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スポーツ名勝負・名場面

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

スポーツ記者、生沢浩の13年に及ぶスポーツ記者生活の中で、忘れることのできない名勝負・名場面をピックアップして、それを英文記事でどのように伝えたのかを紹介しています。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 7 : ♪番外編 

記者という職業はある意味で専門職だと言えます。本来、記者の持つ知識は「広く浅く」が理想だとされますが、この仕事にはひとつの分野を深く追求するという側面もあり、おのずと専門分野に強くなることがあるのです。

 大事件が起こるとテレビでも新聞でも解説員が意見を述べたりする場合がありますが、あれなどは記者が専門分野を追究したひとつの形だといえるでしょう。僕の専門分野はアメリカンフットボール。今日は記者としての僕ではなく、もうひとつの顔、フットボール解説者としての仕事をご紹介しましょう。

♪番外編  
僕は現在、NHK衛星放送と日本テレビ系CSチャンネルG+(ジータス)でNFLの解説の仕事をさせてもらっています。今回はG+の放送をリポートします。

 G+はニュースとスポーツを専門に扱うチャンネルで、巨人軍のホームゲームはすべて試合前の練習から試合終了まで放映するという、ジャイアンツファンにはたまらない放送局です(ちなみに僕は阪神ファン)。NFLは週に4試合ほど放映しています。

 僕は月3〜4度の割合で解説を担当します。放送は実況アナウンサーと解説者の二人で行うのが基本。G+では今年から汐留の新スタジオで収録・生放送をします。G+のスタジオは約10畳くらいのスペースにカメラが2台入ります。思ったより狭いというのが最初の印象でした。

 スタジオの隣にはスイッチャールームがあり、数え切れないほどのスクリーンが並びます。ここでは日本テレビの地上波の番組が映っているほか、スタジオ内のカメラ2台がそれぞれ映し出す映像が表示されていて、担当スタッフさんが画面の切り替えを行なっています。また、スイッチャルームにはその放送の担当ディレクターさんがいて、いろんな指示を与えます。その指示はスタジオ内のADさんにインカムで伝えられて、口頭やジェスチュアで僕ら実況陣に伝えられます。「本番まで5秒前、4、3、…」というカウントもADさんの仕事。

 テレビは秒単位で物事が進められます。いつも驚くのは、その時間にぴったりと合うこと。例えば、「9時52分17秒で終えてください」という指示が出ると、アナウンサーはピタリとその時間で話をまとめるのだからすごい。僕などは「あと10秒です」などといわれると慌ててしゃべるのを止めてしまうのだけど、アナウンサーは最後の1秒まで使い切るのです。10秒という時間は意外に長いのです。だから、その間に与えられる情報量というのは無視できない。さすがプロだと思う瞬間です。いつも原稿の締め切りを守れない僕にはできない芸当だ。

 さて、放送に向けて僕はいろんな準備をします。まずは担当する試合を行なう2チームの情報集めです。NFLではオフ(2〜8月)の間の補強が重要なので、その間のニュースを整理。それから、9月のシーズンインから前週までのチームの戦い方をレビューして、チームの傾向を探ります。日本で放送されるNFLの試合はほとんどすべて録画してあるので、担当するチームの試合は最低でも1度は見ることにしています。選手の癖や特徴をつかむにはやはりビデオを活用するのが一番だからです。それらを頭に入れてから放送に臨むのです。

 ところが、試合中には何が起こるかわからない。注目選手ということで下調べをばっちりしていた選手がいきなりけがをして欠場してしまったり、せっかく覚えたデータが緊張のために頭の中からきれいに消えてしまったり…。

 一番困るのは大差がついてしまった試合。終盤になってどう考えても逆転は無理という展開の試合も年にはいくつかあるものです。そういったときには選手のエピソードや裏話などを話すようにしています。こういった引き出しをたくさん用意しておくことが僕の放送前の準備のすべてだといっていいでしょう。

 よくアメフトはルールが難しくて分からないと言われます。そんな時、僕は決まってこういうことにしています。「ルールなんて知らなくたってアメフトは楽しめるよ」って。僕自身アメフトが好きになったときはルールを知らなかったし、野球を始めた子供のころだってルールを全部知っていたわけじゃない。だから、僕はルールの説明はほとんどしません。

 大きな体格の選手が激しくぶつかり合うのはそれだけで迫力があるし(これが嫌いという人はあきらめるしかありません)、ロングパスのスリルはルールを知らなくたって味わえるものです。ただ、放送する側がその迫力とスリルを楽しむ方法は伝えなければいけません。アメフトの魅力をいかにやさしく分かりやすく伝えるか、これが僕の解説者としての永遠のテーマなのです。

 アメフトといえば、Monday morning quarterbackという言葉があるのをご存知ですか。別にアメフトの専門用語ではありません。スラングではありますが、アメリカでは日常会話で使われる慣用句の一つです。

 Quarterbackはアメフトでパスを投げるポジションのこと。アメリカではアメフトの試合は主に週末に行なわれます。だから、月曜日に活躍するQuarterbackは必要ないのです。こういった意味が転じて「過ぎたことをあれこれ言う人、後になって文句を言う人」を言い表すのに使われます。そんな人、あなたの職場や学校にもいませんか?

 来月からはこういった、日常生活に見るスポーツ英語をこのコラムで取り上げることにします。お楽しみに。

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