毎朝ベッドから起き出すと、いつもテレビをつけて、放送している朝の番組を1つ見る。そうした番組は大抵、その日の大きなニュースを取り上げ、一日の始まりにふさわしいさまざまな気楽なコーナーで番組を引き伸ばす。
最近はしかし、番組に新たに加わるものが登場した。平成の時代―だいたい1989年から現在まで―をテーマにする特集が一般的になってきた。平成に大きなニュースとなった出来事や、東京ディズニーシーのオープン、ウィンドウズ95の日本での発売といったそれほど重要でない出来事などを振り返るストーリーが、定番になりつつある。
そして、それだけでは終わらない。日本のポップ・グループ嵐が出演してベルリンの壁の崩壊やギャルファッション、自分たちのデビューを振り返っている日本郵便のスポットCMなどのコマーシャルも同じように平成を懐かしむ潮流をうまく利用し始めた。歌手の安室奈美恵さんも多くの注目をかっさらっている。その主たる理由は、間近に迫った引退だが、彼女が登場した時代を振り返ることも要因となっている。ツイッターでランダムに登場する人々でさえも、1990年代のことについて投稿することが多くなり、恋しく思っている当時のものを振り返っている。
これは、平成という時代が終わりつつあるためだ。天皇の明仁親王は2019年の春に退位を予定しており、そのすぐ後に、日本では新しい時代が始まる。まだ名称は決まっていないが、昭和の後に続いた平成の時代に置き換わる。国が時代の文字通りの終焉を迎えるにあたり、人々は自然とその時代を懐かしんでいる。
昔を懐かしむ風潮は世界共通で、今は21世紀なので特にそうだ。アメリカでは、若者でさえも過去を恋しく思い、特に子どもの頃を懐かしむ。「ポケモンGO」が2017年の一大ゲームとなったのは偶然ではないと思う。そのゲームは子どもの頃を思い出させるため、20代かそこらの多くの人々とつながったのだ。企業や広告主、そしてアーティストでさえも、これを感じ取っている。アメリカで今年これまでに最も人気があったミュージックビデオは、90年代感漂うブルーノ・マーズの「Finess(Remix)」だった。ラッパーのカーディ・Bと共演している。テレビ業界全体も、「昔を覚えていますか?」という概念によって売り込まれている。
日本もまた、こういった類のノスタルジアに浸っているが、避けることのできない平成という時代の閉幕がそれをさらに加速させている。そして、ますます強烈になるばかりだ。平成のあらゆるものを称えるテレビCMが増えていき、日本郵政のリードに続いて、複数の企業が過去を思い出す人たち向けの新しい広告やプロモーションを作ると思う。
さて、来年、新しい時代が始まるまでは、たくさんの過去の振り返りに備えるとしよう。