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生沢浩の体育会式英語塾

英語とダイエットは苦労しなければ成功しない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

英語の勉強とダイエットにはひとつの共通点があります。それは苦労をしなければ成功しないということです。英語を身につけたかったら、それなりの努力をしましょう。STオンラインでは「楽をしない」英語の勉強方法を提案します。このサイトではひとつのコンテンツで読解力、リスニング力、会話力を同時に鍛えることができます。使い方はみなさん次第。使い方のヒントは「このページの使い方」を参照してください。さあ、ちょっとだけ背伸びして、英語の勉強をがんばってみませんか?
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 Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 21 : W杯が終わって

 

(1) Gotta see the final live.

 ここで使用されているGottaとは口語表現をそのまま文章にした形です。さらにこの文章では主語が省略されています。正確に書き起こすと

You've got to see the final live.

となります。have got toは口語でよく使われる表現で、mustやhave to、shouldと同じく「〜しなければいけない」、「〜するべきだ」という意味を持ちます。また、ここでのYouは話し相手のサチコを指すのではなく、「一般の人」という意味であることに注意しましょう。つまり、ビルはサチコに対して「決勝は生で観なければいけない」と指図しているのではなく、一般的な意見として「決勝は生で観てこそ面白いのだ」と述べているのです。

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(2) Japan's out of it

 今回の英語のスクリプトには「国名+'s」が計3箇所で使われています(DSpain's、EJapan's)。これらはそれぞれに用法が違い、したがって意味もすべて異なります。

 AのJapan'sはJapan isが省略されたものです。これに対しDSpain'sは「スペインの」という所有を表す意味、EJapan'sはJapan hasの省略形です。

 同じ「's」でもこれだけの意味の違いがあります。重要なのは、これをどう見分けるかです。手がかりとなるのは文法の知識と前後の文脈です。

 AのJapan'sはこれを見ただけではJapan isまたはJapan hasが省略された形なのか、Japanの所有格なのか判断ができません。しかし、その後にout of itという副詞句が続くことで所有格ではないことがわかります。なぜなら、所有格の後には名詞(またはそれに相当する単語、分詞(−ing形)を含む)がこなければならないからです。

残る選択肢はJapan isかJapan hasかですが、Japan'sの後に動詞の過去分詞形がないことからJapan isだと判断することができます。

 DのSpain'sは後にpassingという分詞が続いていることから所有格であると予想することができます。さらにwasというbe動詞が登場することで、Spain isやSpain hasの略ではないことが断定できます。Spain is passing game wasやSpain has passing game wasでは文法的に成り立たないからです。

 EのJapan'sはAと同じ理由からJapan isかJapan hasが省略されているものだとわかります。そして、improvedという過去分詞があることからJapan hasの省略形だと判断することができます。文法上はJapan is(または was)improved.という受動態の文だと考えることも可能ですが、日本が何によって向上させられたかが明確に示されていないという文脈上の理由からこれを排除することができるのです。

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(3) Spain beat the Netherlands 1-0 and claimed their first ever World Cup title.

 この文章のtheirが指すものはSpainです。Spainは単数名詞なので、本来は代名詞itを使うのが文法上のルールです。ただし、口語で国やチームなど人や物の集合体を指す場合にはBのように複数形の代名詞を使うことがあります。厳密に言えば文法上は間違いなのですが、口語では許される範囲だと考えていいでしょう。

 私たちが学校で習う英語はアメリカ合衆国で使われている英語がベースとなっています。いわば「米語」です。「米語」では国やチームは単数扱いとなります。上で述べた「文法上」というのはあくまでも「米語」における文法での話です。

しかし、イギリスで使われる英語(British EnglishとかQueen's Englishと呼ばれます)では国やチームを複数名詞として扱います。ですから、「米語」でSpain isとなるべきところがSpain areとなり、代名詞にはtheyなど複数形のものを使います。Bの台詞はビルが話したものですが、彼がイギリス人だとすれば彼はBritish Englishの文法上正しい英語を話していることになります。

英語を母国語とする国(いわゆる英語圏)は多くありますが、その文法や発音などは国によって違うことがよくあります。例えばcanはアメリカでは「キャン」と発音しますがイギリスでは「カン」と発音します。また、dayはアメリカやイギリスでは「デイ」ですが、オーストラリアやニュージーランドでは「ダイ」と発音されます。

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(4) what a game that was!

 これは感嘆文と呼ばれる文章で、平叙文と呼ばれる通常の文章とは語順が違っています。感嘆文の作り方については簡単な公式があるので覚えてしまいましょう。Cの元になっている文章がThat was a great game.だったとします。

これをCのように名詞(ここではa game)を強調した感嘆文にする場合には「What+名詞(a game)+主語(that)+動詞(was)」となります。これとは別に、形容詞や副詞を強調する感嘆文もあります。この場合にはwhatの代わりにhowを使用し、「How+形容詞または副詞(great)+主語(that game)+動詞(was)」となります。

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(5) Spain's

AJapan's out of it の解説を見てください。

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(6) Japan's

AJapan's out of it の解説を見てください。

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(7) I am now a true believer of Oka-chan!

 ここで使われているbelieverという単語はbelieveという動詞から派生した名詞です。英語ではこのような動詞から派生した名詞を使うことによって、動詞を使った場合と同じ内容を文体を変えて表現することが可能です。

つまり、I believe Oka-chan.とI am a believer of Oka-chan.とは文体が違う(前者はbelieveを動詞として使った、主語+動詞+目的語という形をとる第III文型、後者は主語+動詞+補語の第II文型です)にもかかわらず、ともに「岡ちゃんを信じている」という内容を表しています。

動詞には他動詞と自動詞があります。他動詞とは目的語(「〜を」の〜にあたる部分)を必要とするもので、自動詞とは目的語を必要とせずに文章を作ることのできる動詞です。動作を表す動詞の多くは他動詞で、be動詞のように状態を表現する動詞は自動詞が多いです。ただし、すべての動詞が他動詞と自動詞にきれいに分かれるわけではなく、両方の用法を持つ動詞も多く存在します。

さて、Fで使われているbelieverの元となるbelieveという動詞は、前述の通りI believe Oka-chan!のように使うことができます。この場合のbelieveはOka-chanという目的語を必要としているので他動詞ということになります(believeには自動詞としての用法もあります)。

 他動詞はほとんどの場合で前置詞を使うことなく、直後に目的語となる名詞を続けることができます。ところが、Fのように動詞から派生した名詞を使って同様の内容を言い表すときには前置詞が必要となります。なぜなら、前置詞を使わないとI am a believer Oka-chan.となって、意味が通らなくなってしまうからです。

この場合でも文法上は正しい英文です。しかし、ここではbeliever=Oka-chanという意味に解釈されてしまうのです。これまで何度も触れているように、英文ではふたつ以上の名詞が並ぶことは不自然な形です。名詞がふたつ以上並ぶ不自然な形の例外のひとつが、並列で、並ぶ名詞がすべて同じものを言い表している場合です。I am a believer Oka-chanとすると、これが文法的に正しい文章であるとするならばbelieverとOka-chanが並列によって同じものを指していると解釈するしかないのです。

その混乱を防ぐためにはbelieverとOka-chanの間にofという前置詞を挟むことによって、このふたつの単語の間にはbelieve Oka-chanという動詞+目的語の関係があることを明確に示す必要があるのです。どのような前置詞を使うかは動詞によって決まります。動詞によっては派生名詞がinやatを使う場合もあります。

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(8) I'm believing in the octopus.

 この文章を解説する前にちょっとした状況説明が必要です。W杯ではドイツの水族館にいるタコのパウル君が話題になりました。母国ドイツが関わるすべての試合と決勝戦の勝敗を見事に言い当てたあの「占いタコ」です。ビルがthe octopusと言っているのはこのパウル君のことです。

ところで、ここではbelieveのあとにinという前置詞が使われていることに注目してください。Fで説明した通り、believeは前置詞を使うことなく目的語をとることのできる他動詞です。ところが、believe inとすることによって「科学的には証明されていない事象を個人的に信じる」という意味合いが生まれます。ビルは単にthe octopusと述べているだけですが、真に意味するところはタコによる占いです。占いは科学的に証明されているものではありませんから、ビルはbelieve the octopusではなくbelieve in the octopusと言ったのです。

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(9) そういえば、もし日本がパラグアイに勝っていたら準々決勝で対戦していたのよね。観てみたかったなあ。

これで@〜Gの解説が終わりました。いよいよ英作文の作業に移りましょう。

課題となる日本文は「そういえば、もし日本がパラグアイに勝っていたら準々決勝で対戦していたのよね。観てみたかったなあ。」です。

 この文章の中心をなす「もし日本がパラグアイに勝っていたら準々決勝で対戦していた」の部分を見て、仮定法過去完了だとピンときたならばしめたものです。仮定法過去完了はこの英語塾でも何度も扱ってきました。詳しくは一昨年の夏に行った英語塾特別編vol.1で述べていますので、こちらも参照してください。

 仮定法過去完了とは「実際に起こった過去の出来事とは違う仮定」を表す表現です。先のW杯では日本は実際にはパラグアイに負けているので、準決勝でスペインと対戦するということは過去の事実に反することです。ですから、仮定法過去完了を使う必要があるのです。仮定法過去完了の基本的な公式は「If+主語+過去完了(had+動詞過去分詞形),主語+{would; could; might}+現在完了(have+動詞過去分詞形)」です。これに適切な単語を当てはめることで文章を作っていきましょう。

 「もし日本がパラグアイに勝っていたら」は上の公式の「If+主語+過去完了(had+動詞過去分詞形),」にあたる部分です。主語が日本=Japanであることは簡単にわかりますね。次の作業は過去完了の形に当てはまるべき適切な単語を探すことです。「〜に勝つ」という日本語を英語で表現するには「主語+win+over+〜」(動詞の時制は必要に応じて変えます)がよく使われます。また、「〜に勝つ」を「〜を打ち負かす」と解釈するなら「主語+beat(またはdefeatなど)+〜」という組み合わせも可能です。

 どちらを使うかは好みによります。ここでは「主語+win+over+〜」を使ってみましょう。これを公式に合うように時制を変えると「If Japan had won(winの過去分詞形)over Paraguay,」となります。

次に「準々決勝で対戦していた」の文章を英訳しましょう。仮定法過去完了の公式の後半部分、「主語+{would; could; might}+現在完了(have+動詞過去分詞形)」に見合った単語を探していきましょう。日本語では誰と対戦するかは明確に示されていませんが、文脈からスペインであることがわかります。英語ではこのような省略はされないので、しっかりと補うことが必要です。「対戦する」という日本語に対応する英語はmeet、take onなどがありますが、単にplayでも結構です。僕は個人的にtake onという言葉が好きなので、ここではこれを使います。「準々決勝で」はin the quarterfinalsと複数形にします。なぜなら準々決勝では試合が4試合行われるからです。これらの単語を公式に当てはめると、「Japan would have taken on Spain in the quarterfinals」となります。

これを前半部分とドッキングさせるとIf Japan had won over Paraguay, Japan would have taken on Spain in the quarterfinals.という文章が出来上がります。Japanが前半と後半で繰り返されているので、2度目に言う場合にはitと置き換えてもいいでしょう。

次に「観てみたかったなあ」を英訳します。語尾の「なあ」の部分は会話の中のニュアンスなので、無視します。「観てみたかった」と言う以上は実際には見られなかったのですから、これもやはり仮定法過去完了を使います。「〜したい」という日本語を英訳するにはwant toやhope、wishなどが使われますが、仮定法過去完了では「かなわなかった願い」という意味合いを出したいので、そうした意味を持つwishが好んで使われます。

「(私が)試合を観る」はI watch a game.という英語で表現できます。ただし、ここでは日本対スペインという仮想ながら特定の試合を言っているのでa gameではなくthe gameとします。日本対スペインは実際には実現しなかった試合なので、I watch the gameを仮定法過去完了にする必要があります。するとI could have watched the game.となります。couldの部分にはwouldやmightを使うことも可能ですが、「できなかった」というニュアンスを出すためにcouldを使います。この文の頭にI wishをつければI wish I could have watched the game.という文章の完成です。

残る「そういえば」の「そう」と直前のビルが言ったスペインのことです。ですから、「スペインといえば」と言い換えることも可能で、そうなればSpeaking of 〜という定型句が使えることがわかります。

以上を合わせると次のような文章となります。

Speaking of Spain, if Japan had won over Paraguay, Japan would have taken on Spain. I wish I could have watched the game.

これが課題の日本語の英訳の解答例です。あくまでこれは「例」であって、これ以外に正解がないというわけではありません。英作文は正解が必ずしもひとつではないのです。その証拠に、英語音声ではこれとは微妙に違った言い回しをしています。どんな言い回しをしているかはここではあえて記しません。耳で確かめてください。

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