Q: 最終回です! ずばり聞くけど、近い将来翻訳家になりたいと思っている人にはどのようなチャンスがあるの?
A: 翻訳の仕事は一般に、出版、映像、実務の3種類に大きく分けられているわ。出版翻訳というのは海外出版物の翻訳。小説、絵本、実用書、学術書まで何でもあって、翻訳も本として出版されるのが普通。
自分が訳したい本があったら、出版社に直接売り込むという道があるのよ。映像翻訳と言われているのは、映画などの吹き替えや字幕。これは、吹き替えなら原語の台詞の長さに収めなければならないし、字幕なら画面に入れられる字数の中で訳さなければならないという制限があるので、コツが要るわ。
そして、翻訳の仕事の9割を占めると言われているのが実務翻訳。産業界などで必要な文書類の翻訳で、それぞれの分野のテクニカルなものが多い上に、世界との競争がかかっているわけだから、スピードも求められるわね。
現在、翻訳者として翻訳会社などに登録している人はかなりの数に上るけど、安心して頼める人は少ないと、翻訳会社の人が言っているわ。前にも言ったように、翻訳には資格など要らず、実力次第なので、我こそは!と思う人は、ぜひ腕を磨いて戦陣に加わってほしいわね。
Q: 自分のスキルがお金をもらえるレベルにどの程度近づいてるか知りたくなったら? それと、仕事はどうやってもらえるの?
A: ある程度自信のある人は、翻訳会社に直接売り込んでいいのよ。たいてい自社の資料を使って試験をしてくれるわ。
また、例えば私が関係している「アメリア」というメンバー制の機関では、機関誌とサイトを通じて課題を出し、寄せられた訳文をレベルチェックし、一定レベル以上の人に仕事を紹介する(最初は初歩的な仕事から)というシステムを持っているの。毎回丁寧な講評と訳例が発表されるので、それを丹念に勉強して力をつけていく人もいるわ。
勉強もしながら仕事を探したい人は、翻訳学校に通うという方法もあるわよ。よい翻訳者を確保するために翻訳者養成講座を持っている翻訳会社もあるわ。インターネットや書店で調べてみれば、いろいろなルートが見つかると思うわ。
●物心ついたときから、フリーの翻訳家として母の仕事をずっと見て来ました。時には先生と呼ばれる「翻訳家・食野雅子」は、同時に「さらちゃんのお母さん」であり、「近所のおばさん」…。このコラムを通して、これから勉強を始める方、将来翻訳家を目指している方などに、家庭との両立を計りながら仕事をしてきた母をそばで見ながら、学び、感じてきた、この仕事の厳しさやプロ意識などを、少しでもお伝えすることができていたら幸いです。ご愛読ありがとうございました!
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