過去を振り返ると、特別に目立つ年がいくつかある。そんな年の1つが1968年だった。
1968年は、衝突と戦争と暴力の年だった。ソビエトの軍隊がチェコスロバキアを侵攻し、複数の都市に戦車を送り込んでプラハの春を終わらせた。南アフリカは、人種差別のアパルトヘイト政策のせいでオリンピック出場を禁止された。何千人もの人々がベトナム戦争で殺され、アメリカ兵士による無辜の市民の大量殺りくソンミ村虐殺事件が起こった。
1968年は若者による社会運動の年でもあった。アメリカでは、学生たちがキャンパスで座り込みを計画し、反戦の抗議行動に参加した。フランスでは、学生たちが教育改革を求めて街頭に繰り出した。メキシコやポーランド、日本では、大学生たちが機動隊と戦った。世界中で理想主義的な若者たちが、「戦争ではなく愛を生み出そう」というスローガンを唱えて、平和と公正、人権を求めるデモに参加した。
1968年は女性にとっても劇的な年だった。この年、ミス・アメリカという美女コンテストに対する初のフェミニスト抗議があり、初の「National Women's Liberation Conference(全米女性解放会議)」があり、イエール大学はようやく女性の入学を認める決断をした。
1968年には、大勢の有名人の死もあった。その中には、サイレントムービーのスターであるチャーリー・チャップリン、初めて宇宙へ行った男性であるユーリ・ガガーリン、障がい者の権利を求めて活動した目が見えず、耳の聞こえない活動家のヘレン・ケラーなどがいた。
スポーツと文化の分野でも、1968年は数々の出来事が特徴的だった。これには、1968年のオリンピックと、ビートルズの『ホワイト・アルバム』のリリース、SF映画の定番『猿の惑星』『2001年宇宙の旅』の公開開始などが含まれる。
1968年は、悲劇の年でもあった。黒人の公民権運動のリーダーであるマーティン・ルーサー・キング・ジュニアがテネシーで銃殺された。ジョン・F・ケネディ大統領の兄弟であるロバート・ケネディがロサンゼルスで銃に倒れた。世界中の人々が、こうした残酷な暗殺にショックを受け、こうした鼓舞を与える人物たちの死を悼んだ。
1968年は、12月のアポロ8号の打ち上げで希望的な雰囲気で幕を閉じた。このミッション中に、1人の宇宙飛行士は、宇宙から見た地球を写した有名な『地球の出』という写真を撮った。この象徴的な画像は、われわれの地球村という意識を呼び起こすのに役立ち、この惑星を守っていく必要性を思い起こさせた。
戦争や侵攻、暗殺、デモなどが起こり、世界の歴史において劇的な年であった1968年から、2018年で50年を迎える。1968年は、世界中の人々が、老いも若きも、暴力、性差別、人種差別に抗議し、平和と自由と民主主義の世界を求めて立ち上がった年だった。
この節目は、私たちみんながこの劇的な年に起こった出来事を学び、その遺産について考え、よりよい未来を築いていくための取り組みの中で何を学ぶことができるかを話し合う良い機会だ。