私の生徒たちは製造業で働いていて、少なくとも週に2回は誰かがこんなふうに言うのを耳にする:「今日は大きなトラブルがあって」。大抵、彼らが意味しているのは「今日は大きな問題(problem)に対処しなければならなかった」といったことだ。彼らはproblem(問題)ではなくtrouble(故障)を使う傾向がある。
しかし、なぜ「trouble」なのだろう? それは、借用語の「トラブル」を使えばどんな状況にも通用すると考えているからだろう。それぞれの言葉をインターネットで少し画像検索してみると、「trouble」と「problem」にはたくさんの違いがあることが分かる。
まず第一に、problem(問題)には解決策がある場合が多く、パズルに近い。また、「problem」は数えることができる。「trouble」は大抵、否定的な感情が関わるもので、この名詞は数えることができない。例えば、私は数学のproblems(問題)はあまり得意ではない。さまざまな方程式を見ると、混乱した感じを覚え始める。だから、私は言葉には強いが、数字にはtroubleがある(数字には弱い)。
「トラブル」は氷山の一角に過ぎない。私は生徒たちに、借用語を英語の会話に放り込むときには注意するよう言い聞かせる必要がある。多くの混乱を招きかねない。ある生徒が私にconsent(「同意」の意)を求めたときのように。
「私の同意(consent)? 何をするための?」と、私は少し緊張した。彼は教室で私といちゃつきたいと思っているのか? 私の許可を求めるつもりだったのか?
彼は繰り返した:"Consent? In class?"(直訳すると「同意? 教室内で?」)。彼に例を挙げるように頼むと、かばんの中を探し始めた。携帯電話を取り出してこう言った:「電池が減ってきているんです」。教室の隅の何かを指さして、興奮気味に「Consent!」と言った。
私はほっとしてため息が出た。「授業中に携帯電話を充電したいのですか?」と彼に尋ねると、「そうです! 私の携帯電話を充電」と返事した。私は彼に、彼が必要としていた単語は"consent"(同意)ではなく、"power outlet"(コンセント)だと指摘した。それから、私たちは「コンセント」がどこから来た言葉なのかを調べた。それは、明治時代か大正時代の言葉で、その頃は"concentric plugs"(同心円状のプラグ「コンセントリックプラグ」)が使われていた。
外国語を学ぶ際、借用語はさまざまな問題を引き起こす。混乱を招くだけではなく―私の場合は少しストレスもあった―発音にも支障を来す。こうした問題に対処するために、私は生徒たちにカタカナ語には注意するようにお願いしている。つづりを調べ、その語がどのような種類の言葉なのか(形容詞か、名詞か、動詞か)を確認し、それが英語なのかどうかも確認し、発音を確認してから、文を作るように頼んでいる。この手順を「STEPS(Spelling(つづり)、Type(種類)、English(英語)、Pronunciation(発音)、Sentence(文)」と呼んでいる。
さて、カタカナ語で私の生徒は厄介なことに陥るところだったが、少なくとも1つの解決策を「試してみる」ことができる(「『チャレンジする』ではなく(challengeは「挑む、異議を唱える」といった意味)」)。コミュニケーション上の困りごとの助けになることを願っている。頑張って!(ファイト!(「戦え」の意)ではなく)。