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2018年2月2日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

YouTube gamers (p. 9)

ユーチューブのゲーム実況者

大人になるまでテレビゲームに夢中だった。学校から帰ってまず向かうのはテレビで、母が宿題をしないと罰を与えると脅してくるまで、『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオ64』をコツコツ進めたものだ。

それでも日本に来てからはゲームのコントローラーを手に取ることは滅多になく、テレビゲーム機は全く持っていない。単純に、最新の『ポケモン』のゲームにきちんと費やす時間がない。最近はしかし、他の人がゲームをしている様子を見る時間ならあるということに気が付いた。

僕はユーチューブのゲーマーの世界のとりこになっている。彼らはさまざまなテレビゲームをしているところを、そのゲームの話をして起こっていることに反応しながら、単に動画撮影している人たちだ。バカバカしく聞こえるかもしれないが、ユーチューブの大クリエイターの中には、ゲームをしながら気の利いたコメントを提供して注目を浴びた人もいる。そうした人々には、ユーチューブで誰よりも多くのチャンネル登録者を持つPewDiePieは言うまでもなく、Markiplierやjacksepticeyeなどがいる。

同じ現象は日本にもあり、日本はテレビにそのルーツがある。1980年代には一般の人々がテレビゲームで対戦している様子を取り上げたゲーム番組が数多くあった。(1990年代にはアメリカでも同様のテレビ番組があった。)日本の動画サイト「ニコニコ動画」が2000年代半ばに到来し、誰でも自分がしゃべりながらゲームをする様子を収めた動画を配信できるようになった。

今ではユーチューブが日本でもゲーム実況の世界に中心になっている。人気の2Broというチャンネルでは、2人の人物が、主人公の視点で展開するシューティングゲームからパズルゲームに至るまで、冗談を飛ばしながらあらゆるゲームをしている様子を取り上げている。彼らはほとんど毎日動画を投稿していて、200万人近くのチャンネル登録者がいる。ユーチューブのゲーマーはスポンサー契約でさらにお金を稼いだり、オリジナルグッズを販売したりもできる。

以前は、こうした事業全体がひどく間抜けだと思っていた。正直に言えば、今でもそう思っている。しかし、こうした動画は見ているとなんだか気楽になるということにも気が付いた。このことに初めて気が付いたのは『カップヘッド』を観ていたときだ。『カップヘッド』は漫画のカップがたくさんの色とりどりのボスと戦う動きの速いゲームだ。とても難しいゲームで、プレイヤーはキャラクターを動かして、嵐のように飛んでくる発射物を避けさせなければならない。もし自分が10代のころにこのゲームをしていたとしたら、イライラしてコントローラーをいくつも壊していただろう。

しかし、誰かがこの難題を切り抜けていくのを観ているのは、心がなごみ、面白い。それに実に愉快だ。たぶん、何もかもが事前に取り決められている普通のテレビ番組には飽きたのかもしれない。ゲーマーの動画にはゲームでのミスもリスタートも全て収められている。漫画のカップが何度も何度も死ぬのを観るのは―そしてユーチューバーがいら立って叫ぶのを聞くのは―違っている。

それは、私の2018年の娯楽スケジュールに思いもよらず追加されたものだが、楽しんでいる。それに、誰かが楽しんでいるのを観られるので、ニンテンドースイッチを買わなくてもいい分、かなりお金の節約になる。

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