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『世界の英語教室 (小学校)』

  By Mina Hisada/Illustration by Puri/Photos by 小笠原教育委員会&Mina Hisada


「小笠原小・中小学校─アラン先生へのインタビュー」

アラン先生(右から二人目)を囲んで─
校長先生(右端)と諸先生方
  キーンコーンカーンコーン・・・ここは、海が見下ろせる教室。 東京都小笠原村の小笠原中学校です。 ある昼下がりの午後、授業のチャイムが鳴り、英語の授業が終わると、みんなが"Thank you !"といいながら教室を出て行きました。

生徒さんたちがアラン先生に習うのは、週一日。 先生は、日々どんな生徒と接し、どんな考えで教えているのでしょうか。 日本の英語教育について どう思われているのでしょうか。 授業後、先生に聞いてみました。  


■先生と「島」

Q:今日は授業見学(Click here!) をさせてくださり、ありがとうございました。見ている方もとても楽しかったのですが、 どのように教授法をマスターされたんですか。

A: アメリカのコロラド大学(国際関係専攻)を卒業してから、メキシコで英語を教えて、その後 ケンブリッジ大学で英語の教授法を勉強しました。

(I went to university, in Colorado, I studied international affairs, and I taught English in Mexico a little bit and I also went to London, Cambridge University to learn to teach English.)

二見湾にて

(実は、ALTは、教授法などは特に学ばなくても教壇に立てるという話を聞いていたので、意外な気がしました。)

Q:小笠原はどうですか?

A:今年で2年目になりますが、とても気に入っています。 生徒たちはがんばり屋ですし、お父さんやお母さんたちが子どもに英語を学ばせたいという意欲も強いと思います。 それが、かなり生徒たちの英語熱につながっている気がします。 まぁ もちろん、英語なんかいやだって子もいますけどね。でも、ほとんどの生徒が 一生懸命ですよ。

( This is my second year. I love Ogasawara. The students are very interested to learn. The parents want the students to study English- which is very helpful. Of course, sometimes, some students - they just don't like English. Most students are studying hard.)

(中学校授業風景・その1
音声が聞こえます─ click here!)

Q:先生は、ハワイご出身と伺ったんですが・・・。

A:当たらずとも遠からずです。僕自身はハワイ出身ではないんですが、祖母がハワイにいたので、子どものときは、毎年夏に遊びに行ってました。 毎年2ヶ月ぐらいハワイにいるっていう感じで。

(oh, some kind of. My grand mother lived in Hawaii. So when I was a small child, I would go to visit her, every summer, so maybe two months every year in Hawaii.)

Q:そうなんですか。では、先生のご出身は?

A:ニューヨークです。

Q :じゃあ、小さいころから、都市と島の両方の生活を楽しんでいたんですね。

A:そうなんです。

Q:ハワイの雰囲気と父島(小笠原)の雰囲気は似ていますか?

A: 気温とか、せかせかしていないというところは似ていますね。 父島(小笠原)は、東京よりのんびりしてますし。

(The temperature is similar. Chichijima is more relax than Tokyo.)

小学校の授業風景「Rの発音の練習中」
(音声が聞こえます─ click here!)

■なぜ「英語」なの?

Q:あと2年後に、英語が小学校に導入されます。どう思われますか。

A:いいと思います。おこがましく聞こえるかもしれませんが、 世界中で話されている重要な言語なので。良し悪しは別として。

(I think it's good. Maybe it's selfish for me to say, but I think English is an important - because... maybe it's a good thing and a bad thing, but English is spoken all over the world.)

Q:なるほど。でも、歌やお遊戯が中心の小学校英語に対し、 机に向かうことが中心になる中学校英語のギャップに、逆に 英語嫌いになる子どもも出てくるのではないかと言われています。 このようなマイナス面については、どう思われますか。

A: 難しいところですよね。日本はとてもいいシステムがあって小学校や中学校にたくさんお金をかけますが、 それをどのようにより活用していくかがポイントになるんじゃないかと思いますが、・・・ 僕にもよくわかりません。 今、すべてを変える過渡期にあるのではないでしょうか。

(It's very difficult. Japan has a very good system. They spend a lot of money and time to teach children from elementary school to junior high school. But I don't know how to make it better. You have to change how everything is.)

当時の島の人々(教会の前で)
様々な人種の雑居であった

Q:それから、もう一つ、ちょっと否定的な質問になってしまいますが、お聞きしたいことがあります。 この島の人たちの中には、欧米系(※)といっても、英語だけでなく、ポルトガル系などほかの言語を母語とする人たちの 子孫もいますよね。それを、英語一辺倒の言語教育をするのは、残念だなぁと思うのですが、どう思われますか。

小笠原は、1830年代に、欧米系の人々が住み着いた島。 現在では少数派ではあるものの、欧米系の子孫が住んでいる。 記録に残っているだけで、アメリカ・ボストン近郊のナンタケット島や、イギリス、ポルトガルなどが挙げられる。

A:そうですねぇ。 でも、今は内地の人が多いですし、欧米系といっても、何世代もたっていますから、 欧米系同士で結婚すれば、特定の国に対する想いというのはなくなって、混ざっていくものだと思いますよ。

Q:欧米系のお子さんは、英語に対する興味がほかの生徒さんより強いっていうことは感じられますか?

A:

アラン先生
うーん、それは個人(の性格)によると思います。例えば、僕の母は日本人だけど、僕は日本語あんまり上手じゃないし。(笑)

(I think it's depend on their personality.My mother is a Japanese, but I am very bad at speaking Japanese.)

Ms.Shimbo(同僚の英語の先生):そんなことないわよ。(笑)Not so bad!(laugh)

A:いや、本当に下手だよ。(笑) Very bad! (laugh)

Q:授業数については、どうですか?

A: 一週間に9コマ教えています。小学校1年生から中学校3年生まで。

Q:その時間数で、どうですか?

A:ちょうどいいですよ。本当は、小学校は、週2回ぐらい教えたいですけど、ほかにも勉強しなきゃならないことがあるだろうし。

中学校の授業風景・その2

Q:では、最後の質問にうつります。 先ほどの質問と重なるところがありますが、世界にたくさんの言語がある中で、 「外国語」といえば「英語」という日本の現況をどう思われますか?

A:そうですね。例えば日本では、高校ぐらいで、ほかの外国語を選べるようなシステムを作ったら いいんじゃないかなとは思いますけどね。 というのも、自分の経験を通して考えてみると、以前スペイン語を勉強して、今、新しい ことば(日本語)を勉強していますが、外国語を学ぶ「方法」というのが、もうわかっているので、 以前より楽なんですよね。これが小さすぎると混乱するだけですが。 小・中学校で英語をやって、高校になったら何か他の外国語を勉強できるようにすれば もっといいのにと思います(※)。

(※)これは、すでに 韓国(Click here!) では取り入れている方法である。  


☆★☆ インタビューを終えて☆★☆

小笠原は、移動する人々が多い島だといわれていますが、アラン先生もその一人とお見受けしました。 ニューヨーク、メキシコ、イギリス、そして日本の小笠原ー ダイナミックな移動をしてきた先生。 これまで、様々なところに住み、様々な英語教育を してきた先生の言葉から、参考になることは 多々ある気がします。

島の神社は、明治時代に建立された
ところで 島には神社があり、年に一度、お相撲大会があります。 その大会には、なんと、アラン先生も「ふんどし」を巻いて参加するというお話を 小耳にはさんでしまいました。地域に溶け込もうとしているその姿は、 ALTの鏡です。そして、偶然足を運んだ図書館では「無料英会話教室」の貼り紙が。 講師はもちろんアラン先生。 こんなところにも、先生らしさが表れている気がしました。

突然のインタビューにもかかわらず、快く迎えてくださった 小笠原中学校の校長先生をはじめ諸先生方。 授業後でお疲れでしょうに、時にいじわるな質問にも笑顔を絶やさず応じてくださったアラン先生、 本当にありがとうございました。

校長室にて
ご協力くださった先生方
***関連記事はこちら↓***

「小笠原の言語事情」(Click here!)

「ぼく」と「ばあば」の旅 (Click here!)

「小学校英語の今」(Click here!)

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