「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2018年5月11日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

At historic summit, Koreas aim for 'complete denuclearization' (p. 1)

南北首脳会談、「非核化推進」合意

北朝鮮と韓国の首脳は4月27日、10年以上ぶりの南北朝鮮首脳会談で笑顔と握手を交わした日に、抱き合い、「朝鮮半島の完全な非核化」に向けて取り組むことを誓った。

北朝鮮と韓国は、今年、1950年代から続く朝鮮戦争の終戦を正式に宣言するため、アメリカと中国と協力すると発表した。

しかし、両国の取り組みは詳細が不足しており、数週間以内に予想されるアメリカのドナルド・トランプ大統領とのさらに重大な首脳会談を前に、北朝鮮側の意図に関して重要な疑問を解消していない。

韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談でもたらされた宣言には、段階的な軍縮の推進、敵対行為の停止、要塞化された国境付近を平和地帯に変えること、アメリカを含めた国々との多国間協議を模索することなどの約束が含まれていた。

「両国の首脳は、8000万人の我が民族と全世界を前に、朝鮮半島にこれ以上の戦争はなくなり、新しい平和時代が始まったことを宣言する」と両国側は発表した。

南北朝鮮首脳会談は、60年以上に渡って南北朝鮮を分断してきた国境にある重厚に要塞化された軍事境界線付近にある村の板門店で開かれた。

Easy Reading

Burning Man festival co-founder dies at age 70 (p. 3)

奇祭「バーニングマン」の創始者死去

1986年、数人の友人同士が巨大な木製の男を作り、サンフランシスコの浜辺で燃やした。彼らはそれをその後毎年行ない、そのイベントは「バーニングマン」となった。この祭りは、ネバダのブラックロックデザートに場所を移し、今では世界中から芸術感覚の鋭い人々を集めている。

最初の木製の男を燃やした友人たちの1人であるラリー・ハーヴィーさんが死去した。70歳だった。サンフランシスコの病院で4月28日に家族に囲まれて息を引き取ったと、バーニングマンプロジェクトのマリアン・グッデルCEOが発表した。

ハーヴィーさんの昔からの友人であるスチュアート・マングラムさんは、バーニングマンのウェブサイトに記事を書いた。マングラムさんは、ハーヴィーさんは死後の世界の存在を信じていなかったと述べたが、マングラムさんは人々にハーヴィーさんの思い出を生き続けさせてほしいと頼んだ。

バーニングマンでは毎回、暑い砂漠の真ん中に一時的なコミュニティーを形成する。最終日の1日前に、巨大な木製の「男」に火が付けられる。次回のバーニングマンは8月26日から9月3日までだ。

Easy Reading

Fossil footprints show how humans killed giant sloths (p. 3)

古代人と巨大ナマケモノの戦いが明らかに

科学者たちは、古代人が大型動物を食べるために殺そうと戦った可能性を示す兆候を初めて発見した。

ニューメキシコ州ホワイト・サンド・ナショナル・モニュメントで、科学者らは化石化した足跡を発見した。この足跡は、人類が大型のナマケモノの足跡をたどって歩き、それからナマケモノを攻撃した様子を示している。科学者らは、人類が槍をその動物(ナマケモノのこと)に投げたと考えている。

巨大ナマケモノは1万1000年前ごろまで生息していた。慎重は2メートルを超え、分厚い皮膚をしており、前足に巨大な爪がついていた。巨大ナマケモノはおそらく、立ち上がって爪を振り回し、身を守ろうをしたと思われる。

科学者たちは、この足跡が物語を伝えていると述べる。狩りをした人類の何人かがナマケモノの注意をそらし、そしてそのうちの1人が「致命傷を与えようと挑戦した」と、イギリスのボーンマス大学のマシュー・ベネット教授は述べた。「それは興味深い話であり、全て足跡に書かれている」。

National News

NTT sued over plan to block pirate manga sites (p. 4)

海賊版サイト遮断のNTTコミュニケーションズを提訴

ある弁護士が4月26日、NTTグループの子会社を相手取り、海賊版の漫画や本を読めるようにしているウェブサイトへのアクセスを遮断する計画を中止するよう、この通信事業者(NTTのこと)に求めて提訴した。

NTTコミュニケーションズは、政府の要求に従って、海賊版の出版物を提供しているサイトにリンクしている3つのサイトへのアクセスを遮断する計画をしている。

(原告の)埼玉県の中澤佑一弁護士は、NTTの計画は、通信の秘密を保証している電気通信事業法に反すると述べている。

National News

Court blames 2011 tsunami deaths on bad plan (p. 4)

大川小津波訴訟、遺族が2審も勝訴

高等裁判所は4月26日、2011年3月に東北で起こった地震後の津波で、大川小学校の児童23人以上の死は、宮城県と石巻市が災害に対する緊急時対応策を更新していれば防ぐことができたという判決を出した。

仙台高等裁判所は、地元当局に対し、地裁判決よりも1000万円ほど高い約14億3600万円を損害賠償として支払うよう命じた。裁判官は、防災計画にもっと高度の高い避難場所を含めることができたはずだと述べた。

National News

Minors victimized via social media hit peak (p. 4)

子どものSNS被害、過去最多

警察は、2017年にソーシャルメディアの利用を通じての性犯罪などの犯罪被害に遭った未成年の事件1813件を捜査たと、公式データが4月26日に示した。

この数は、インターネット上で知り合った人物に、自分で撮った裸の写真を送るように強要された子どもの数の上昇により多くなったと思われると、警察は述べている。

警察庁の栗生俊一長官は、「子どもが被害に遭わないよう社会全体で防ぐことが」重要だと語った。

National News

Prison escapee caught after 3 weeks on run (p. 4)

脱走の受刑者、広島市内で逮捕

瀬戸内海の小さな島で3週間以上数千人の警察官から逃れた逃亡者が4月30日、70キロ離れた広島県でついに捕まったと、警察は発表した。

平尾龍磨氏(27)は4月8日に愛媛県内のセキュリティーの低い刑務所から脱走し、向島で捜索が始まった。約15,500人が逃走者探しに関わった。平尾氏は本州まで泳ぎ、広島駅付近で捕まったと警察は述べた。平尾氏は「逃げるのに疲れた」と語っているという。

World News

May names new minister over 'Windrush' (p. 5)

メイ英首相、新内相を任命

イギリスのテリーザ・メイ首相は4月30日、新内相を任命した。カリブ海諸国から合法的に移住した「ウィンドラッシュ世代」をめぐるスキャンダルについての批判を終わらせようとしている。

パキスタンからの移民の息子であるサジド・ジャビド氏が、政府が国外追放する不法移民数に目標値を設定したことを否定して議会を「うかつにも欺いた」ことを認めた後に辞任したアンバー・ラッド氏の後任に就いた。

標的にされた多くの人々は、1973年以前に到着した、主にカリブ海地域からの移民である「ウィンドラッシュ世代」の人々だった。

World News

India electrifies last village on 'historic' day (p. 5)

インド首相「国内全域で電力供給達成」

インドは、ナレンドラ・モディ首相が設定した締め切りよりも12日早く、国内全ての村に電力供給を実現したと、政府は4月29日に発表した。このことは、2019年の総選挙を前に、政権与党に弾みを付け得る。

アジア第3の経済国(インドのこと)は長年、電力不足が足かせとなっており、産業界は停電に対処しなければならず、病院はバックアップのディーゼルエンジン発電機に頼らざるを得ない。

しかし、モディ首相はインドで最後の村が前日に配電網につながったとツイートし、その日を「歴史的な日」と呼んだ。

World News

Trump can have Nobel if we have peace: Moon (p. 5)

「ノーベル賞はトランプ米大統領に」と韓国大統領

韓国の文在寅大統領は4月30日、朝鮮半島に平和がもたらされるのであれば、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「ノーベル賞を受賞したらいい」と発言した。

文大統領は4月30日、ノーベル賞を受け取って欲しいという韓国の故・金大中元大統領の妻からの示唆に対して、この発言をした。金大中元大統領は2000年に、当時の北朝鮮の指導者だった金正日氏との首脳会談実現後にノーベル平和賞を受賞した。

4月後半に行なわれた文大統領と現在の北朝鮮の指導者である金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談中に、両首脳は緊張の高まる国境を超えて握手を交わした。

World News

Blasts in Kabul kill 26, including 9 journalists (p. 5)

カブールで爆発、26人が死亡

アフガニストンの首都カブールでの爆発で、最初の爆発の報道に駆け付け、自爆攻撃犯の標的にされたと見られる9人のジャーナリストを含め、少なくとも26人が4月30日に死亡したと、関係者が明らかにした。

この攻撃の1週間前にも、市内の有権者登録施設で60人が死亡しており、市の防犯対策不足が指摘された。

山本忠通アフガニスタン担当国連事務総長特別代表は、「意図的にジャーナリストをターゲットにしたと見られるこの攻撃に激しい怒りを感じている」と述べた。

Science & Health

Hitachi developing urine test to spot cancer (p. 6)

がんを尿で判別、日立が技術開発

日立は、尿の検体でがん検査をする世界初の実験として発表したものを実施する構えだ。これにより、この死に至る病(がんのこと)の判別が大幅に簡易化されるだろう。同社は、尿検査で乳がんと結腸がんを検出する基本的な技術を2年前に開発していた。これから同社では約250の尿の検体を使って、検体が常温でも分析に適しているかどうかを判断するため、検査方法の実験を開始すると、日立の広報担当者のオオダイラチハル氏は述べた。「もしこの方法が実用化されれば、血液検査を受けに医療機関に行く必要がなくなるので、がん検診を受けるのがもっと簡単になる」。

Science & Health

Microplastics turn up in Arctic sea ice (p. 6)

北極の氷の中にプラスチック粒子蓄積

研究者は4月24日、北極海に浮かぶ海氷にプラスチック粒子の蓄積があると警告した。地球温暖化で海氷が溶けるにつれて、重大な水質汚染源となりうる。

アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の研究チームは、2014年と2015年に、砕氷観測船ポーラーシュテルンに乗船して3回の北極海調査航海を実施し、この調査中に収集した海氷サンプルに17種の異なるプラスチック粒子が含まれていることを発見した。

見つかったプラスチック粒子には、レジ袋や食品包装、船の塗料、漁網、合成繊維のナイロンやポリエステル、たばこのフィルターなどに由来するプラスチックが含まれていた。

Science & Health

US soldier gets world's first penis transplant (p. 6)

世界初の男性生殖器全体移植手術成功

アフガニスタンで爆発物により負傷した兵士が、世界初となる陰茎と陰嚢の完全移植手術を受けたと、ジョンズ・ホプキンス大学ボルティモア校の関係者が4月23日に発表した。

9人の外科医と2人の泌尿器科医のチームが3月26日に、この退役軍人に14時間に及ぶ手術をしたと、同病院は声明で明らかにした。

手術チームは、死亡したドナーから提供された陰茎、陰嚢、部分的な腹壁を、睾丸はつけずに移植した。匿名を希望したこの兵士は、手術から回復しており、1週間以内に退院できると見込まれた。

Science & Health

China's climate policies may avoid 94,000 deaths (p. 6)

中国、CO2削減で94,000人の早死に回避か

中国は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づいて二酸化炭素削減目標を履行することにより、今後12年間で約94,000人の早死にを防ぎ、巨額の医療費3390億ドル(37兆円)を削減できると、ある研究が4月23日に明らかにした。中国は、二酸化炭素排出量を遅くとも2030年までにピークアウトさせ、経済産出量単位あたりの二酸化炭素排出量を、2005年水準と比較して60〜65%削減すると公約している。『ネイチャー・クライメート・チェンジ』誌に掲載された研究論文は、中国がこの期間内に年間約4%二酸化炭素排出量を削減しなければならず、大気汚染が改善されることによって約94,000人の命が守られると述べている。

Science & Health

Warming livers may improve transplants (p. 6)

移植用の肝臓、温めるべきか

外科医は長い間、先を争って移植を待つ患者用に提供された臓器を氷詰めにしてきた。現在、冷やすのではなく、少なくともいくつかの肝臓は体温と同じ温度で保存したほうがうまくいくかもしれないと研究者は報告している。肝臓は、血液と栄養をポンプで送り込んで満たす機械のおかげで移植されるまで機能し続ける。類似の機械が、肺や心臓の移植にも使えないか探求されている。

イギリスの研究者は、220件の肝臓移植を調査し、温めて保存された臓器のほうが保存中の損傷が少なく、状態の不安から廃棄されることが少なかったことを明らかにした。この研究論文は、4月18日に『ネイチャー』誌に発表された。

Science & Health

Bat found in Japan was once thought extinct (p. 6)

絶滅危惧種のコウモリ、沖縄で発見される

沖縄県にある旧アメリカ軍訓練場は、22年間沖縄本島では見られなかった絶滅危惧種にとって貴重な避難所となっていた。ヤンバルホオヒゲコウモリが研究チームによって2ヵ月前に捕獲されたと、京都大学が4月23日に明らかにした。

京都大学博士課程のジェイソン・プレブルは、2月20日の夜、樹木に生息するこのコウモリの1羽を初めて捕まえた。この発見は、2016年12月にアメリカ軍から日本へ返還された北部の土地の広い森林地帯を調査しているときに起こった。

This Week's OMG!

Trump lookalike finds unexpected fame (p. 8)

トランプ米大統領のそっくり女性が話題に

スペインに住むある女性は、アメリカのドナルド・トランプ大統領に驚くほど似ていることに多くの人々が気がついた後、ソーシャルメディア上で思いがけず有名になっていた。

スペイン北西部の農場で報道していたジャーナリストがインスタグラムに、肩にくわを担いで農作業の服装をしたドロレス・レイスさんの写真を投稿すると、何千という反応が起こった。

この64歳の人(ドロレスさんのこと)はそれ以来、アメリカの急を要する政策や国際社会の問題についてコメントを求められている―だが、育てているジャガイモを脅かす蛾の大発生のほうが心配そうだ。

「きっと髪の色が似ているからだろう」と、レイスさんは4月24日、地元紙ラ・ボス・デ・ガリシアに語った。

彼女にはトランプ大統領とは異なるところが1つある―彼女は携帯電話を使わず、ネットのおしゃべりにはほとんど興味がない。

ヘアバンドでブロンド色の髪をまとめ、カメラから顔を背けてしかめっ面で畑の真ん中に立って写っているレイスさんは、今では多くのファンがいる。

レイスさんは地元紙に、スマートフォンがなければインターネット上での熱狂は簡単に無視できるため、突然有名になっても別に圧倒されている感じはしないと語った。

Essay

The problem with trouble (p. 9)

トラブルにまつわる問題

私の生徒たちは製造業で働いていて、少なくとも週に2回は誰かがこんなふうに言うのを耳にする:「今日は大きなトラブルがあって」。大抵、彼らが意味しているのは「今日は大きな問題(problem)に対処しなければならなかった」といったことだ。彼らはproblem(問題)ではなくtrouble(故障)を使う傾向がある。

しかし、なぜ「trouble」なのだろう? それは、借用語の「トラブル」を使えばどんな状況にも通用すると考えているからだろう。それぞれの言葉をインターネットで少し画像検索してみると、「trouble」と「problem」にはたくさんの違いがあることが分かる。

まず第一に、problem(問題)には解決策がある場合が多く、パズルに近い。また、「problem」は数えることができる。「trouble」は大抵、否定的な感情が関わるもので、この名詞は数えることができない。例えば、私は数学のproblems(問題)はあまり得意ではない。さまざまな方程式を見ると、混乱した感じを覚え始める。だから、私は言葉には強いが、数字にはtroubleがある(数字には弱い)。

「トラブル」は氷山の一角に過ぎない。私は生徒たちに、借用語を英語の会話に放り込むときには注意するよう言い聞かせる必要がある。多くの混乱を招きかねない。ある生徒が私にconsent(「同意」の意)を求めたときのように。

「私の同意(consent)? 何をするための?」と、私は少し緊張した。彼は教室で私といちゃつきたいと思っているのか? 私の許可を求めるつもりだったのか?

彼は繰り返した:"Consent? In class?"(直訳すると「同意? 教室内で?」)。彼に例を挙げるように頼むと、かばんの中を探し始めた。携帯電話を取り出してこう言った:「電池が減ってきているんです」。教室の隅の何かを指さして、興奮気味に「Consent!」と言った。

私はほっとしてため息が出た。「授業中に携帯電話を充電したいのですか?」と彼に尋ねると、「そうです! 私の携帯電話を充電」と返事した。私は彼に、彼が必要としていた単語は"consent"(同意)ではなく、"power outlet"(コンセント)だと指摘した。それから、私たちは「コンセント」がどこから来た言葉なのかを調べた。それは、明治時代か大正時代の言葉で、その頃は"concentric plugs"(同心円状のプラグ「コンセントリックプラグ」)が使われていた。

外国語を学ぶ際、借用語はさまざまな問題を引き起こす。混乱を招くだけではなく―私の場合は少しストレスもあった―発音にも支障を来す。こうした問題に対処するために、私は生徒たちにカタカナ語には注意するようにお願いしている。つづりを調べ、その語がどのような種類の言葉なのか(形容詞か、名詞か、動詞か)を確認し、それが英語なのかどうかも確認し、発音を確認してから、文を作るように頼んでいる。この手順を「STEPS(Spelling(つづり)、Type(種類)、English(英語)、Pronunciation(発音)、Sentence(文)」と呼んでいる。

さて、カタカナ語で私の生徒は厄介なことに陥るところだったが、少なくとも1つの解決策を「試してみる」ことができる(「『チャレンジする』ではなく(challengeは「挑む、異議を唱える」といった意味)」)。コミュニケーション上の困りごとの助けになることを願っている。頑張って!(ファイト!(「戦え」の意)ではなく)。

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