今週、僕はアメリカのフロリダ州ジャクソンヴィルでアメフトのスーパーボウルを取材しています。アメリカ中が熱狂するスーパーボウルは、NFL(全米プロフットボールリーグ)の優勝決定戦。この日ばかりはホワイトハウスも業務を一時中断するといわれるほどのビッグイベントなのです。
このスーパーボウル、世紀の一戦と騒がれる割に、試合そのものは大差がつく「凡戦」となってしまうことが少なくありません。しかし、数年に一度は最後まで目が離せない、ハラハラした試合展開になることもあります。昨年の第38回大会(ニューイングランド・ペイトリオッツ対キャロライナ・パンサーズ)がまさに二転三転するシーソーゲームでした。最後の第4Qだけで2度の逆転劇、そして、土壇場の同点と最終プレーでの決勝フィールドゴール。劇的な幕切れと呼ぶにふさわしいエンディングは、長きにわたって語り継がれることでしょう。
さて、スポーツを盛り上げる「逆転」を表す言葉が今週のcome from behindです。レースに起源がある言葉です。後方(behind)から来て(come)、追いつき、追い越すというのがもともとの意味です。まあ、そのまんまです。
昨年のスーパーボウルを例にとりましょう。
The Patriots came from behind to beat the Panthers.
(ペイトリオッツは逆転でパンサーズを破った)
これに、ちょっと説明を加えましょう。ペイトリオッツは一時パンサーズに22−21とわずかながらリードを許し、結果的に逆転しました。では、上の文章を「22−21とリードされながら、32−29で逆転勝ちした」と書き換えてみましょう。
The Patriots came from behind a 22-21 deficit to beat the Panthers 32-29.
となります。ちなみに、deficitとは負債のこと。スポーツ英語ではリードされている状態をよく借金や負債に例えます。つまり、22−21とリードされている状態(behind)からやって来て(come)勝ったという発想をするのです。
上の例ではcome from behindを動詞のイディオムとして使いましたがこれをハイフンでつなげてcome-from-behindと形容詞のように使うこともできます。a come-from-behindvictoryとすれば「逆転勝ち」の意味になります。
主にスポーツ英語の中で見かけるイディオムですが、選挙などの報道で見かけることもあります。知っておくと便利な言葉の一つです。
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