メルボルンで3月16日に開かれたコンサートに集まったオーストラリアの人々は、特別なバイオリンを聴いていた。そのバイオリンは、東日本大震災と津波で発生した瓦礫から作られていた。
この演奏は、「共鳴:津波バイオリンコンサート」と呼ばれた。18,000人以上が死亡または行方不明となったマグニチュード9の地震と津波から7年の節目を迎え、このコンサートが開かれた。バイオリン奏者は大橋可菜さんで、バッハの曲を演奏した。
津波バイオリンは、77歳のバイオリン職人の中澤宗幸さんが震災のがれきでつくった弦楽器(バイオリンのこと)7本のうちの1本だ。バイオリンの正面と背面は、流木でできている。バイオリンの内部の小さな木の部品―バイオリンに独特の音色を与えるため、魂柱と呼ばれる―は、「軌跡の一本松」から作られた。樹齢280年のこの木は、岩手県陸前高田の町の沿岸に1本だけ残った立木だった。