また、「サンタさん」が来る時期になりました。帰国してから久しぶりに聞いた「サンタさん」という呼び名。カードや本に漫画っぽく描かれているイメージにぴったりで、「サンタクロース」よりも愛着がわきます。この3年間、子供たちが話してくれたサンタさんの話は大変おもしろく、そのいくつかを紙に書き留めておきました。思い出として取っておきたかったからです。
大きくなるにつれ、子供はサンタクロースの存在を信じなくなるのは当然ですが、その極め付きは、小5の覚之介君が話してくれた、彼の友達の鑑識による証明でしょうか。学校で習った指紋の取り方に興味を持ったその友達は、家族や友達の指紋をたくさん集め、ついでにサンタクロースの指紋にも挑戦。クリスマスの翌日、プレゼントに付いていたカードの指紋を丹念に調査。それを拡大したら、どうも父親のものとよく似ており、照合してみたらピッタリ合った、とか。「スゴイ!」のすぐ後に「そんなことまでしなくてもいいじゃない」という声が聞こえそうです。
中1の侑ちゃんは、「サンタなんているわけないじゃん。小3の時から知ってるよ」と息巻きます。「生協のパンフレット見て『これほしいなー』って言ったら、まったく同じのが来てさー。しかもドジだよね。生協のラベルまでついてんの」。
中3の美菜ちゃんも「小学校2年の時から全然信じてない」とか。「私、サンタさんにどうしても会いたくて起きてたらさー、夜中にお母さんがでっかいゴミ袋をかついで部屋に入って来るの。ほら、あの東京23区のでかいやつ」。
小学校中学年は、信じながらも、プレゼントに関してうるさい子もいます。小3の利彦君。「サンタさんってなんでこんなに本ばっかりくれるんだろう。それもほしくない理科と算数の本ばっか」。でも、これには同調しますね。
小5の憲人君は、「今年はしょぼいもんばっか。手紙に欲しいものをちゃんと書いておいたんだけどなー。サンタさんも年をとってきてさー。字が読めなくなってきて…新しいメガネを買ってほしいよねー」。
無邪気な小3の理恵ちゃんは、話にも熱がこもります。「お友達の家にはクリスマスの1週間前にサンタさんが来てね、クリスマスの日に来なきゃいやだってすごく泣いたんだって」。「でもプレゼントもらったんでしょう?」と私。「もらったけど、クリスマスの日じゃなきゃ意味ないし」。「まあね」。「だから、おばあちゃんがサンタさんに電話をかけたの」。「…?で、何て言ってた?」「サンタさんは、『今年はとても忙しいから、1週間早めに届けたんだよ』って言ったみたい。だからお友達も、『それじゃ仕方がない』って」…おばあちゃん、ご苦労さま。
これは誰だったかな。「サンタさんはフィンランドに住んでるけど、日本はすごく遠くて疲れるでしょう。だから、北海道に基地があって、日本の子供たちのプレゼントはそこから来るらしいよ」と言った生徒もいました。ということは日本での配達を委託されているサンタクロースが北海道に常駐しているということでしょうか。クロネコに引かれたサンタさんを想像してしまいます。
小3の玲央ちゃんは、「すごく大きな袋に、プレゼントがたくさん入ってた」と、入っていたものを羅列し始め、最後に「タマネギ5個」と言うので、「タマネギ?」と、ニワトリが絞められたような声を上げてしまいました。「ばっちり赤いネットに入った玉ねぎが、ばっちりスーパーの袋の中に入っていた」とか。親は「サンタさんが夕飯を作るために○○ストアーで買い物をして置き忘れていったんだよ」と言い訳したそうですが…夢が半減しますよね。
何人かの生徒の家では、サンタクロースのためにお茶やクッキーなどをテーブルに置くようですが、朝起きた子供が、お茶の横に、飲みかけのビールグラスを見つけたら、さあどうする。小3の憲杜君は「お父さんはね、サンタさんと一緒にビールを飲んで、夜遅くまでいろいろな話をしたんだって」と得意げに話してくれました。今年はどんな話が聞けるでしょう。楽しみです。
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