとしている人々にとって物事を難しくしかねない。

直訳は多くの言葉に便利だが、多くのフレーズがこんなふうには翻訳できない。最悪なのは、表現の逐語的な翻訳だ―これはネット翻訳ツールの多くに今でも多く見られる。翻訳の確認をプロにわざわざ頼むことをしなかった、あるいは、頼む余裕のなかったメニューや看板などのひどい翻訳の英語にこれを見ることができる。

私の生徒たちはよく、なぜ直訳がうまくいかないのかの好例を与えてくれる。彼らは、「それは私の疲れを取り去る」と言うことがあり、これは文法的には正しいが、実際はとても変に聞こえる。おそらく彼らが言おうとしているのは、「私はそれをくつろげるものだと思う」ということだろう。先日、ある生徒が、繰り返し「Fall ball」と言って私にある単語を説明しようとした。私はいつもは生徒が何を言おうとしているのかを解き明かせるのだが、このときは途方に暮れた。「fall ball」? 秋の正式な社交ダンスパーティみたいなもの?

やがて、彼が「お年玉」を説明しようとしていたのだと分かった。文字通りには「落とす(fall)」「玉(ball)」のように聞こえる。これを直訳するのではなく、日本語の「お年玉」を、例えば「money(お金)」や「New Year's Day(元旦)」、「give(与える)」、「children(子どもたち)」といった英語の単語に結びつけようとすべきだった。そうすれば、「New Year's money(正月のお金)」といった英語にたどり着いただろう。

彼らは懐疑的だった。「ええ?! そんなに簡単なの!」とみんな叫んだ。

言葉の連想はとても役に立つ効果的なテクニックだ。私は生徒たちに単語を説明する助けに言葉の連想を使うよう勧めている。これは別の言語で考えるのに役立つのだ―それは一言一句の翻訳や辞書で単語を調べるよりもずっと速い。その連想が個人的な何かであればさらに良い。私の生徒の何人かは「fall asleep(寝入る)」という行動を覚えるのに苦労していた。彼らの1人が、その語を皆が知っている同僚と結び付けるまでは。「オノさん!」と生徒の1人が叫ぶと、みんなが会議中にいつも眠っているのがまさに誰かを知っていたので、みんなが笑った。

何事もそうだが、直訳の癖を直して言葉の連想を活用するのには忍耐と練習を要する。しかし、それは、みんなを集中させ、関わらせることができるので、あると役に立つスキルだ。携帯電話の辞書アプリを調べることほど、会話を台無しにするものはない。試しにやってみよう。そうすればあなたの語彙は増えていくだろう。

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